手取り9万、「生活保護」を受給したいのですが、通勤に必要でも車を手放さなければならないのでしょうか…?
配信日: 2022.11.26
なお、受給要件の中には「資産の活用」という項目があります。資産には車も含まれるため原則処分が必要です。ただし、通勤や通院などで必要な人には保有が認められるケースもあります。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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生活保護の基礎知識
生活保護とは、日本国憲法第25条の理念に基づいて設けられている社会保障制度です。「最後のセーフティーネット」とも呼ばれる本制度では、経済的困窮者の自立のサポートを目的として、必要な保護と最低限度の生活保障を行っています。
・生活保護の種類
生活保護は、「生活扶助」、「住宅扶助」、「教育扶助」、「医療扶助」、「介護扶助」、「出産扶助」、「生業扶助」、「葬祭扶助」の8種類です。それぞれの実情に応じて各種扶助が支給されます。
・生活保護は世帯が対象
生活保護は個人ではなく世帯が対象です。そのため、受給するためには世帯員全員が国の定める要件を満たした上で、世帯の収入が生活扶助基準額を基に決定される最低生活費を下回っている必要があります。
・受給要件は4つ
生活保護の受給要件は、(1)資産の活用(2)能力の活用(3)あらゆるものの活用(4)扶養義務者の扶養の4つです。(1)では、預貯金や未利用の家屋と土地を売却して生活費に充てる必要があります。
(2)では、働ける人は能力に応じて働くことが必要です。(3)では、生活保護以外の社会保障制度を先に利用することが求められます。(4)では、生活保護を申請する前に、民法877条1項に規定された扶養義務者から援助を受けることが必要です。
・生活扶助基準額とは
最低生活費の基準になる生活扶助基準額は、5年に1度行われる有識者による議論を踏まえた上で、厚生労働大臣が決定します。例えば、2022年4月1日時点の20~40歳の生活扶助基準額は、月額3万2570~4万7420円です。なお、当基準額は年齢、世帯員数、居住地域などによって異なるため、金額には幅があります。
生活保護は働いていても受給できる
生活保護は、国が定める要件と世帯の収入が、国が定める最低生活費を下回っている場合に、最低生活費と世帯の収入の差額分が支給されます。そのため、要件を満たした上で世帯の収入が最低生活費を下回っていれば、「働いていても受給可能」です。
車は処分が原則だが例外もある
車は受給要件(1)の資産に含まれます。そのため、生活保護を受給するためには、「原則として車の処分が必要」です。ただし、通勤や通院に必要で「一定の要件」を満たす人の中には、保有が認められるケースも少なくありません。なお、一定の要件は各自治体によって異なります。そのため、厚生労働省では社会福祉事務所への相談を推奨しています。
最低生活費や車保有の要件は社会福祉事務所に問い合わせよう
生活保護は、日本国憲法第25条に規定されている「健康で文化的な最低限度の生活」を保障する制度です。国が定める要件を満たした上で、世帯の収入が生活扶助基準額を基に算出される最低生活費を下回っていれば、働いていても受給できます。
また、受給要件に含まれる車の処分も、生活にどうしても必要で一定の基準を満たしていれば保有可能です。なお、最低生活費や車の保有に関する一定の要件は居住地域などによって異なるため、詳細は最寄りの社会福祉事務所に問い合わせましょう。
出典
厚生労働省 生活保護制度
厚生労働省 生活保護制度における生活扶助基準額の算出方法(令和4年4月)
e-Gov 法令検索 生活保護法
e-Gov 法令検索 民法
東京都西多摩福祉事務所 生活保護のてびき
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部