江戸時代の「下級武士」は意外と低収入!? 給与が足りず「副業」をするのは現代と変わらない!
配信日: 2023.02.09
江戸時代はどのような副業で生計を立てていたのか、現代と比べて違いはあるのか、詳しくみていきましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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江戸時代の下級武士は低収入で悩んでいた!?
江戸時代の下級武士が低収入で悩んでいたことをご存じでしょうか? 下級武士は戦で手柄をたてて褒美をもらい、新しい領地を得ることで収入が上がっていました。
しかし江戸時代は戦が減少した時代だったため、幕府や藩の役職に就いている下級武士たちは安泰でしたが、役職に就けない下級武士は貧しい暮らしをしていたのです。
下級武士の仕事内容
下級武士の生活は朝、城や城下の役所に出勤して仕事をした後夕方に帰宅する、いわゆる会社員生活です。仕事量に対して下級武士の数が多すぎたため、忙しさはありません。下級武士の仕事は、週1回や1日行ったら2日休みといった現代でいうシフト制のような働き方が一般的でした。そのため、空いた時間で内職をして生活費を稼いでいました。
江戸時代の貨幣価値を現在価値にすると
江戸時代の歴史は260年と長きにわたるため、貨幣価値について一概にはいえません。江戸時代の貨幣価値について、日本銀行が回答として挙げている貨幣博物館の見解も簡単には回答できないとしています。
ただし1つの目安として、米価から計算した金1両の価値を江戸時代初期で約10万円としています。1両が10万円とすると他の貨幣価値は1両=4分(ぶ)=16朱(しゅ)=50匁(もんめ)=4000文(もん)です。1両10万円として、下級武士がどの程度生活が苦しかったのかみていきましょう。
下級武士の給料は年収80万円と米
江戸時代の武士は給料をもらっていましたが、武士のランクによってもらえる給料は異なりました。武士全体の平均年収は税金を引かれ約500万円(50両)といわれています。
一方、下級武士は米を自分たちで食べる分だけを確保し、残りを現金に換えて生活していました。米を現金化した後の年収をみると約80万円(8両)といわれています。
年収約80万円とすると月収約6万6000円となり、今よりもお金がかからない時代であったとはいえ、下級武士の生活は庶民の生活と同様に貧しい暮らしだったのでしょう。1両10万円の場合、1両は4000文となり1文25円の価値といえます。その場合江戸時代に売られていた食べ物や傘などの金額は図表1のとおりです。
【図表1】
日本銀行金融研究所貨幣博物館 お金の歴史に関するFAQ より筆者作成
江戸時代に人気のあった副業
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貧しい暮らしをしていた江戸時代の下級武士は空いた時間を使って副業をし、生計を立てていました。江戸時代の下級武士に人気があった副業はどのようなものか紹介します。
傘張り
江戸時代の傘は現代に比べて高価でした。女性に人気の「蛇の目傘」は1本2万円ほど(約800文)で売られており、江戸時代に歌舞伎の小道具として使われたことをきっかけに、流行したといわれています。また、庶民向けの傘といわれる「番傘」でも1本5000~7500円ほど(約200~300文)の値段で売られていたそうです。
そのため、人々は傘が壊れても捨てずに「古傘買い」に売りました。「古傘買い」は現代でいうところのリサイクル業者になり、紙を張り替えて再び売っていました。
この傘の紙の張り替えを副業としていたのが下級武士たちです。副業する下級武士たちは、傘の傷み具合によって1本100~300円で買い、紙を張り替えて5000~7500円で売っていました。
金魚の飼育
江戸時代中期には、金魚の飼育がブームとなりました。金魚は国内での養殖が盛んになったことで、それまで高級ペットだった金魚が庶民的なペットとなりました。
この養殖を行っていたのが副業に励む下級武士たちです。浮世絵にも多数登場するほど江戸時代の金魚は人気があり、流行のきっかけは下級武士が副業を始めたことだともいわれています。
アサガオ
江戸時代後期には、変化朝顔がブームとなりました。変化朝顔とは突然変異から生まれた朝顔です。一般的な朝顔とは見た目が異なり、江戸時代に人気が高い植物でした。下級武士たちは変化朝顔や一般的な朝顔の栽培の副業も行うようになったそうです。
現代と似ている江戸時代
江戸時代の副業の話は現代の社会情勢に似ていると感じた人も多いのではないでしょうか。
現代では副業が解禁される企業が増加傾向にあります。現代でも生活のために副業を始めた人は多いのではないでしょうか。時代が変わっても、副業の文化は変わっていないといえるでしょう。
出典
日本銀行金融研究所貨幣博物館 お金の豆知識江戸時代の1両は今のいくら?
日本銀行金融研究所貨幣博物館 お金の歴史に関するFAQ (回答)
独立行政法人造幣局 江戸時代(えどじだい)のお金(かね)のしくみ
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部