更新日: 2020.05.25 その他暮らし
海外旅行でおトクに外貨を使うには?前編:外貨はどこで手に入れても同じではない理由
なぜなら、外貨の使い方しだいで、ランチをランクアップできたり、お土産が余分に買えたりするくらいの差が出てくるからです。
執筆者:福島えみ子(ふくしま えみこ)
CFP(R)認定者
1級ファイナンシャル・プランニング技能士
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表
大学卒業後、都市銀行に入行。複数の銀行、法律事務所勤務中に、人生の悩みは結局のところお金と密接に関係することを痛感、人生をより幸せで豊かにするお手伝いがしたいとファイナンシャルプランナーに。FP会社にて勤務後、独立。これまで500件以上の個人相談を担当すると共に、セミナー、執筆と幅広く活動。相続・資産運用・住宅相談・リタイヤメントプラン等を得意とし、個人相談にも力を入れる一方で、セミナーや企業研修、執筆を通じてわかりやすくお金の知識を発信することに注力している。
目次
外貨、どこで手に入れても同じでないワケは?
外貨を使うとき、すべての基本となるのが為替レート。
海外旅行に出発する朝、ニュースで1ドル○○円などと報じているのを見て出掛け、空港で両替する際に「あれ? レートが違う!」と驚いた経験があるかもしれません。こうした『為替レートの差』が、為替手数料です。
ニュースや新聞で見る為替レートは、マーケットのインターバンク(銀行間取引)レートです。
このレートを参考に、各金融機関等がそれぞれに仲値またはTTMと呼ばれる基準為替レートを決めます。これがニュースなどで見るレートに最も近いものです。
まずは為替レートの用語を覚えておきたい
両替をする際、表示ボードに通貨ごとにいくつもの為替レートが表示されているのを見たことがあるのではないでしょうか。
これらには、CASH.SやCASH.B、あるいはSELL(売)BUY(買)、場合によってはTTS、TTBなどという表示があります。外貨を使いこなすためには、まずはこの意味を覚えてしまいましょう。
まず、CASH.Sは、現金の円から現金の外貨に替えるとき、つまり外貨を買うときに使うレート。CASH.S のSはSelling の略です。
ここで、“外貨を買う”のに“売レート?”と疑問に思う人もいるかもしれませんが、これは両替所等側の立場からの用語だからです。私たちに外貨を“売る”レートというわけです。
同じようにCASH.BはBuying の略。海外から戻ってきてあまった外貨を日本円に変えたい場合、つまり外貨を“売る”ときのレートがCASH.B 。両替所等側が外貨を“買う”場合ですね。
そして、主に現金以外の外貨のやり取りで使うのがTTSとTTBです。 TTSは、Telegraphic Transfer Selling rateの略で売レート。TTB=Telegraphic Transfer Buying rateも同様で、こちらは買レートです。
上記の図から、ドルを例にこれらの差を見てみましょう。
それぞれのレートに、為替手数料が乗せられているのがわかります。要は、私たちは外貨を買う時は円を多く払って買い、外貨を売るときは買った時より少ない円で買い取ってもらうわけです。
この為替手数料、金融機関や両替所によって、さらに外貨の種類によっても異なります。そして、この為替手数料は“現金の両替”をするときに最も高く設定されていることが多いのです。
ということは、海外旅行では、現金から現金に両替してから使うのが最も割高な方法といえます。
現金の両替をするには?
世界でキャッシュレス化が進んではいても、現地での現金もある程度必要です。
そもそも、海外でお金を使うには、大きくわけて、1.外貨を現金で手に入れる、2.現金を経由せずに支払う、の2つの方法があります。まずは1.のうち、円現金から外貨現金の「両替」を見ていきましょう。
国内で両替するだけでもその選択肢は意外に豊富。空港の銀行両替所や両替専門店、街中の銀行窓口や銀行直営両替所。
さらに街中の両替専門店のほか、格安チケットショップでも両替ができ、外貨を宅配してくれるところまであります。
または、旅行先の国のこうした両替所で両替する選択もあります。
そのほか、一部の両替専門店では、両替に一部のクレジットカードを使えるところもあり、両替する通貨にもよるものの、クレジットカードのポイント還元を考えれば実質レートをさらに下げられます。
どこで両替するのがおトク?
このように、選択肢が多いため、「いったいどこで両替するのが一番オトクなの? 手っ取り早く教えてよ」となりそうですが、外貨の種類やタイミングにより、どこがおトクかはその時々で変わるのが実情です。
ただ、概して格安チケットショップ、両替専門店は安い傾向にあります。
また、何でも空港で買うと高いと思いがちですが、意外にも空港の銀行の両替所では為替手数料が安いところもあります。
同じ空港でも両替所によって違うため、慌てず見比べてから両替するのがおすすめです。ただし、ドルやユーロなどのメジャー通貨以外、特にアジアの通貨は現地に着いてから両替するほうが有利なことが多いようです。
両替でいったいどれくらい差がつく?
では、両替のレートの違いで、いったいどれくらいの差がつくでしょうか?
例えば、街中の銀行で1ドル113.50円のとき、格安チケットショップでは112.46円でした。500ドルを両替したとすると、それぞれ必要な日本円は56,750円と56,230円となり、その差額は520円。
「なんだ、たったそれだけか」と思ってしまうかもしれませんが、同じモノ(外貨)を手に入れるのに、場所を選ぶだけで現地でのお茶代やお土産代が浮くと思えば、気にかける価値はあるのではないでしょうか。
両替で気をつけたいこと
さて、どこで両替すればおトクなのかは、それぞれの場所で違う為替手数料で差が出るとお話してきましたが、もう1つ、両替所によってはこの為替手数料のほか、両替手数料等の手数料がかかる場合があります。
この2つの手数料を合わせて比較していくことがポイントです。
例えば、ここまでご紹介してきた方法のほか、FX(外国為替証拠金取引)で両替する方法があり、為替手数料はかなり安めですが、現金で受け取る場合には両替手数料500円等がかかるため少額の両替ではトータルで見てコスト高となりかねません。
両替のポイントは2つ
ところで先ほど、空港で両替するとき意外と為替手数料が安いと触れましたが、空港で両替する一番のデメリットは、「出発日になってみないとそのレートはわからない」という点です。
自分が出発する日がベストレートとは限りません。そこで、海外旅行が決まったら、その日から旅する国の通貨レートをチェックしはじめ、あらかじめ両替することも選択肢に入れてみてください。
つまり、両替で考えるポイントは2つ、1.どこで両替するかという場所と、2.タイミングであるといえます。
ここまで、為替の基本と現金の両替を中心にお話してきましたが、次回の中編では、いよいよそれ以外の外貨を使う方法を紹介していきます。
Text:福島 えみ子(ふくしま えみこ)
1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者
マネーディアセオリー株式会社 代表取締役
リュクスセオリーFPサロン 代表