更新日: 2022.12.29 子育て

【給与は減少・学費は上昇】まじめに働いても「子どもを大学に通わせる」のは難しい? 平均年収と学費の推移を確認

【給与は減少・学費は上昇】まじめに働いても「子どもを大学に通わせる」のは難しい? 平均年収と学費の推移を確認
日本学生支援機構の「学生生活調査」によれば、令和3年に大学昼間部に通う学生の約半数が奨学金を受給しています。ちなみに20年前の平成14年に奨学金を受給している学生の割合は31.2%でした。
 
奨学金受給者が大幅に増えたのは、家庭の経済状況が厳しい学生が増えたからでしょうか。20年間の平均年収、大学の学費、奨学金受給者の割合の推移を基に検証していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

平均年収の推移

国税庁の「民間給与実態統計調査」を基に、20年前の平成14年から平均年収がどのように変化してきたのか推移を見てみましょう。
 
平成14年の平均給与は448万円で20年間の中で最も高い水準でした。この金額をピークとして、平成20年まではわずかずつ減少してきました。
 
平成21年には前年を21万円も下回る406万円まで落ち込んだ後、この金額を底値として増減を繰り返し、平成25~30年までは増加し、平成30年には441万円まで持ち直しています。
 
令和に入り、コロナ禍の影響により令和元年、2年は減少に転じた後、令和3年には3年ぶりに上昇し、443万円になりました。
 
とはいえ、20年前の水準にはまだ戻っておらず、平均年収は20年前よりも少ない状況です。
 

大学の学費と入学料の推移

文部科学省の「国立大学と私立大学の授業料の推移」によると、平成14年の私立大学の授業料は80万4367円、入学料は28万4828円でした。私立大学の授業料は年々増加の一途をたどっており、入学料はやや減少傾向です。
 
令和3年には授業料が93万943円、入学料が24万5951円になり、平成14年からの20年間で授業料は12万6576円増加しました。入学料は20年前と比べると安くなってきているとはいえ、授業料の値上げ幅が大きいことが原因となり、20年前よりも私立大学の学費は総じて高くなっています。
 
国立大学は平成14年に入学料が28万2000円となり、授業料が平成17年に53万5800円になった後は変化していません。
 
公立大学は平成14年の授業料が49万6800円、入学料が39万4097円だったのに対し、令和3年には授業料が53万6363円、入学料が39万1305円になり、授業料が約4万円増加しました。
 
大学の学費は国公立・私立を問わず20年前よりも値上げされており、中でも私立大学の値上げ幅が大きくなっています。
 

奨学金を受給する学生の割合の推移

日本学生支援機構が2年に1回公表している「学生生活調査」で、大学昼間部に通う学生の奨学金の受給割合がどのように推移してきたのかを見てみましょう。入手できた最も古い平成14年のデータをベースに比較していきます。
 
平成14年度の奨学金受給割合は31.2%でしたが、2年後の平成16年度は41.1%と9.9%も増加しました。平成18年は40.9%とわずかに減少したものの、平成20年度は43.3%、平成22年度は50.7%、平成24年度は52.5%と増加の一途をたどっています。
 
平成24年をピークとして平成26年は51.3%、平成26年は51.3%、平成28年は48.9%、平成30年は47.5%と減少傾向でしたが、令和2年(最新のデータ)は49.6%と再び増加に転じています。
 
大学昼間部に通う学生の約半数は奨学金を受給している状況です。平成14年からの20年で奨学金を受給する学生は18.4ポイント増加しました。
 

平均年収は20年前と比べて減少したのに大学の授業料は値上げされているため奨学金受給者は増えている

20年前の平成14年から令和3年までの平均年収、大学の学費、奨学金受給者の推移を見てきました。平均年収は20年前より減少傾向、大学の学費は国立こそ平成17年以降は据え置かれているものの、公立・私立は値上げ傾向にあります。
 
それに伴い、奨学金を受給する学生の割合も高まっており、学生のうち2人に1人は奨学金受給者となる時代です。大学生がいる家庭にとっては、なかなか厳しい状況が続いているといえます。
 

出典

国税庁 平成24年分民間給与実態統計調査 調査結果報告
国税庁 平成30年分民間給与実態統計調査 調査結果報告
国税庁 令和3年分民間給与実態統計調査 調査結果報告
文部科学省 私立大学の初年度学生納付金等の推移
文部科学省 私立大学等の令和3年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
文部科学省 平成18年度学生納付金調査結果
文部科学省 2021年度学生納付金調査結果
文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移
独立行政法人日本学生支援機構 学生生活調査・高等専門学校生生活調査・専門学校生生活調査
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

【PR】子どもの教育費はいくらかかるの?かんたん30秒でシミュレーション

PR
FF_お金にまつわる悩み・疑問 ライターさん募集