更新日: 2023.02.08 その他暮らし

「退職して迷惑をかけるんだから」と有休を使わせてもらえませんでした…諦めるしかないのでしょうか?

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

「退職して迷惑をかけるんだから」と有休を使わせてもらえませんでした…諦めるしかないのでしょうか?
退職を決めた時点で有給休暇が残っている場合、在籍中に消化しておくのが一般的です。しかし、中には退職が決まった従業員に対して態度を変えるという会社もあります。本来の権利を認めてもらえず理不尽な思いをする人もいるでしょう。
 
今回は、退職予定者の有給休暇の扱いや消化させてもらえない場合の適切な対処について解説していきます。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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年次有給休暇の付与日数は法律で決められている

年次有給休暇の付与日数は、労働基準法第39条において明確に定められています。年次有給休暇は一定の要件を満たしていれば誰でも取得する権利があり、業種や雇用形態で左右されることはありません。パートタイム労働者でも正社員でも取得できるのが年次有給休暇です。
 
正社員などの場合は継続勤務年数が6ヶ月で年間10日間、1年6ヶ月になると年間11日間、2年6ヶ月になると年間12日間といった具合に継続勤務年数に応じて付与されます。
 
パートタイム労働者の場合は、週所定労働日数と1年間の所定労働日数で付与される年次有給休暇が変わってきます。例えば、週所定労働日数が4日で1年間の所定労働日数が169~216日の従業員が継続勤務年数6ヶ月で付与される年次有給休暇は7日間です。週所定労働日数が1日で1年間の所定労働日数が48~72日しかない従業員でも、継続勤務年数が6ヶ月を超えたら年1日の有給休暇が付与されます
 

年次有給休暇の取得方法は大きく2種類に分けられる

年次有給休暇の取得方法は「労働者の申出による取得」と「使用者の時季指定による取得」の2種類があります。このうち、原則となっているのは労働者の申出による取得です。
 
使用者の時季指定による取得については、従業員が自主的に消化しようとしないときに認められるもので、強制して良いものではありません。さらに、年次有給休暇をすでに5日以上自主的に取得している従業員に対しては、会社側による時季指定は不要です。
 
また、会社側が時季指定を行うときも、従業員の希望をしっかり聞いたうえで指定する必要があります。例えば、会社側の都合で勝手に取得時季を決めることは認められていません。あくまで従業員の意思を尊重して適切な時季を指定することが求められています。
 

労働者は退職日前に残りの有給休暇を消化する権利がある

労働基準法第39条では、会社に年次有給休暇の時季変更権の行使を認めています。それにより、従業員が希望する時季が会社の都合に合わないときは年次有給休暇を他の日に変更させることが可能です。
 
しかし、退職日が迫っている場合は他に変更することができません。そのため、会社側には従業員の希望通りに残りの有給休暇を消化させる義務があります。つまり、従業員は退職日までに年次有給休暇を消化する権利を持っており、会社側は勝手な理由でそれを阻止できないということです。
 
なお、継続勤務年数が6ヶ月を経過した時点で数ヶ月後の退職を希望した従業員に対しても、会社は10日間の年次有給休暇を付与する義務を負います。通常の労働者であれば、継続勤務年数が6ヶ月で年10日間の有給休暇を取得する権利が発生します。すぐに辞めてしまうという理由で、会社が勝手に日数を減らすことはできません。
 

退職が決まっても会社側は有給休暇の取得を制限してはいけない

たとえ退職することになっても、会社は勝手な言い分で従業員の年次有給休暇の取得権利を奪うことはできないことになっています。日数を減らすことはもちろん、まったく与えないことは行政指導の対象になります。
 
退職を控えていて有給休暇の消化を拒否されているときは、管轄の労働基準監督署に相談しましょう。取得できないまますでに退職している場合も、労働基準監督署に報告し、そのうえで買い取りしてもらうという形で対応可能かどうか相談してみることです。
 

出典

厚生労働省 年次有給休暇の付与日数は法律で決まっています
厚生労働省長野労働局 年次有給休暇に関する相談
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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