更新日: 2023.02.27 その他暮らし
【事故物件】「家賃3万4000円」の格安物件に入居→水回りのトラブルから「衝撃の事実」が発覚!?
本記事では、事故物件であったことを告知されずに入居してしまったMさん(28歳)の話に触れながら、賃貸物件の告知義務と事故物件の見分け方を紹介します。
執筆者:新川優香(あらかわ ゆうか)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
家賃3万4000円の格安物件に惹かれて
「会社員を辞めて、好きなことをして自由に生きていきたい。そのためには、とにかく家賃を抑えたかった」
現在は実家で暮らすMさんは、当時職場の人間関係に悩まされた末に退職し、在宅でできる仕事を探しながらアルバイトで食いつないでいたと振り返ります。
当然会社員時代より稼ぎが減ったMさんに付きまとうのは、金銭面への不安。固定費の見直しを検討すべく、できるだけ家賃の安い家を探していたところ、家賃3万4000円の格安物件を見つけたといいます。
問題は入居した2ヶ月後に起きます。
「キッチンやトイレの水は出るのに、お風呂場のシャワーだけ水が出ないんです。かと思えば誰もいないのにお風呂場から水の出る音が聞こえてくることもありました。原因を知るために管理会社に連絡しましたが、まともに取り合ってくれなかったんです」
そう語るMさんは、数週間後に衝撃の事実を知ることになります。
「買い物に行こうと外出したときに、近隣住民から過去に年配の男性が浴室で自然死していたことを聞いたんです」
水回りのトラブルとの実際の関係は分かりませんでしたが、この後怖くなったMさんは実家に戻ったそうです。Mさんの住んでいた物件では、自然死された人がいたようですが、不動産会社はなぜ教えてくれなかったのでしょうか。
不動産会社が教えてくれなかった理由とは
結論からお伝えすると、自然死や転倒事故、浴室での溺死事故などは日常で起こり得るものとして、不動産会社には告知義務がないのです。
殺人や自殺、長期間放置された孤独死が室内を著しく劣化させていて特殊清掃(原状回復のために消臭・消毒などを行うもの)が必要な場合は、告知義務があります。ただし、これらに該当する場合でも3年を経過すれば、告知義務がなくなるので注意が必要です。
「一度入居したら次の入居者には告知しなくてもよい」という話を耳にすることがありますが、入居に関係なく、該当の死亡発生や特殊清掃などの後3年間は告知する必要があります。
Mさんの場合は、自然死であったため告知義務がなかった、あるいは特殊清掃から3年がたっていたことで不動産会社が伝えなくてもよいと判断したのでしょう。
事故物件を見分ける方法はないのか
事故物件を見分けるためには、以下の項目をチェックしましょう。
●家賃が相場より著しく安くないか
●「告知事項あり」の記載がないか
事故物件の場合、立地や室内の条件が良くても類似物件より2~3割安く家賃が設定されていることが多いです。周辺相場よりも著しく安いのであれば、事故に限らず、何かしら住みにくい理由があるはずです。不動産会社に直接理由を聞いたり、インターネット上で「建物名 事故」などのキーワードで検索したりすることをおすすめします。
物件に問題があれば、物件資料の備考欄に「告知事項あり」の記載がある場合があります。これだけで事故物件とは断言できませんが、物件を絞り込む際の目安とすることが可能です。
事故物件を避けるには事前の情報収集も必須
告知義務があるのにもかかわらず、事実を隠す不動産会社は基本的にいません。なぜなら、損害賠償請求される可能性や、会社のイメージを悪くすることにつながるためです。しかし、いわゆる悪徳不動産会社にあたってしまう可能性はゼロではありません。
事故物件に住むのを避けたい人は、自分でも事前に情報収集することが大切です。
出典
国土交通省 宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン
執筆者:新川優香
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士