更新日: 2023.01.21 その他暮らし

「会社員はもう買えない」。高級腕時計の相次ぐ値上げに悲鳴を上げる時計オーナー

「会社員はもう買えない」。高級腕時計の相次ぐ値上げに悲鳴を上げる時計オーナー
「若者の〇〇離れ」というワードが市民権を得て久しく、その代表格ともいえるのが「腕時計離れ」ではないだろうか。
 
その実情についてはさまざまな意見があるが、近年は各ブランドのすさまじいスピードでの値上げによって、「高級腕時計の会社員離れ」が起こりつつあるという。
 
その渦中にいる高級腕時計オーナー歴10年のAさん(仮名、40歳)は、高給腕時計が会社員の手に届かなくなりつつある現状に頭を抱えている。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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会社員に「高級腕時計=趣味」はハードルが高すぎ!

「元々、高級腕時計の価格は『現在が一番安い』というのが定説なのです。ただそれにしても、ここ数年の値上げは会社員にとってはキツすぎます」
 
そう語るのは、大手インフラ関係企業の技術職として働いているAさんだ。幼い頃から機械いじりが好きで、新卒で現在の会社に入社した後は、休日に車やバイクなどをカスタマイズして楽しんでいた。高級腕時計にハマったのは、30歳の記念に30万円程度の舶来品を購入してからだという。
 
「現在では、当時の価格で50~80万円程度の時計を5本ほど所有しています。ロレックスなどの認知度が高いモノではなく、少しニッチなブランドが多いですかね。ただ、今では100万円を出さなければ買えなくなってしまった時計も少なくありません。私みたいなごく普通の会社員にとっては、100万円のボーダーを超えてしまうと心理的なハードルは価格以上になってしまうんですよ」
 
高級腕時計の値上げは、「1年に数回」行われることが少なくない。一回の値上げは数パーセントであるものの、元々定価が高い腕時計なので値上げ金額もハンパではない。実際、半年で60万円も定価が上がった例もある。
 
また、高級腕時計のなかでも、Aさんが好んで購入する価格レンジのブランドは比較的値上げの頻度が少ない傾向があったが、2022年は円安や材料の高騰などもあり、値上げが相次いだのだという。
 

昇給が値上げに追いつかない! 高級時計の入り口は狭くなるばかり

「1年に10万円も値上げするのがザラなのに、給料は上がっても年数千円。経営者や自営業者の方と比べて、『頑張ってもうける』ことがなかなかできません。はっきりいって、私を含めて一般的な会社員が高級腕時計を購入するには、ローンに頼らざるを得なくなりますよ。ただ車や家とは違って必需品ではない時計にローンを支払い続けるとなると、購入のハードルはますます高くなるでしょう」
 
元々Aさんは、購入資金を貯金して全額一括で払えるようになったら購入するというプロセスを踏んでいる。しかし、2022年は値上げによってお目当ての時計が10万円以上も値上がりしてしまい、購入が3ヶ月以上も遠のいた。
 
「数ヶ月間隔で価格改定するケースもあるので、実際に購入するまで震えていましたよ(笑)。私には家庭があるので、自分のために貯金できる金額は月3万円あればよいほうです。ただ、私は高級腕時計の価格は『技術料』だと考えているので、職人さんの立場を思えば値上げそのものに反対ではありません。
 
一方、新しい技術や製品でもなく、サービスが向上するわけでもないのに値段ばかりが上がる現状を、無制限に受けいれられるほどの余裕はありません。もしかしたら、日本においては『会社員でも頑張れば手が届く』という価格帯の時計が少なくなることによって、若者たちの時計への興味がますます薄れてしまうのではないかと不安です」
 

収入と懐に見合った趣味の楽しみ方を模索する

今後、Aさんは副業や時計のための投資なども模索しながら、値上げされても動じない収入の確保を目指すという。その一方、国産の10万円以下で手に入るお手頃な機械式腕時計やビンテージものの時計も視野に入れつつ、「コスパよく心が満たされる時計」を探している。
 
「時計はあくまで趣味。美しいムーブメントなどを見て楽しむのであれば、新品や定価で買わなくても手段はたくさんあります。収入アップはもちろん、時計を手に入れるという『物欲』や『所有欲』以外で時計を愛する楽しみ方を模索していきたいですね」
 
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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