更新日: 2023.03.17 その他暮らし
あなたの退去費用は大丈夫? 引っ越し前に知っておきたい退去費用のポイント
今回はその中でも、退去費用に着目します。具体的に退去費用がどのくらいかかるのか、また、退去費用を抑えるためにできることについて紹介します。退去時のポイントに加えて賃貸入居時にできる工夫も紹介しますので、これから引っ越す人もぜひ参考にしてみてください。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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退去費用の平均は約6.3万円、間取りによっては10万円近くかかることも
株式会社プラスワンが2020年に行った「賃貸物件の退去費用に関するアンケート」によると、賃貸物件退去時に請求された費用の平均は6万3283円ということです。
間取りによって退去費用に差はあり、ファミリータイプ(3部屋以上)の賃貸物件では10万円近くかかることも分かりました。
間取りや居住年数で退去費用は大きく違う
間取りや入居していた年数によって、退去時にかかる費用は違います。同調査結果より、平均額を参考にしてみましょう。
●ワンルーム・1K・1LDK…4万9980円
●2K・2DK・2LDK…7万9924円
●3DK以上…9万139円
●3年以下…4万9431円
●4~6年…6万1694円
●7年以上…8万7090円
この調査結果から、広い間取りの物件や居住年数が長くなると、退去費用がかかることが分かります。
部屋が多いと、それだけ退去時に必要な修繕箇所がみつかることも多いためだと考えられます。同様に、居住年数が長くなると、それだけ修繕すべき箇所も多くなることが考えられます。
一方、同調査では、請求された退去費用を妥当であると考える人が半数近くでした。つまり、請求された退去費用に関して、すぐに清算をする人も半数ほどいるということです。
残りの半数の人のうち、さらに半数ずつが「安く済んだ」「高いと思った」と回答しています。安い分には問題ありませんが、高いと感じる場合にはどうしたらよいのでしょうか?
退去費用を抑えるポイントとは、入居時にできる工夫も紹介
退去時の費用は、国土交通省が公表している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づき請求されます。
このガイドラインは、不動産業者だけが確認するのではなく、私たち一般消費者もいつでも確認できます。したがって、請求された退去費用によく分からない費用が含まれている場合や、算出根拠を知りたい場合には、国交省ガイドラインを確認し、業者へ尋ねるという方法もあります。
いずれにしても、明確ではない退去費用を請求された場合で、不信に感じる場合には、一度業者へ相談してみることが得策です。
ガイドラインに基づき経年変化や通常損耗は除外してもらうのが鉄則
国土交通省ガイドラインでは、通常の使い方をしていて変化(劣化)していくものに関しては、入居者から別途原状回復費用をもらわないというルール付けがされています。
例えば、トイレやお風呂のカビについて、建物自体の換気条件が悪く、誰が使ってもカビが抑えられない状況であれば、通常損耗として退去時の費用請求がないことがほとんどです。
しかし、入居者の手入れや掃除をしていないことが明らかでカビが発生し、壁紙の張替や大がかりな清掃が必要になった場合には、費用を請求されることになります。
壁の穴に関しては、一般的な画びょうを使って壁にカレンダーを飾る程度の穴であれば、通常損耗とみなされます。一方、棚を取り付けるためにドリルで穴を開けて金具などを取り付けた場合は、通常損耗とはみなされず、別途費用請求されるでしょう。
通常損耗かどうかは、ガイドラインでも1つの案件ごとに明記されているわけではないので、あくまでも目安として参考にする程度にとどまります。
一般的な解釈として、普通の暮らしをしていて発生する損耗は通常損耗として費用請求されず、入居者の使い方によって物件にダメージを与えた場合は、入居者負担となる場合がほとんどであると覚えておくとよいでしょう。
入居時に室内のキズや傷みがないか確認しておこう
退去時の費用を明確にするために、国交省ガイドラインの活用をおすすめしました。加えて、入居時にも注意したいポイントがあります。
新築物件以外の場合、前の入居者が付けたキズや傷みが室内に残されていることがあります。これらは必ず入居時に不動産業者や大家さんに確認し、退去時に前入居者がつけたキズ等の費用まで請求されないように注意しましょう。
可能であれば、入居前に前入居者が残したキズ等は修繕してもらうとよいですが、軽微なものであれば対応してくれない場合がほとんどです。
しかし、当初は軽微な損耗であっても、入居して長くなるとキズ等が目立ち始め、現在の入居者が居住している間に修繕が必要となることがあるかもしれません。そうなった場合に、現在の入居者が負担することがないよう、入居時には必ず物件を細かくチェックしましょう。
まとめ
退去時の費用は、一般的に国土交通省ガイドラインに基づいて算出されます。しかしガイドライン自体も詳細な記述が少ないため、退去費用で不明点がある場合には、不動産業者へ相談することをおすすめします。
また、入居時には必ず、物件に前入居者がつけたキズや傷みがないか確認し、自身が退去する際に不利益を被らないようにしておきましょう。
出典
株式会社プラスワン 賃貸物件の退去費用に関するアンケート
国土交通省 「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」について
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部