【あの噂は本当?】「児童手当」が第3子以降月「最大6万円」に引き上げ? まだ正式に決定していないの?
配信日: 2023.01.31
扶養する子どもが多く生活が大変な人など、早く具体的な情報が欲しいですよね。今回は、話題となった児童手当増額案の情報源が何だったのか、現在行われている議論の状況について解説します。
執筆者:柳沢俊宏(やなぎざわ としひろ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、ワイゼットFPオフィス代表
児童手当増額案の情報源とは?
まず、話題となった児童手当増額案の情報源が何だったのか確認してみましょう。
「危機突破のための少子化対策に向けて」
2022年5月10日、自由民主党政務調査会・少子化対策調査会は、少子化を最優先の国家的課題として取り組むべきライフステージごとの支援を掲げた提言「危機突破のための少子化対策に向けて」を発表しました。
児童手当増額案の詳細は?
この提言の中に、児童手当増額案に関する記載があります。その内容は、「中所得世帯までを中心に、子供が二人以上いる家庭への経済的支援として、児童手当について、第二子については一月当たり最大3万円、第三子以降については一月当たり最大6万円とする」というものです。
気になる点は、「財源が限られる中で世帯の所得に応じた段差を設けること」とされている点です。世帯所得の基準がどうなるかが焦点となりそうです。
今どうなっている?
この児童手当増額案は、あくまでも案となります。まだ、正式に決定されたものではありませんが、絶賛議論が行われています。現在の議論の進捗状況について紹介します。
どこで議論されている?
2023年1月19日、「こども政策の強化に関する関係府省会議(第1回)」が開催されました。この会議には、こども政策担当大臣と関係府省が参加し、「未来への投資」であるこども政策の強化に向けて、目指すべき姿と当面加速化して進めるべき事項について集中的に検討しました。
具体的には、児童手当を中心とした経済的支援の強化をはじめ、各種こども政策を検討し、2023年度の「経済財政運営と改革の基本方針」において将来的なこども予算倍増に向けた大枠を示すこととされています。
所得制限はどうなるのか?
児童手当増額案は、案であるものの、具体的に議論されていますので、実現される可能性は高そうです。気になるのは、支給金額に直結するところとして、所得制限がどうなるのかですね。児童手当増額案では、財源の関係上、世帯での所得制限を設ける予定となっています。
しかし、所得制限を設けても、子どもを生み、育てやすい環境を整えることにつながりません。現在は、世帯年収が1000万円前後の場合、児童手当は減額または不支給となる所得制限がありますが、所得制限にかからないように勤務時間を制限したり、就労を控えたりすることの方が雇用確保の観点から問題となるという意見もあります。所得制限を設けること自体が正しいのかを含め、慎重な検討が求められます。
具体的に決まるのはいつ?
まだ構想段階の児童手当増額案ですが、所得制限の詳細をはじめとした具体的な内容はいつ発表されるのでしょうか?
現在の情報では、今後有識者ヒアリングを経て、2023年3月末をめどにたたき台の取りまとめが行われるとされています。まずは、そのたたき台がどうなるかに注目したいです。
出典
自由民主党政務調査会・少子化対策調査会 危機突破のための少子化対策に向けて
内閣官房 2023年1月19日 こども政策の強化に関する関係府省会議(第1回)
執筆者:柳沢俊宏
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、ワイゼットFPオフィス代表