更新日: 2023.02.21 子育て

子どもが「バイトテロ」の加害者でした…損害賠償はどのくらい? 親としてどうすべき?

子どもが「バイトテロ」の加害者でした…損害賠償はどのくらい? 親としてどうすべき?
アルバイト従業員が遊び半分で勤務先に重大な迷惑をかける「バイトテロ」のニュースが、たびたび世間を騒がせています。本人はSNSで目立ちたくて安易にやった行為だとしても、店舗にとっては社会的な信頼を失墜することによる経済的、社会的被害を負うのです。
 
もし、わが子がバイトテロの加害者になってしまったら、親に対してはどのような法的責任が課されるのでしょうか。また、損害賠償額はどのくらいになるのでしょうか。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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バイトテロの法的責任とは?

アルバイトなどの従業員が、店主やオーナーなど責任者の目が届かないところで、店の備品や設備などを悪用して嫌がらせ行為を実行することを、「バイトテロ」と呼ぶことがあります。
 
その多くは飲食店やコンビニなどの店舗内で発生し、SNSなどで嫌がらせ行為の自慢・誇示が行われることによって、ネット上で拡散し、発覚します。責任者にとっては店の評判や信頼が失墜し、不意打ちの被害を食らってしまうことから「テロ」に例えられているのです。
 
バイトテロに類似の迷惑行為として、客がまだ購入していない店舗の飲食品などを指で突いたり、舌で舐めたりする行為も社会問題になっています。この場合、店舗のオーナーは客に対して不法行為に基づく損害賠償(民法709条)を請求できます。
 
一方、バイトテロが発生した場合、嫌がらせ行為を働いたアルバイト従業員に対し、不法行為に基づく損害賠償請求に加えて、債務不履行に基づく損害賠償(民法415条など)も請求できるようになるのです。アルバイトとオーナーとの間では、雇用契約(労働契約)が取り交わされていることから、バイトテロによって契約上の信頼関係を裏切った点についても法的責任を負わなければなりません。
 

バイトテロの被害者に支払うべき損害賠償額は、どれぐらいになるか?

バイトテロの加害者は、「不法行為」と「債務不履行」による損害賠償責任を「二本立て」で追及されることになりますが、だからといって損害賠償が増額されるとは限りません。
 
被害者となった店舗のオーナーが、具体的にどれほどの被害を負い、加害者を許したり被害を認容したりする余地があるかどうか、個別の事情によって結論が大きく左右されますので、バイトテロの加害者が支払うべき損害賠償額を、あらかじめ算定するのは困難です。実害が大きく、被害者の怒りの感情が高ぶっているほど、請求は高額になるでしょうが、最終的な決着は交渉や裁判の行方によります。
 
過去には、バイトテロの被害で倒産した個人経営の「そば店」から、加害者のアルバイト学生が提訴された件について、約200万円の損害賠償を支払うことで和解が成立したことがあります。つまり、判決が出る前に当事者間の交渉で決着したわけです。もし判決にまで至った場合、さらに高額の損害賠償命令が出てもおかしくありません。
 
また、被害者の処罰感情が収まっていなければ刑事告訴される恐れもあり、立件され刑事裁判で有罪判決が下れば、「前科」が付きます。チェーン展開している店の場合、当該店以外にも風評による被害拡大があると賠償金の請求額は個人店以上に高額化する恐れがあります。
 

バイトテロの加害者の親は、どうすべきか?

バイトテロの加害者が成人の場合、基本的には本人が損害賠償責任を負うべきであり、その親が賠償額の肩代わりなどをする法的義務はありません。加害者が未成年の場合、判例によると、11~12歳以上であれば損害賠償責任を負うとされていますので、アルバイトとして働ける年齢の未成年者でも例外なく責任が課されます。
 
また、その保護者(監督義務者)である親についても、子どもがバイトテロを起こしたことについて明らかな監督不行き届き(故意や過失)があれば、やはり損害賠償責任を負います。もし、店側から数百万円や数千万円単位の請求がなされれば、実際には親が立て替え払いせざるを得ないでしょう。
 

バイトテロについて、子どもと話し合ってみる機会も重要

SNSで注目されるようなネタを作りたくて、安易にバイト先で迷惑をかける若者が社会問題になっています。しかし、バイトテロによって店が潰れたり、高額の損害賠償が請求されたりするなど、取り返しの付かない事態に陥るおそれも十分にありうるのです。
 
子どもがアルバイトで働き始める前に、一般常識や公序良俗に外れた行為がどのような結果をもたらすのか、「社会は甘くない」という事実をしっかり言って聞かせ、事の重大さを理解させることが重要といえるでしょう。
 

出典

e-Gov法令検索 民法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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