更新日: 2022.11.14 その他暮らし

サービス向上とは両立しないかも。ちょっと寂しく感じた合理化とは?

執筆者 : 上野慎一

サービス向上とは両立しないかも。ちょっと寂しく感じた合理化とは?
今年・2022年は、鉄道開業150年の節目。コロナ禍による利用率低下などで鉄道各社の経営体力が低迷する中、ローカル線の存続問題などがこれまで以上に話題に上っています。
 
さまざまな合理化も時代の流れなのでしょうが、頻繁には使わないサービスをたまに利用したとき。その姿がかなり様変わりしているシーンに触れると、驚きと同時に寂しさを感じてしまうことがあります。
上野慎一

執筆者:上野慎一(うえのしんいち)

AFP認定者,宅地建物取引士

不動産コンサルティングマスター,再開発プランナー
横浜市出身。1981年早稲田大学政治経済学部卒業後、大手不動産会社に勤務。2015年早期退職。自身の経験をベースにしながら、資産運用・リタイアメント・セカンドライフなどのテーマに取り組んでいます。「人生は片道きっぷの旅のようなもの」をモットーに、折々に出掛けるお城巡りや居酒屋巡りの旅が楽しみです。

寂しく感じたシーン(その1)

筆者が経験したシーンを2つご紹介しましょう。いずれも、JR中央線のA駅に絡んでいます。
 
まずは、「青春18きっぷ」に関したもの。これは誰でも利用可能なJRグループの特別企画乗車券で、1人で5回分または5人までのグループ利用ができます。利用期間内に日程を分けて利用することも可能。全国のJR線の普通・快速列車の普通車自由席などが1回当たり2410円で1日乗り放題になります。
 
今年夏季の利用期間は7月20日から9月10日でした。この切符は1枚の券面に5回分の利用欄があって、1回の利用ごとに最初に乗車する駅で日付スタンプの消印をしてもらって利用する形です。
 
A駅に着いたのは朝5時20分頃。ところが有人改札の窓口は閉められ、この時間帯は無人なので用事はインターホンで連絡するようにとの案内表示が。ボタンで呼び出すと集中センターにつながりました。消印スタンプをどうしたらよいか聞くと、途中のどこかの駅で事情を話してスタンプをもらうようにとの説明でした。
 
ちなみに筆者は途中、東京駅で消印スタンプをもらいました。その際、A駅での乗車証明書はあるかと聞かれたのですが、そうした説明はインターホンでの連絡のときに何もなかったので、少々面食らいました。
 
こんな早朝にA駅に行くのは、この切符を利用するときくらいですが、早朝に駅員不在体制となっていることをまったく知りませんでした。後日JRに聞いたところ、今年3月から特段の問題がない限り朝6時30分過ぎまで窓口は無人化とのことでした。
 
この切符は1日乗り放題なので、途中駅でのスタンプでも実害はありません。自動改札を通らないケースがそもそも少なくなっていて、おまけに乗客自体も多くない早朝の時間帯。こうした合理化そのものはやむを得ないでしょうが、以前の姿からの様変わりには寂しさも感じました。
 

寂しく感じたシーン(その2)

2つ目は、別の日にA駅で下車したときのこと。夕刻にJR宇都宮駅から在来線を利用したのですが、Suica(スイカ)ではなく切符を買って乗車していました。普通運賃は1980円だと調べてあり、駅の券売機に行くとそこで買える最高額がちょうど1980円だったので、こちらを買いました。
 
実はこの切符、「山手線内行き」と注釈されていたようです。しかし、券売機は1980円部分以外のボタンは運賃だけ表示された通常のもの。気にも留めずに1980円の切符を買ったわけです。
 
しかし出場時に自動改札でブザーが鳴り出られないので、運賃は合っているはずと有人改札で申し出ました。駅員からは、結果的に精算はしなくてよいが、同じ運賃でもA駅までの乗車ならば、宇都宮駅のみどりの窓口で切符を購入すべきだったと説明されました。
 
宇都宮駅の券売機にそうした案内はなく、合理化の一環でみどりの窓口もあちこちの駅でどんどん廃止してその機能を券売機に置き換えていく流れです。券売機での説明が不十分な状態でみどりの窓口に行くべしというのは、釈然としませんでした。さらに、説明する駅員の態度が「こんなことも知らないの?」といった上から目線に満ちていました。
 
こうした切符の説明、宇都宮駅のどこかに(小さく)表示されていたかもしれないし、JR東日本のサイトでもどこかに解説されているのかもしれません。乗車を急いでいるときなど、そこまで細かく注意を払っている余裕があるかどうかは別でしょうが。
 

まとめ

宇都宮駅からの切符のほうは、そもそもSuicaで乗車すれば何も問題はなかったわけです。キャッシュレス化、ペーパーレス化、人的対応からネット化・機械化・自動化・省力化。銀行を利用する際などにつくづく感じている流れが、鉄道サービスにも押し寄せていることを改めて思い知らされます。
 
今年は、鉄道開業150年とともに、国鉄分割民営化から35年の節目です。“親方日の丸”とか“乗せてやっている”といった体質を批判されたこともあった国鉄。その組織を分割して受け継いだJR各社ですが、合理化を寂しいものだと利用客に思われないよう、接客態度も含めて頑張っていってほしいものです。
 
執筆者:上野慎一
AFP認定者,宅地建物取引士

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