更新日: 2023.01.26 その他暮らし

自己都合と会社都合で失業手当の支給時期が違うって本当?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

自己都合と会社都合で失業手当の支給時期が違うって本当?
失業したときの退職理由は、大きく「会社都合」と「自己都合」に分けられます。どちらでも同じと考える人もいるかもしれませんが、そうではありません。失業手当を受け取れるタイミングや受給要件の面で、両者には大きな違いがあります。
 
本記事では、自己都合退職と会社都合退職の失業手当の支給時期や支給要件、給付日数、金額の違いを比較します。退職理由ひとつで失業手当の受給条件が全く異なることを知っておきましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

自己都合退職と会社都合退職の失業手当支給時期の違い

失業手当(雇用保険の基本手当)は、正当な理由がなく自己都合で退職した人と倒産や解雇などの会社都合で退職した人(特定受給資格者)とで支給時期が異なります。
 
失業手当を受給するには、受給資格決定日(離職票提出・求職申し込みをした日)から7日間の待機期間を満了したのち、さらに離職理由などによる給付制限期間を経て支給されます。自己都合退職の場合、2ヶ月(5年間のうち3回目からは3ヶ月)の給付制限期間が終了するまでは失業手当の給付を受けられません。
 
一方、会社都合で退職した人には給付制限期間がないため、7日間の待機期間後の翌日が基本手当の支給日になりますが、実際に手当が振り込まれるのは申請してから約1ヶ月後になります。
 

自己都合退職と会社都合退職、失業手当の受給要件の違い

自己都合退職と会社都合退職では、失業保険の受給要件も異なります。
 
失業手当を受給するには、原則として離職前の2年間に12ヶ月(※)以上の雇用保険被保険者期間が必要です。しかし、会社都合で退職した場合は要件が緩和され、離職前の1年間に雇用保険被保険者期間が通算6ヶ月(※)以上あれば受給資格を得られます(※離職日を起点に1ヶ月ごとに期間を区切り、賃金の支払い日数が11日以上ある月を1ヶ月とカウントする)。
 
なお、失業手当は積極的な就職の意思と就職できる健康状態・環境がある人で、積極的に求職しているにもかかわらず無職の人を給付対象としています。そのため、離職理由が自己都合でも会社都合であっても、主に次のような人には失業手当は支給されません。

・妊娠・出産・育児や病気・けがによりすぐに就職できない人
・家事・学業に専念するなど就職の意思がない人
・会社などで役員に就任している人
・自営業の人

 

自己都合退職と会社都合退職の失業手当の給付日数・金額の違い

失業手当の所定給付日数は、自己都合で退職した人と会社都合で退職した人それぞれ雇用保険被保険者期間および年齢の区分に応じて、図表1のとおり定められています。
 
【図表1】

自己都合退職
雇用保険被保険者期間
1年未満 1~5年未満 5~10年未満 10~20年未満 20年以上
年齢区分 全年齢 90日 90日 120日 150日
会社都合退職
雇用保険被保険者期間
1年未満 1~5年未満 5~10年未満 10~20年未満 20年以上
年齢区分 30歳未満 90日 90日 120日 180日
30~35歳未満 120日 180日 210日 240日
35~45歳未満 150日 180日 240日 270日
45~60歳未満 180日 240日 270日 330日
60~65歳未満 150日 180日 210日 240日

出典:ハローワークインターネットサービス 基本手当の所定給付日数
 
会社都合退職では、雇用保険被保険者期間が1年未満でも90日の所定給付日数があることに加えて、自己都合退職と比べてほぼ全ての区分で所定給付日数が長く設定されています。
 
1日当たりの給付額は、退職理由にかかわらず次の式で計算します。
 
1日当たりの給付額=離職日直前の6ヶ月の賞与等を除く賃金の合計額÷180×50~80%(60~64歳は45~80%)
 
※年齢区分ごとの上限あり
 
そのため、同じ賃金・年齢であれば自己都合退職でも会社都合退職でも1日当たりの給付額は同額です。しかし、会社都合退職のほうが自己都合退職より所定給付日数が多いため、トータルではより多くの金額を受給可能です。
 

会社都合退職のほうが失業手当を早く受給できる

会社都合退職は、倒産や解雇など会社の判断で否応なく退職するものです。そのため、失業手当の手続きのうえでは、さまざまな条件が自己都合退職よりも有利に設定されています。
 
会社都合退職の人には受給制限期間がなく、自己都合退職をした人よりも2ヶ月早く失業手当を受給可能です。また、受給資格の要件や所定給付日数も、会社都合退職の人のほうが自己都合退職より要件が緩やかになっています。
 

出典

ハローワークインターネットサービス 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
ハローワークインターネットサービス よくあるご質問(雇用保険について)
ハローワークインターネットサービス 基本手当の所定給付日数
ハローワークインターネットサービス 基本手当について
厚生労働省 Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)
厚生労働省 雇用保険事務手続きの手引き 第13章 失業等給付について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

ライターさん募集