「ガス料金が高い!」そんなときは「請求明細」を確認! 標準的なガス料金の構造や計算方法について解説
配信日: 2022.12.29
執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
標準的な都市ガス料金の構成要素
ガスの契約形態については、都市ガスやプロパンガスがありますが、この記事では、標準的な都市ガス料金の事例として、東京ガスの情報を参考に記載します。なお、記載の数値などについては、東京地区等の家庭用、一般契約料金をモデルとしています。
ガス料金の基本的な算定方法は、「基本料金+従量料金」です。また、従量料金の内訳は、「単位料金×ガス使用量」で算出されます。
基本料金は、ガスメーターや供給配管などの設備の費用や点検調査、事務手数料などガス使用量にかかわりなく、毎月一定額となる料金です。従量料金は、一定の使用期間のガス使用量に比例して料金が課されるものです。
各家庭内での「節ガス」などの努力によって、ある程度使用量の節約を図ることは可能ですが、算定の単価となる「単位料金」が毎月のように値上げ更新されているため、ガス料金の高騰に歯止めがかからない状況となっています。
単位料金とは
単位料金は、「基準単位料金±原材料価格変動による調整額」によって決定されます。
つまり、あらかじめ定められた基準単位料金に原料費調整による調整額を加算または減算して算定します。
原材料調整による調整額は、都市ガスの原料であるLNG(液化天然ガス)やLPG(液化石油ガス)の原料費の変動をガス料金に迅速に反映させるために使用されます。これらの原料費は、為替レートや原油価格の動きに大きく影響を受け、昨今では円安傾向やウクライナ情勢などの影響を受け価格の上昇が続いています。
ちなみに、東京ガスでは、貿易統計に基づく3ヶ月の平均原料価格と、基準となる原料価格(基準平均原料価格)とを比較して、その変動分について、算定期間の最終月から3ヶ月後の検針分に反映することとなっています。(例えば、6月分から8月分までの平均価格に基づく影響が11月分から反映される)
東京ガスの一般契約のガス料金表は図表1のとおりです。1ヶ月のガス利用料に基づき、料金表のA表からF表の料金を適用します。従量料金算定の単価となる単位料金は毎月改定され、2022年11月検診分と1年前の2021年11月検針分を比較すると「50.87円/m3」も値上がりしていることがわかります。
図表1
東京ガス ガス料金表より筆者作成
同じ30m3を使用した場合のガス料金を1年前と比較してみると、
2021年11月分:1056円+129.30円×30m3=4935円
2022年11月分:1056円+180.17円×30m3=6461円
と、プラス1526円増加(約31%増)しています。
まとめ
電気料金の高騰の原因もほぼ同様ですが、原材料や燃料費のほとんどを海外からの輸入に依存せざるを得ないわが国では、それらの価格の高騰が電気やガスなどの料金に直接影響を受けています。そして、そのしわ寄せは一般消費者であるわれわれが少しずつ負担することとなります。
まだまだ不安定な国際情勢は続くことになるでしょう。政府による負担軽減支援策などにも少しばかり期待しつつ、「寒い冬」を乗り越えてまいりましょう。
出典
東京ガス株式会社 ガス料金表(家庭用/業務用・工業用 共通)
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー