【プロ野球】年俸1億円でも税金は「5000万円」!? お金持ちとは限らない理由を解説

配信日: 2023.03.07

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【プロ野球】年俸1億円でも税金は「5000万円」!? お金持ちとは限らない理由を解説
プロ野球の一流選手は好成績を収め、結果を出すと年俸1億円以上も夢ではなく、「お金持ち」のイメージも強いのではないでしょうか。ただし、収入から税金や社会保険料などを納める必要があるため、選手は年俸の全てを自由に使えるわけではありません。
 
本記事では皆さんが抱いているイメージほど「プロ野球選手がお金持ちとは限らない理由」を解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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年俸1億円だと税金や社会保険料はいくら?

仮に、30歳の選手が年俸1億円をもらう場合、税引き後に選手が自由に使えるお金(可処分所得)はいくらになるのでしょうか。
 
プロ野球選手は各球団と契約して活動する「自営業者」です。中には法人化しているケースもありますが、今回はそのようなことはないと仮定します。そのため「フリーランス」や「個人事業主」と呼ばれる人たちと税制上は原則同じ扱いを受けます。
 
一般的な売り上げに当たる年俸を受け取ると、そこから選手活動に必要な諸経費(野球用具や交通費、交際費など)を差し引いて課税所得が決まります。
 
どのくらい経費が発生するのかは選手によりますが、経費等を引いた「課税所得」が8000万円あるとしましょう。課税所得を基に「所得税」や「住民税」、「国民健康保険料」などが決まります。
 
所得税は累進課税制度によって課税所得が増えるほど税率が上がります。今回は課税所得が8000万円あるので、最高税率の45%を課されます。
 
8000万円×45%-479万6000円(控除額)=3120万4000円
 
住民税は所得割が10%課されるので「8000万円×10%=800万円」です。
 
支払いは「税金」だけではありません。「国民年金」や「国民健康保険料」の納付も必要です。国民年金保険料は所得金額に関わらず同じです。2022年(令和4年度)は月額1万6590円です。年間で19万9080円かかります。
 
国民健康保険料は所得によって金額が変化しますが、所得税の場合と異なり保険料には上限が定められています。今回は課税所得が8000万あるので限度額いっぱいを負担します。住所のある市区町村によって保険料が異なります。
 
例えば、東京都港区の場合は2022年(令和4年度)の最高限度額が基礎分(医療分)が65万円、後期高齢者支援金分が20万円、介護分17万円です。介護分は40歳以上が負担するので今回はかかりません。そのため85万円納付する必要があります。

・所得税:3120万4000円
・住民税:800万円
・国民年金:19万9080円
・国民健康保険:85万円
・(合計)4025万3080円

実際には復興特別所得税等の存在もあり、詳しい数字は変わる可能性があります。
 
それでも4000万円近くのお金が可処分所得として残るので、一般人からするとうらやましい金額ですが、稼いだお金の半分以上を税金や社会保険料の負担で持っていかれては大変ですね。
 

プロ野球選手のお金事情は厳しい?

もっとも、プロ野球選手は単年度契約などの場合、結果を出さなければ翌シーズンの年俸が下がったり、戦力外通告で解雇されたりすることもある厳しい世界にいます。いま年俸1億円をもらっていても、結果が振るわなければ今後ももらえる保障はどこにもありません。
 
さらに、翌年の収入が確保できない場合、納税資金が不足する事態になりかねません。多くの選手は選手会が1979年に発足させた退団共済制度に任意で加入するなどして対策を講じています。
 
そのため一般的な会社員や個人事業主以上にお金の管理をしっかりしなければ、将来生活が破綻するリスクが高いといえます。お金持ちのイメージが強いですが、その分税金等の負担が増えるので、実際そうではないかもしれません。
 

まとめ

今回はプロ野球選手がお金持ちとは限らない理由を解説しました。
 
オフシーズンの契約更改で1億円など大きな金額が飛び交うと華やかな世界に見えますが、収入が不安定な上に税金や社会保険料はしっかりとられることを考えると、実際の生活は世間がイメージするほどではない可能性もあります。
 

出典

国税庁 No.2260 所得税の税率
日本年金機構 国民年金保険料
東京都港区 国民健康保険料には限度額がありますか。
日本プロ野球選手会 労働組合・一般社団法人「日本プロ野球選手会」【誕生までの足どり】
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部

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