更新日: 2020.05.25 その他暮らし

マレーシアと日本で出産経験のあるYさんに聞いた。それぞれの出産・入院費用の違い

マレーシアと日本で出産経験のあるYさんに聞いた。それぞれの出産・入院費用の違い
Fさんは現地で2人、日本で1人お子さんを出産されています。
 
出産において、日本とマレーシアではどのような違いがあるのでしょうか。検診や出産の費用、内容の違いについて、Fさんにインタビュー致しました。
 
田中ゆき恵

執筆者:田中ゆき恵(たなか ゆきえ)

イギリスCII AFP

アメリカパブリックアイビー、The University of Michigan, Ann Arborを卒業後、マレーシアを本社にもつイギリス系IFA、Infinity Financial SolutionsにてシニアコンサルタントとしてFP歴10年以上のキャリアを持つ。バンコク、ジャカルタ、クアラルンプールを中心に、海外居住者のために、財テクゲームを取り入れたお金セミナーを実施。海外居住中のへそくり術、教育資金のため方、老後資金準備法、相続対策などを得意としており、わかりやすさと包括的なアドバイスをモットーに活動中。各地の日本人向けフリーペーパーなどでも執筆協力している。
https://www.facebook.com/InfinitySolutionsJapaneseService/

1人目はマレーシアのスバンで。とにかく待ち時間が長く6時間待つことも

Fさんは3児の母です。1人目の出産はマレーシアのスバンでした。
 
その頃Fさんは現地で働いており、家と職場のちょうど真ん中にあった病院を選んだそうです。妊娠8カ月まで働き、退職したといいます。
 
スバンの病院はマレーシア人の医師が男女1人ずついましたが、待ち時間が長く、ひどい時には6時間も待たされることがありました。予約制でしたが、日にちを指定するだけで、効率的ではなかったそうです。
 
また、スバンエリアは日系企業が多く、日本人学校もあるため、Fさんの通った病院も日本人が多く利用していたといいます。
 
医師や看護師が使うのは英語かマレー語。日本語がしゃべれる通訳もいました。通訳があるために、余計時間がかかっていたのかもしれません。
 
Fさんはマレーシアでの出産について、マレーシアは子だくさんで病院も出産慣れしているようなので、特に不安はなかったと語っていました。
 

日本とマレーシアの妊婦検診の違い。検診費用の助成はある?

2人目の出産はクアラルンプールにあるバングサの病院。スバンでは診察待ちで苦い思いをしたので、場所を変えたそうです。
 
3人目は日本に帰国した際に出産しました。
 
日本とマレーシアには多くの違いがあります。
 
まず、妊娠中の検診ですが、マレーシアでは安定期までいかなくとも、医師が大丈夫だと判断すれば検診は1カ月ごとになります。
 
もちろん、医師によるところもありますが、日本では安定期あたりから検診が1カ月ごとになる病院が多いので、少し判断が速い印象ですね。
 
診察において、日本は内診が多く、安定期頃から腹部エコー(腹部の上から検査する方法)になる病院が多いです。しかし、マレーシアではわりと最初の段階から腹部エコーだったといいます。
 
日本では検診の際に、市や区から発行される「補助券」を使うことができます。これによって、妊婦検診の費用の一部を国から助成してもらえます。
 
一方、マレーシアは検診費に対する助成がありません。Fさんはご主人の会社の社会保険に扶養で入っていましたが、検診費に関しては負担されなかったそうです。
 

「母親学級」などの出産前サポートはある?

日本では出産前に病院で、母親学級などの講座、マタニティヨガなどに無料で参加できることがあります。
 
マレーシアの病院では、そのような講座や教室がありませんでした。そのためFさんは、マレーシアの日本人会が開いている「出産準備教室」に参加したといいます。
 
そこでは、元々助産師さんだった方や、現地で実際に出産した女性からお話を聞いたり、夫婦で沐浴(もくよく)法を学んだりすることができたそうです。
 

出産費用は圧倒的に安いマレーシア。出産後の検診は?

検診費がかかるマレーシアですが、出産費用に関しては日本よりも圧倒的に安いといいます。
 
出産後の入院日数は、日本の場合大体1週間ですが、マレーシアは基本的に2泊3日です。出産費用、入院費用込みで約15万円。食事なども含まれています。出産費用は旦那さんの扶養でカバーされたそうです。
 
退院後、マレーシアでは1週間後に検診があります。その1カ月後に再び検診があり、そこで母親の検診は終わりです。
 
その後は子供の予防接種などを受けに行きます。日本では保健所で予防接種を行いますが、マレーシアでは小児科に自分でアポをとる必要があります。
 
検診の頻度や内容は日本とさほど変わりません。
 

Fさんから海外で出産される方へのアドバイス

海外で出産をする際は、ある程度シミュレーションをしておくことが大事。夫がいない時に陣痛がきたらどうするか、緊急の時にどうしたらいいか考えておいた方がいいとおっしゃっていました。
 
Fさんの住んでいる場所では、タクシーや救急車が早く来てくれるかどうかあてにならなかったため、臨機応変に動けるようにいつでも準備しておくことが重要だとFさんは語っていました。
 

「個人的にマレーシアでの出産の方が快適だった」とFさん

検診の頻度や出産前のサポート、出産後の入院日数などでは、日本の方が細やかで慎重な印象です。しかし、費用の面ではマレーシアの方が断然お得だということが分かりました。
 
また、Fさんは個人的にはマレーシアでの出産の方が快適だったといいます。マレーシアの方が看護師さんの対応が優しく、融通が利いていたそうです。何より、検診を担当した医師が最後まで対応してくれたことも安心できたそうです。
 
海外での出産は不安なことも多いかと思います。そんな中で、Fさんのように堂々と出産に臨まれた方のお話を聞くと、同じ境遇にいる方も安心できるのではないでしょうか。
 
臨機応変に動ける準備を欠かさず、自分に合った病院を見つけることができれば、日本に限らずとも快適に出産できるのかもしれませんね。
 
Text:田中 ゆき恵(たなか ゆきえ)
イギリスCII AFP

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