更新日: 2023.01.31 その他暮らし

定食屋で「小食そうだから」と勝手にごはんを「少なめ」にされた! その分の値引きは求められる?

定食屋で「小食そうだから」と勝手にごはんを「少なめ」にされた! その分の値引きは求められる?
食材の廃棄量をできるだけ抑えるのは大切なことです。無駄を出さないために、さまざまな試みを行っている飲食店は少なくないでしょう。
 
しかし、「小食そうだから」など、食べ残しが出ることを想定して量を勝手に減らされたなら、価格設定に疑問を感じる人は多いかもしれません。
 
今回は、飲食店側の判断で価格にそぐわない量を提供された場合の値引きについて解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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消費者と事業者の間には「消費者契約」が成立する

サービスの利用や商品を購入するとき、消費者と事業者の間には「消費者契約」が成立します。ここでいう契約とは、書面で締結する場合だけを指すものではありません。例えば、店頭に並ぶ商品を購入する際、そこには事業者との契約が成立することになります。これは、飲食店で食事をとる場合も同じです。消費者契約は口頭でも成立するため、契約書を取り交わすことのない利用でも該当します。
 
しかし、消費者と事業者を比べたとき、持っている情報量やその質、交渉力には差が生じます。例えば、事業者が提示する内容と実際に提供される内容が必ずしも同等であるとは限りません。飲食店の場合でいえば、メニュー写真やサンプルからはかけ離れた料理を提供されることもあるでしょう。
 
そこで、消費者を守るために平成13年(2001年)4月1日に施行されたのが「消費者契約法」です。
 
消費者契約法では、消費者に不利益を与えるような行為や無理な勧誘による契約などを禁じています。飲食店で何の確認もなく勝手に料理の量を減らされた場合は「消費者の利益を一方的に害する」行為にあたると考えることができます。そのため、自分が依頼したわけではないのに他者と同じ価格で量を減らされたとき、契約を取り消すことは可能です。
 

消費者ごとに適量の料理を提供したいときの対策

飲食店側ができるだけ食材の廃棄量を抑えたいなら、同じメニューの中で量が調整できるような工夫をしておく必要があります。そして、消費者が理解できるように明示しておかなければなりません。財務省では、税込み価格の表示(総額表示)を事業者に義務付けています。提供する量に差をつけるなら、どうオーダーすれば税込みいくら払うかを誰が見てもわかりやすく表示し、消費者が選べるようにしておく対策が必要です。
 
今回のケースでいえば、定食のごはんの量を「少なめ」や「多め」といった表現を用いた選択肢を用意し、それぞれの税込み価格を表示しておけばトラブルになることもありません。
 
しかし、量の選択肢もなく価格も1種類だけで固定されているなら、客側から依頼がない限り飲食店は誰にも同等の料理を提供する必要があります。それができていないなら、価格に見合っていないと判断されるのは仕方のないことです。
 

定食屋でごはんの量を勝手に減らされたときは消費者契約解除の対象になり得る

消費者と事業者の間には消費者契約が成立します。消費者契約法では、事業者は消費者の不利益になるような対応をしてはいけないとしており、定食屋で勝手にごはんの量を減らされた場合は事業者によって利益を害されたことになります。
 
事前に何の確認も依頼もしていないなら、通常の価格で支払うのは妥当ではありません。そのときは値引き交渉をしていいでしょう。
 

出典

消費者庁 不当な契約は無効です!
目黒区 知っていますか?消費者契約法
財務省 令和3年4月1日より、税込価格の 表示(総額表示)が必要になります!
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部