更新日: 2022.12.14 子育て
私立高校も「実質無償化」!? 所得制限や要件を確認
本記事では、私立高校の授業料が無償になるための条件や、高等学校就学支援金の所得制限などについて解説します。私立高校への進学を考えている人は参考にしてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
2020年4月から年収590万円未満の支援額が増額
2020年度より、世帯年収590万円未満における高等学校等就学支援金の上限額が、年39万6000円にまで引き上げられました。それまでは上限額が17万8200円だったので、大幅なアップです。なお、世帯年収590万円というのは、両親どちらかのみが働いている場合です。
共働きの場合は、「市町村民税の課税標準額×6%-市町村民税の調整控除の額」が15万4500円未満だった場合は、年39万6000円が支給されます。15万4500円以上30万4200円未満だった場合は、年11万8800円が支給される仕組みです。
また、30万4200円以上だった場合は、高等学校等就学支援金は受けられません。つまり、所得によって支援額が異なります。
都道府県独自の支援制度を加えれば実質無償化することもある
文部科学省の調査によると、私立高校(全日制)における学費の相場は、授業料や課外活動費など全てを含めると3年間で290万4230円、年間90万円超の費用がかかります。私立高校の学費は学校によって異なりますが、文部科学省の高等学校等就学支援金だけでは実質無償化とはいきません。そのため、各都道府県が独自の支援制度を設けています。
例えば大阪府の場合、「市町村民税の課税標準額×6%-市町村民税の調整控除の額」が15万4500円未満だった場合は、年20万4000円が支給されます。高等学校等就学支援金と併せると60万円の援助が受けられるため、授業料だけならほぼ無償となるでしょう。
子どもの人数に応じて所得制限がある
高等学校等就学支援金や都道府県独自の支援制度には所得制限がありますが、ここまで紹介してきた所得制限の上限額は、子どもが1人の場合です。
子どもが増えれば所得制限の上限額は上がりますが、子どもが中学生と高校生など高校在学が1名だけの場合は1名としてカウントされます。家族で所得を得ている方が1名の場合より、2名の場合のほうが所得制限の上限額は高めですが、それでも世帯所得が600万円を超えると段階的に支援額は少なくなっていきます。
教材代や制服代などは必要
文部科学省や自治体が支援するのは、あくまでも授業料のみです。入学金、制服代、教材費、修学旅行積立金などは自分で用意しなければなりません。私立高校の場合、入学金が数十万円、制服代に約10万円、修学旅行費に10~30万円程度かかるところも珍しくないでしょう。
「私立高校実質無償化」といっても、入学してから1ヶ月間に100万円近くの費用が必要になることもあります。したがって、貯金が全くなく、教育にかけられるお金が0では私立高校に通わせるのは難しいでしょう。特に入学してからゴールデンウィークごろまでは、まとまったお金が必要になることが多いので注意してください。
完全無料ではないが所得によっては私立高校へ安価に通うことは可能
「私立高校実質無償化」といっても、完全に無料になるわけではありません。入学金、制服代、教科書代などがかかります。しかし、私立高校は授業料だけでも年間50~70万円程度かかることが多いので、それが無償になるのはとてもありがたいことです。
文部科学省の高等学校等就学支援金と自治体の支援制度を利用すれば、公立高校と同レベルの負担で私立高校に通うこともできるでしょう。私立高校の受験を考えている人は、まず授業料以外にどのくらいお金が必要かを調べ、心もとなければ奨学金なども利用してみましょう。
出典
文部科学省 高等学校等就学支援金について
文部科学省 平成30年度子供の学習費調査の結果について
大阪府 大阪府の私立高校無償化制度について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部