更新日: 2022.11.08 子育て

小中学校の無償化とはどんな内容? 支給条件と支援内容は?

執筆者 : 飯田道子

小中学校の無償化とはどんな内容? 支給条件と支援内容は?
子どもにかかる教育費は、どれくらいかかるのでしょう。どのように貯めるべきか悩んでいる家庭は少なくありません。日本では制度が見直され、義務教育の無償化が進んできました。では、いわゆる小中学校の教育費無償化とは、どのような内容なのでしょうか? 制度の内容がどのようになっているのか、解説します。
飯田道子

執筆者:飯田道子(いいだ みちこ)

ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

金融機関勤務を経て96年FP資格を取得。各種相談業務やセミナー講師、執筆活動などをおこなっています。
どの金融機関にも属さない独立系FPです。

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公立の小中学校なら授業料は誰でも無料だけど……

多くの人が進学する公立の小中学校の場合、授業料は誰でも無料になっています。対象となるのは、公立の小中学校へ通うすべての子どもになっており、特に条件などはないため、誰でも無償です。
 
とはいえ、無償化の対象となっているのは下記の2つです。
 

●授業料
●教科書代金

 
教科書は、義務教育教科書無償給与制度という制度のもと、子どもたちが授業で使う教科書を国が発行者から直接購入し、子どもたちに無償で給与(支給)されることになっています。この仕組みによって、保護者の経済的な負担を軽くしています。
 
ただし、忘れてはならないのは、公立の小中学校だからといって、何もかもが無償になるわけではありません。学校でかかる費用は、授業料、教科書以外にも生じる費用は、無償化の対象外となっていますので、注意してください。
 

就学支援制度について知っておこう

公立の小中学校の場合、授業料が無償となっているのはうれしいとは思いますが、それ以外の費用の負担が困難な家庭もあることでしょう。そのような家庭の経済的な負担を軽くするための制度として、「就学支援制度」があります。
 
対象となるのは、(1) 生活保護法第6条第2項に規定する要保護者と、(2) 認定基準を各市町村が規定している市町村教育委員会が、生活保護法の第6条第2項において規定する要保護者に準ずる程度に困窮していると認める者とされています。
 
続いて、就学支援制度の補助の概要を確認します。
 
公立の小中学校は、市町村の教育委員会が管理運営しています。そのため、援助も市町村が行っています。就学支援制度では市町村の行う援助のうち、要保護者に対する援助について、義務教育において円滑な実施に資することを目的とし、国は「就学困難な児童及び生徒に係る就学奨励についての国の援助に関する法律」「学校保健安全法」「学校給食法」などに基づいて必要な援助を行うことになっています。
 
具体的に補助される項目は、下記のとおりです。
 

・学用品費・体育実技用具費・新入学児童生徒学用品費等・通学用品費・通学費・修学旅行費
・校外活動費・医療費・学校給食費・クラブ活動費・生徒会費・PTA会費・卒業アルバム代等
・オンライン学習通信費

 
修学旅行費や学校給食費、クラブ活動費なども含まれているため、どの子どもも、学校の授業だけでなく、さまざまな経験が可能になっています。
 
利用できる費目は、申請時期や市町村によって異なっています。詳しくは、お住まいの市町村や通っている学校へ確認してください。
 

私立の小中学校に通っている場合はどうなるの?

公立の小中学校の場合は、授業料や教科書代が無償ですが、私立の小中学校ではどのようになっているのでしょうか。
 
令和3年度(2021年度)までは、授業料の経済的負担を軽くするための「私立小中学校等就学支援実証事業費補助金」を受けることが可能でしたが、令和4年度(2022年度)においては、この制度はなくなってしまいました。
 
今後も、このような補助金制度が設けられることは、今のところありません。このため、現状では私立の小中学校へ通う場合、無償化も補助金もない状態になっています。
 
子どもの将来を踏まえて、進学先は慎重に判断されていると思います。とはいえ、小中学校から私立へ進学する場合には、金銭的な負担は大きくなってしまいます。進学したい学校ではどのくらいの費用がかかるのか等あらかじめ調べておき、教育費の準備をしておくことが必要です。
 

出典

文部科学省 家庭の教育費負担や公財政による教育分野への支出等

 
執筆者:飯田道子
ファイナンシャル・プランナー(CFP)、海外生活ジャーナリスト

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