更新日: 2022.11.29 子育て

ひとり親世帯が保育園・幼稚園を利用する時、費用はどうなる?

ひとり親世帯が保育園・幼稚園を利用する時、費用はどうなる?
ひとり親は、働きながら子育てしなくてはならないケースが多いでしょう。
 
働くということは、保育園や幼稚園に子どもを預けることが必須となり、施設の利用費やその他の費用が気になるところです。
 
0歳から預ける場合、保育料はどのように計算されるのでしょうか。また、延長保育や休日保育、一時預かり、病児保育などを利用したらどうなるのか、幼児教育・保育の無償化制度はどのように適用されるのか、確認してみましょう。
篠原まなみ

執筆者:篠原まなみ(しのはら まなみ)

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者、行政書士

外資系証券会社、銀行で20年以上勤務。現在は、日本人、外国人を対象とした起業家支援。
自身の親の介護、相続の経験を生かして分かりやすくアドバイスをしていきたいと思っています。

保育園・幼稚園の制度

ひとり親が働きながら子育てをするのには、ひと昔前は祖父母が手を貸してくれたということがありましたが、現代は(特に都会は)核家族化が進み、子どもを預かってくれる施設が、働く親の助けとなってくれています。
 
子どもを預かってくれる施設として、(認可、認可外、認証※1)保育園、(公立、私立)幼稚園、幼保一体型施設の認定こども園、一時預かり、病児保育などがあります。
 
保育園と幼稚園は、設立目的が異なります。保育園は、厚生労働省が管轄で、病気や仕事などの親の事情で十分な保育ができない子どもを、家庭に代わって預かることを目的としています。一方、幼稚園は、文部化科学省の管轄で教育を受けさせることが目的とされております。小学校に入る準備段階と考えると分かりやすいかもしれません。
 
それぞれの目的の違いから、保育園と幼稚園の運営には次のような特徴があります。
 
保育園は、0歳児から小学校就学時まで入園できます。預ける時間は、認可保育園の場合は、保育標準時間(最大11時間)と保育短時間(最大8時間)の2つがあり、その中で就労などにより保育が必要となる時間の利用となります※2。 
 
認証保育園は、13時間以上の開所が義務付けられています。認可外保育園の保育時間は、明確に定められた時間はありません。また給食提供があり、暦年で運営されています。
 
幼稚園は、3歳児(年少)から5歳児(年長)までの児童を預かります。平均保育時間は、4時間で、幼稚園によって登園時間は異なりますが、一般的に8時半~9時半に登園し、降園時間は、13時半~14時に設定している園が多いようです。給食は園の任意で、夏休みや冬休みがあります。
 

保育園・幼稚園の費用

幼稚園と保育園は料金のシステムが異なります。幼稚園の費用は一律で決まっていますが、認可保育園は世帯収入や子どもの年齢に応じて保育料が変わります。ただし、認可外保育園では、幼稚園と同じように一律の保育料を支払う仕組みのところもあります。
 
幼稚園では、入園料、送迎バスの費用、預かり保育の費用など、保育園にはかかってこない費用がかかってきます。認可保育園や認定こども園の月額料金は全国平均2万円、認証保育園は4万円、認定外保育園は施設により料金が異なりますが平均5万~6万円かかります。公立幼稚園は月額全国平均2万円、私立幼稚園は4.4万円となっています※3。
 

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幼児教育・保育の無償化制度

幼児教育の負担軽減を図る少子化対策として、2019年10月から「幼児教育・保育の無償化」が実施されました。無償化の対象は入園料と保育料です。金額は、子どもの年齢や数、入所先により異なります。
 
認可保育園では、3歳から5歳のすべての子どもと住民税非課税世帯※4の0歳から2歳の子どもは、利用料金※5が全額無償です。幼稚園は、月額2.57万円までの利用料が無償で、認可外保育園※6は、3歳から5歳のすべての子どもは月額3.7万円まで、住民税非課税世帯の0歳から2歳の子どもは月額4.2万円までの利用料が無償です。
 
認可保育園の場合は、2人以上の子どもがいる世帯では、保育所等を利用する最年長の子どもを第1子とカウントして、0歳から2歳までの第2子は半額、第3子は無償になります。ただし、年収360万円未満相当の世帯については、第1子の年齢は問いません。
 
また幼稚園の預かり保育の利用の場合は、利用日数に応じて最大月額1.13万円までの利用が無償です※5。休日保育の場合は、保護者の多様な勤務形態に応じて、保育標準時間、保育短時間の認定された保育必要量の範囲内で特定の平日に代えて利用する場合は、無償化の対象となりますが、通常の保育標準時間・保育短時間以外にスポットで利用する場合は、延長保育や一時預かりに該当するとされます※7。
 
延長保育は、無償化の対象ではありませんが、自治体によって独自に世帯所得等に応じた軽減を行っている場合もあります※7。
 

まとめ

幼稚園、保育園等の違いを見てきましたが、ひとり親で0歳から子どもを預ける場合は、運営時間や費用の面から考えて認可保育園が使い勝手がよさそうです。併せて緊急時に預かってくれる一時預かりや、病気の時に預かってくれる病児保育を検討してみてください。
 
なお、一時預かりや病児保育は、認定保育園と併用して利用する場合は、無償化の対象にはなりません※7。
 
(※1)認可保育園は、国が定めた設置基準(施設の広さ、保育士等の職員数、給食設備、防災管理、衛生管理等)をクリアして都道府県知事に認可された施設です。認可外保育園は、設置・運営に関して認可保育園よりも緩やかな基準が設けられている保育施設です。認証保育園は、東京都独自の制度です。
(※2)父母のうち就労時間が短いほうで認定されます。それぞれの条件は、自治体ごとに異なります。
(※3)文部科学省 平成30年度子供の学習費調査の結果について
(※4)一定の収入以下の世帯は、住民税が非課税になります。住民税非課税世帯かどうかを調べるためには、住所地の市区町村の役所に教えてもらうのが確実です。
(※5)通園送迎費、食材費、行事費などは補償外です。
(※6)対象となるためには、市町村から「保育の必要性の認定」を受ける必要あります。
(※7)内閣府 幼児教育・保育の無償化に関する 自治体向けFAQ 【2019年7月31日版】
 
執筆者:篠原まなみ
AFP認定者、宅地建物取引士、管理業務主任者、第一種証券外務員、内部管理責任者

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