更新日: 2023.01.17 その他暮らし
眠った口座にある預金は社会貢献に使われる! 休眠預金等活用法とは?
休眠預金等活用法は、眠ったままの預金を社会の課題解決の資金に充てようという趣旨の法律です。本記事では、休眠預金等活用法の概要や目的、休眠預金等になる預金等の種類、自分の預貯金が休眠預金等になったときの対応方法を解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
休眠預金等活用法とはどんな法律?
2019年に適用がスタートした「休眠預金等活用法」は、正式には「民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律」といいます。2009年1月1日以降、最後の取引から10年以上取引がない預貯金など(休眠預金等)を眠らせたままにせず、社会課題の解決や民間公益活動促進の資金に充てることを定めた法律です。
休眠預金等活用法の目的や対象となる預貯金などの範囲は、以下のとおりです。
休眠預金等活用法の目的
一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)によると、休眠預金等活用の目的は次の2つです。
●国、地方公共団体が対応困難な社会の諸課題の解決を図る
●民間公益活動を担い手の育成と民間公益活動に係る資金調達の環境を整備
以上の目的を達成することで、休眠預金等活用法には次のような効果が期待されています。
●社会の諸課題の解決のための自律的で持続的な仕組みが構築(社会課題解決能力の飛躍的な向上)
●民間公益活動を行う団体の資金的自立性と事業の持続可能性を確保(SDGsの達成にも貢献)
休眠預金等活用法の対象となる「休眠預金等」とは
休眠預金等活用法に定める休眠預金等とは、入出金などの取引が10年以上ない預貯金などを指します。「預金等」には、普通預金のほか、定期預金や定期積金などが含まれます。預金等に該当するもの、しないものの具体例は、図表1のとおりです。
【図表1】
預金等に該当するもの | 預金等に該当しないもの |
---|---|
・普通・通常預貯金 ・定期預貯金 ・当座預貯金 ・別段預貯金 ・貯蓄預貯金 ・定期積金 ・相互掛金 ・金銭信託(元本補填あり) ・金融債(保護預りあり) |
・外貨預貯金 ・譲渡性預貯金 ・金融債(保護預りなし) ・郵政民営化前に郵便局に預け入れた定額郵便貯金等 ・財形貯蓄 ・仕組預貯金 ・マル優口座 |
出典:金融庁 長い間、お取引のない預金等はありませんか?
休眠預金等活用法による休眠預金等の活用事例
休眠預金等活用法では、図表2に挙げる3分類8項目を「優先的に解決すべき社会課題」として、解決に力を入れています。
【図表2】
子ども及び若者の支援に係る活動 | 日常生活またはや社会生活を営む上での困難を有する者の支援に関する活動 | 地域社会における活力の低下その他の社会的に 困難な状況に直面している地域の支援に関する活動 |
---|---|---|
・経済的困窮など、家庭内に課題を抱える子どもの支援 ・日常生活や成長に困難を抱える子どもと若者の育成支援 ・社会的課題の解決を担う手になる若者の能力開発支援 |
・働くことが困難な人への支援 ・孤独・孤立や社会的差別の解消に向けた支援 ・女性の経済的自立への支援 |
・地域の働く場づくりや地域活性化などの課題解決に向けた取組の支援 ・安心・安全に暮らせるコミュニティづくりの支援 |
出典:一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)「休眠預金等活用とは」
また、休眠預金等を活用して実施された取り組みに「新型コロナウイルス対応緊急支援助成」があります。これは、コロナ禍の影響で支援ニーズが増大したことを受け、緊急支援として実施されたものです。
2022年度には原油価格・物価高騰が続く情勢を受けて支援範囲が拡大され、「新型コロナ及び原油価格・物価高騰対応支援枠」として、民間公益活動を行う団体への緊急支援が継続されています。
自分の預金が休眠預金等になったら引き出しはできる?
休眠預金等になっても、預金の持ち主の権利が失われるわけではありません。金融機関で手続きをすれば、預金を引き出せます。取引のあった金融機関に問い合わせたうえで、通帳やキャッシュカードと本人確認書類などを持参して手続きをしましょう。
なお、引き出しには時間がかかることがあるため注意が必要です。また、休眠預金等を引き出すときに元の口座をそのまま使えるか、現金化して引き渡しになるのかは、金融機関によって異なります。
休眠預金等活用法によって眠ったままの預金に意義が生まれる
休眠預金等活用法は、長年眠ったままになっている多額の預貯金を、民間公益活動の促進のために活用できるように定められた法律です。忘れられたり名義人がいなくなったりしたまま金融機関で眠ったままの預貯金が、この法律によって社会のために有効活用されるようになりました。あなたの身の回りで行われている取り組みにも、休眠預金等が利用されているかもしれません。
出典
e-Gov法令検索 民間公益活動を促進するための休眠預金等に係る資金の活用に関する法律
内閣府 民間公益活動促進のための休眠預金等活用
一般財団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA) 休眠預金等活用とは
金融庁 長い間、お取引のない預金等はありませんか?
一般財団法人 日本民間公益活動連携機構(JANPIA) 資金分配団体の公募 新型コロナウイルス対応緊急支援助成<随時募集>
一般財団法人 日本民間公益活動連携機構(JANPIA) 資金分配団体の公募 新型コロナ及び原油価格・物価高騰対応支援枠<2022年度随時募集>
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部