更新日: 2023.01.28 その他暮らし
4月から5%給与アップ!? インフレ対応で賃上げを行う企業は続出する?
そんな中で注目されるのが「賃上げ」です。多くの企業では、2月から3月にかけて賃上げ要求を中心とする春闘が行われます。
本記事では、今年の春闘の賃上げ要求の基本方針について解説します。ぜひ参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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賃金が上がらない現状
日本では1990年代後半以降、実質賃金が上がっていません。一方で、日本以外の主要国は毎年1~2%ずつ実質賃金が上昇していて、他国に比べて見劣りしています。
「日本は給与が長年上がっていない」と聞いたことがある方もいるのではないでしょうか?
2022年11月の消費者物価指数は前年比3.8%上昇
新型コロナウイルスの流行やロシアによるウクライナ侵攻、円安などの影響で、物価は急上昇しています。
物価の推移を示す消費者物価指数の2022年11月の数値は、前年同月比で3.8%増加となりました。2022年の消費者物価指数前年同月比の推移は図表1のとおりです。
【図表1】
年月 | 前年同月比 |
---|---|
2022年1月 | +0.5% |
2022月2月 | +0.9% |
2022年3月 | +1.2% |
2022年4月 | +2.5% |
2022年5月 | +2.5% |
2022年6月 | +2.4% |
2022年7月 | +2.6% |
2022年8月 | +3.0% |
2022年9月 | +3.0% |
2022年10月 | +3.7% |
2022年11月 | +3.8% |
総務省 2020年基準消費者物価指数を基に筆者作成
2022年4月から急激に前年同月比で物価高が進んでいることが分かります。特に、光熱費などのエネルギーの価格が著しく上昇しています。
2023年1月からは、急激な電気・ガス料金の値上がりの影響を緩和するため、国が「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を開始します。これにより、エネルギー価格の負担額は減少する予定ですが、食品などを始めとしたインフレのトレンドは続くことが見込まれます。
2022年度の実質賃金はマイナス
2022年度は物価の上昇を受けて、実質的な賃金はマイナスで推移しています。大手企業を中心にインフレ手当を実施した企業もありますが、多くは一時金としての支給であり給与水準の引き上げを実施した企業は少ないです。
2023年は5%の賃上げを目指す
多くの企業では、4月からの年度の変更に向けて、2~3月に「春闘」が行われます。春闘は、企業の労働組合が経営陣について労働条件の要求や交渉を行い、労働条件を決定するものです。
労働組合は企業ごとにつくられますが、各企業の労働組合の全国的中央組織となるのが、日本労働組合総連合会(連合)です。連合は、2023年の賃上げ要求指標を5%と公表しました。物価高などを考慮した賃上げ分を3%程度、定期昇給分の賃上げを2%程度とした合計5%です。この方針を基準に、各企業の労働組合は春闘を行います。
最終的な労働条件の決定は、各企業の労働組合と経営陣の交渉の後に決まりますが、大企業などはトレンドに応じて賃上げを実施する企業が多いでしょう。実際に、5%の水準に近い賃上げを目指したいと公表している企業もあります。
ただし、労働組合がある企業は限られており、中小企業などでは労働組合がない企業も多く存在します。労働組合がない企業では、経営陣への交渉が十分に行えないため、賃上げを実施するかは経営陣の一存で決まることが多いでしょう。
勤務先企業で賃上げがされない場合には、さらなる節約や資産形成などで、インフレを乗り切る工夫が必要です。
出典
日本労働組合総連合会 2023春季生活闘争方針
総務省 2020年基準消費者物価指数
経済産業省 資源エネルギー庁
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部