更新日: 2023.01.23 その他暮らし
日本人はお金オンチ? 2022年金融リテラシー調査でみる金融教育の必要性
本記事では、金融広報中央委員会「金融リテラシー調査2022年」の結果をはじめ、金融教育の定義や必要性について解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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2022年金融リテラシー調査の概要
金融広報中央委員会は、金融リテラシー(お金の知識・判断力)の現状把握を目的に、全国の18歳以上の個人を対象とした「金融リテラシー調査」を実施しました。
2022年2月25日~3月14日に全国の18~79歳の3万人を対象にした調査結果によると、家計管理や生活設計といった金融教育を学校などで受けたと認識している人の割合は全体の7.1%、家庭で受けたと認識している人の割合は全体の18.4%、金融知識について自信のある人は全体の12.0%となっています。
日本の金融教育の遅れは、米国や経済協力開発機構(OECD)と共通の正誤問題の正答率にも現れています。米国調査と比べると、日本は47%、米国は50%という結果でした。また、OECD調査の「金融知識に関する設問の正答率」と比べた場合、図表1のように日本が最下位の結果となっています。
【図表1】
日本 | 英国 | ドイツ | フランス | ||
---|---|---|---|---|---|
5問の平均正答率 | 59% | 60% | 68% | 67% | |
1 | 金利 | 68% | 57% | 63% | 65% |
2 | 複利 | 39% | 36% | 40% | 34% |
3 | インフレの定義 | 63% | 80% | 85% | 79% |
4 | リスクリターン | 75% | 74% | 80% | 80% |
5 | 分散投資 | 50% | 52% | 71% | 74% |
出典:金融広報中央委員会 金融リテラシー調査(2022年)
金融教育の定義とは? 内容と必要性を解説
金融教育の支援を行う金融広報中央委員会では、金融教育の定義を「お金や金融のさまざまな働きを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育」と伝えています。
また、金融教育の目的は「自立する力の育成」「社会と関わる力の育成」の2点で、社会で生活するためのスキル、お金への必要知識や判断力が身に付くとしています。
【金融教育の必要性】
金融教育を通して、お金の働きや役割、経済の仕組みや課題を学ぶことは、よりよい生き方を見つけるにあたって有効です。
また、現代社会において、お金と関わらない生活はできません。金銭を管理する際の知識がなければ、生活に困窮する事態に発展するリスクが高くなるでしょう。適切な金銭管理ができなかった結果「必要なタイミングでお金を用意できなかった」「人生の選択肢が限定された」「後先を考えずハイリスクの投資で損をした」となるケースも考えられます。
金融教育はできるだけ早い年齢から始めたほうがよい
高校家庭科の学習内容に資産形成が加わるなど、金融教育の後押しがみられるなか、家庭での対応や取り組みについて悩む保護者も多いかもしれません。金融教育はできるだけ早い年齢から始めるのが有効です。
すぐにお金の価値を理解するのは難しいかもしれませんので、就学前の子どもなら普段の遊びのなかにお金のやりを取り入れたり、ゲームや絵本から学んだりするとよいでしょう。
就学後の子どもなら、お小遣いを渡して決められたお金を管理させるといった対応を取り入れてみてください。その際に、お小遣いの使い道に保護者は口出しをせず、子どもに考えさせることが重要です。失敗をしても、次回の改善点を学ぶ機会になります。
お金に関する正しい知識と適切な判断力を習得しよう
欧米と比べた場合、日本の金融教育は遅れを取っている傾向です。2022年4月より、高校家庭科で資産形成の視点に触れた授業が行われ「生活における経済の計画」という項目のなかに家計管理が含まれています。
若年層の金融教育に関心が高まっていますが、金融と社会の仕組みに理解を深めることは全世代において重要です。特に自身で資産管理や形成を行うにあたって、正しい金融知識や適切な判断力は不可欠といえる点を認識しておきましょう。
出典
金融広報中央委員会 知るぽると 金融リテラシー調査(2022年)
金融広報中央委員会 知るぽると 金融教育プログラム-社会の中で生きる力を育む授業とは- 1. 金融教育のねらいと基本的性格 (1)金融教育とは?
金融広報中央委員会 知るぽると 金融教育プログラム-社会の中で生きる力を育む授業とは- 1. 金融教育のねらいと基本的性格 (3)金融教育の意義と魅力
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部