夫の扶養内で働いていた主婦が離婚をしたら、「財産分与」でどこまで請求できる?

配信日: 2023.02.21

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夫の扶養内で働いていた主婦が離婚をしたら、「財産分与」でどこまで請求できる?
財産分与によって財産が受け取れないことが不安で離婚ができない。そう考えている主婦の方もいらっしゃるようです。そもそも財産分与ができるのか、財産分与が何なのか分からないという方もいらっしゃることでしょう。
 
そこで、扶養内で働いていた主婦が行う離婚における財産分与について解説します。
柘植輝

執筆者:柘植輝(つげ ひかる)

行政書士
 
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。

財産分与とはどんなもの?

財産分与とは、夫婦が婚姻中に築いてきた財産を離婚にあたって清算する制度です。
 
基本的には一方からの請求に基づき当事者間の話し合いで行われます。話し合いがうまくまとまらないという場合、離婚から2年以内であれば家庭裁判所に調停または審判を申し立てることで司法の力を借りて手続きをすることができます。
 
しかし、2年を経過していると時効によって調停や審判の申し立てができなくなってしまいます。
 
なお、財産分与は夫婦の共同生活で形成した財産について分配するという性質を有しています。そのため、離婚原因を作った方から財産分与を請求することが可能な場合もあります。
 

財産分与の対象となる財産の範囲は?

財産分与の対象となる財産は夫婦の協力によって築き上げられた財産とされています。これはいわば夫婦の共有財産といわれるもので、下記のようなものが該当します。

・現金や預貯金
・株や投資信託といった金融商品
・不動産
・自動車
・家具家電や骨とう品
・こっそりためたへそくり
・住宅ローンや生活費のために借りたお金などの負債

財産分与の対象となるか否かの判断にその名義は関係ありません。便宜上一方の名義があったとしても、それは夫婦で助け合って得られた財産であり実質的には夫婦のものと判断されるからです。
 
また、財産分与はプラスの財産だけではなく借金といったマイナスの財産も対象となる点に注意をしてください。
 

財産分与の対象とならない財産の範囲は?


財産分与はその趣旨に鑑み対象とならない財産もあります。具体的には下記のような財産が該当します。

・負債を含め、結婚より前に有していた財産
・結婚の前後を問わず自分の親族から相続したり贈与を受けたりした財産
・結婚の前後を問わず趣味やギャンブルなど個人目的で作った負債
・別居中に築いた財産

 

財産分与の割合は?

財産分与の割合は原則夫婦の話し合いで自由に決めることができます。例えば、夫が4割、妻が6割など、当事者の合意があればその通りの財産分与が可能です。極端な例でいえば、扶養内で働いていた妻に対して夫が財産分与で全ての財産を渡すということも理論上は可能です。
 
話し合いで解決できず、家庭裁判所の調停や審判になると、基本的に2分の1の割合になります。会社員の夫と扶養内で働く妻または専業主婦の妻というように収入の差があるような事例においても同様です。その理由は内助の功の存在です。会社員の夫が収入を得てこられたのは妻の支援があってのものとの考えに基づくからです。
 
専業主婦で自分の収入が低く、預貯金や不動産など財産の大多数の名義が夫のものであるから財産分与が請求できないというわけではないのです。とはいえ、実際には婚姻中のさまざまな状況を勘案して決定されるため、一概に2分の1ともいえません。この点が、財産分与の難しいところです。
 

扶養内で働く主婦も原則2分の1で財産分与が請求できる

財産分与は原則2分の1の割合となります。内助の功が勘案されるため扶養内で働く主婦であっても同様になります。しかし、協議の上夫婦で合意があればそれ以外の割合で請求することも可能です。
 
財産分与は話し合いができなかったりまとまらなかったりした場合は、家庭裁判所に申し立てして決定してもらうことも可能です。
 
扶養内の主婦だから財産分与は受けられないとあきらめるのではなく、まずは相手方に請求を行い、それでも難しいというのであれば家庭裁判所に申し立てをしてみてください。
 
 
執筆者:柘植輝
行政書士

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