アパートの契約更新時に突然更新料の支払いを求められた。これって払わないといけないの?
配信日: 2018.06.23 更新日: 2019.01.10
現在、土地や建物の賃貸借契約における更新料の支払いは、関東を中心に行われています。(地域によっては更新料の受け渡しが一般的ではないということもあるようです)
更新料は決して安いものでなく、契約更新のたびに不満に思う方も多いのではないでしょうか。果たしてこの更新料の支払いに法的根拠はあるのでしょうか。
Aさんの事例をもとに更新料の法的根拠について確認していきましょう。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
契約を更新する際、突然更新料を求められた
Aさんは2年契約でアパートを借りていました。
大家さんとの間で更新料の支払いについては特に定めておらず、契約書にも更新料に関する記載は一切ありませんでした。
そのまま更新料について触れることなく期間は過ぎ、契約の更新について話し合う時期が到来しました。
すると、それまで更新料について何も話さなかった大家さんが突然「更新するなら更新料として家賃の1カ月分のお金を支払ってもらうよ。更新料はこの地域じゃ当たり前だから。」と言い出しました。
Aさんは突然の出来事に驚き「そんなこといきなり言われても困ります。契約では更新料を払うなんて決めていないですよ。」と反論しました。
契約に定めがないとはいえ、Aさんは更新料を支払わない限りアパートの契約を更新することができないのでしょうか。
特約のない更新料に支払いの義務はない
結論から述べます。
Aさんは大家さんからの求めに応じて更新料を支払う必要はありません。
なぜなら、Aさんと大家さんとの間において更新料の支払いについての合意がなく、かつ民法をはじめとする各種法律において、更新料を支払うようにとする規定も存在しないからです。
大家さんは「更新料の支払いは当たり前」と言っていましたが、この点最高裁判所は次のような理由により、特約や合意のない更新料について否定しています。
「更新料は当然に発生する慣習とまではいえず、特約や合意のない限り支払う必要はない。」
このような最高裁判所の見解があること、そして更新料について合意も特約もないことから、Aさんは更新料を支払う必要がないと考えられます。
更新料の有無や額については契約前に必ず確認を
先ほど確認したとおり、更新料は特に定めがない限り支払う必要はありません。
ただし、一度更新料の支払いについて定めたのであれば、その金額が不当に過大であるなど、特別な事情のない限り、基本的には更新の際に更新料を支払わなければなりません。
契約を結んでしまったあとで「更新料の支払いについて納得がいかない」と言い出すことは通常認められないでしょう。
どうしても更新料を支払うことについて納得がいかなければ、更新料の支払いのない物件を選択するか、契約前の段階で大家さんと交渉しておくべきです。
更新料の額は月の賃料の1カ月分や2カ月分相当といった金額で定められることが多く、家賃の額によっては更新料が高額なものになることも考えられます。
更新料が予想外の出費となってしまわないよう、事前に更新料の有無とその額について確認しておくようにしましょう。
Text:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士・2級ファイナンシャルプランナー