更新日: 2022.10.31 その他暮らし
頑張って残業した結果、月60時間残業してしまいました。「36協定」的にはアウトですか?
そこで、例えば月60時間も残業してしまうなど、36協定で定めた時間を超えて残業をしてしまった場合、法律上の問題が生じるのかについて説明してきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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法定労働時間を超える労働には36協定が必要
労働基準法では、労働時間は原則として1日8時間以内、1週間に40時間以内と制限が定められています。これが法定労働時間です。そして、法定労働時間を超えて労働者に労働させるためには、労働基準法第36条に定められた36協定が必要となります。
労使で話し合いをして労働時間について合意し、労使協定を締結するとともに、所轄労働基準監督署長に届け出することが必要です。36協定の届け出をすれば、従業員に法定労働時間を超える労働をしてもらうことも可能となります。
もっとも、36協定を結べば際限なく労働させることができるわけではありません。36協定によっても⽉45時間、年360時間を超える労働をさせることは原則としてできないことになっています。
これを超えることができるのは、「臨時的な特別の事情」があって労使が合意する場合です。この労使の合意についても36協定内に「特別条項」として定め、所轄労働基準監督署長に届けなければ効力はありません。
特別条項があっても超えられない壁
臨時的な特別の事情があり、労使が合意して特別条項を設けたとしても、次の条件は守らなければなりません。まず、時間外労働が年720時間以内であることです。次に、時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満でなければなりません。
さらに、時間外労働と休⽇労働の合計について、2ヶ月平均から6ヶ月平均まで計算し、全てが1ヶ月当たり80時間以内に収まっていることが必要です。
最後に、時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは、年6ヶ月を上限とします。これらの条件に違反することは、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰⾦が課される重大な違反です。
したがって、36協定で特別条項が設けられている場合に、「臨時的な特別の事情」に該当し、また上記の条件の範囲内であれば月60時間の残業であっても違法となることはありません。
しかし、「臨時的な特別な事情」に該当するかどうかは厳密に判断されることにも注意が必要です。
厚生労働省の説明では、「臨時的な特別の事情」に該当するのは、「予算、決算業務」や「ボーナス商戦に伴う業務の繁忙」、「⼤規模なクレームへの対応」など臨時的なものであり、恒常的な⻑時間労働を招くおそれがあるものは認められないとされています。
36協定での取り決めは極めて重要
通常、36協定でも月45時間を超える労働をさせることはできないため、月60時間の残業は原則として労働基準法違反となります。
ただ、労使の合意の下で36協定内に特別条項を設け、一定の条件を満たせば、月60時間の残業が適法となる可能性はあります。労働者の健康を大きく左右する残業時間については、36協定での取り決めが極めて大事です。自分の職場の36協定を確認してみましょう。
出典
厚生労働省 時間外労働の上限規制わかりやすい解説
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部