更新日: 2023.01.18 子育て

「年収590万円未満」ならタダで高校に行ける?「高校無償化」の対象について解説

執筆者 : 山根厚介

「年収590万円未満」ならタダで高校に行ける?「高校無償化」の対象について解説
「高校無償化って、高校に通う費用が一切かからないということ?」と思われる人も多いのではないでしょうか?
 
高校無償化により家計が助かるという世帯は多いとは思いますが、費用が一切かからないわけではありません。また、高校無償化は世帯収入による制限もあります。
 
今回は高校無償化の対象世帯や注意点などを解説します。
山根厚介

執筆者:山根厚介(やまね こうすけ)

2級ファイナンシャルプランニング技能士

高校無償化とは?

高校無償化とは「高等学校就学支援金制度」のことで、高校の授業料を支援する目的で2010年から始まった国の制度です。支給要件を満たせば返還不要の支援金により授業料が無料となります。
 
高校無償化は、日本国内に在住・在学していれば、国公立高校だけでなく私立高校でも適用されます。それだけではなく、全日制、定時制、通信制すべてが対象であるほか、後期中等教育にあたる高等専門学校などでも適用されるのが特徴です。
 

どんな人が対象になる?

高校無償化の対象世帯となるかは、世帯の収入で決まります。
 
保護者の市町村税の課税標準額×6%-市町村民税の調整控除額
 
対象となるには、上記の計算結果が30万4200円未満であることが必要です。年収に換算すると約910万円未満で、この場合は支援金が年間に11万8800円が支給されます。この金額は公立高等学校の授業料に相当し、そのため、国公立高校であれば授業料負担が「実質0円」になります。
 
年収が約910万円以上の場合は、高校無償化の対象にはならないため、授業料の支援はありません。
 
先ほどの試算結果が15万4500円未満の場合は、年間支給額が39万6000円に増額されます。年収の目安は約590万円です。また、私立高校授業料無償化のため、私立高校に通う場合は1ヶ月当たり2万3100円が加算され、年間39万6000円が支給されます。
 
ただし、これは両親・高校生・中学生の4人家族で、片働きのケースを想定しています。家族構成などで年収の目安は異なるため、実際に対象になるかどうかは、先ほどの計算式で実際に計算してみましょう。
 
またこの制度は、都道府県によって国の制度に上乗せして学費を支援する制度があります。例えば、広島県では私立高校在学者への支援として年額39万6000円で授業料をカバーできない場合は差額が補助されるほか、入学金も世帯年収の条件はありますが18万円までの補助があります。お住まいの都道府県での制度の概要は、必ず確認しておきましょう。
 

高校無償化の対象は授業料のみ

高校無償化の注意点は、支援の対象が授業料のみだということです。高校に通う場合、授業料以外にも費用はかかります。以下にいくつか例を挙げてみます。

・教材費
・制服費
・施設整備費
・PTA会費
・部活動費
・修学旅行の積み立て

これらの費用は高校によって大きく金額が異なります。特に私立高校の場合は、施設整備費や制服費、修学旅行の積み立てが高額になることがあります。高校無償化によって授業料が無償になったとしても、これらの費用は負担する必要があることを忘れないでおきましょう。
 
ちなみに施設整備費については、2021年の全国平均は年間14万8315円で、1ヶ月あたりに直すと約1万2300円です。
 

高校無償化でもタダで通えるわけではない、あらかじめ費用を確認しておきましょう

このように、高校無償化とはいっても、タダで通えるわけではありません。また、高校無償化の対象になることが決定して実際に支援金が支給されるまでの間の授業料は、立て替え払いをしておく必要があります。
 
進学してから慌てないように、授業料だけでなく施設整備費や制服費なども含めて、どの程度の費用がかかるのか調べておきましょう。
 

出典

文部科学省 高等学校等就学支援金制度
文部科学省 就学支援金リーフレット
広島県 令和4年度 私立高等学校授業料等の負担軽減について
文部科学省 令和3年度私立高等学校等初年度授業料等の調査結果について
 
執筆者:山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士

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