【利用中の奨学金】アルバイトが順調なら「受給を停止」したほうが将来の返済がラクになる?
配信日: 2023.03.23
前回調査の平成30年度と比較して、それぞれ2.1ポイント、1.7ポイント増加しているそうです。
本記事では、奨学金制度の概要や将来の奨学金返済の考え方などをみてみます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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目次
奨学金にはどんな種類があるの?
日本学生支援機構の奨学金は、返済する必要がない「給付型奨学金」と将来返済する必要がある「貸与型奨学金」に大別されます。さらに、貸与型奨学金は無利子の「第1種奨学金」と返済利息(年利上限3%)が付く「第2種奨学金」に分かれます。
給付型の申込資格は、「本人の学力基準」「本人を含めた家計収入基準」「本人を含めた家計資産基準」を満たすことが必要です。3種類の奨学金のなかでは最も条件が厳しく、1年単位で資格を満たしているかについて審査があります。奨学金を受けている期間は、毎年世帯の収入に応じて見直しを行い、10月から1年間の支援区分を決定することになっています。
一方、貸与型の申込資格は、学力基準、家計収入基準を満たすことが必要です。第1種のほうが第2種よりも厳しい基準になっています。
奨学金支給が停止や廃止になるのはどういう場合なの?
いずれの奨学金でも、上記の基準を満たさないと判断された場合、奨学金は減額、停止または廃止になります。日本学生支援機構の「令和3年業務実績報告書」によれば、給付型奨学金受給者で「学業による廃止」は17.6%、「家計による停止」は7.5%にのぼったそうです。
このうち学業基準の審査は1年ごと学年末に行い、判定結果には「継続」「警告」「停止」「廃止」の4種類があります。このうち警告は、奨学金をすぐには打ち切られませんが、学業を促すものです。「修得単位数合計が標準の6割以下」「出席率が8割以下」「GPA(平均成績)が下位4分の1」のいずれかに該当すると警告が出され、連続すると廃止になります。
一方、収入基準の場合は家計収入が基準をオーバーしたことが原因です。そもそも奨学金は、経済的に苦しい学生の就学を支援するのが目的で、家計の収入基準を設けているのです。世帯主の収入が増加する場合がほとんどですが、本人の収入も含まれるのでアルバイト収入が多い場合なども原因と考えられます。
アルバイトの金額が多ければ、奨学金受給を停止したほうがいいの?
受けている奨学金が給付型の場合は、そもそも返済義務はないので基準を満たせば辞退する必要はないでしょう。また、日本学生支援機構の奨学金が受けられなくなっても、学校・自治体や財団など他の給付型奨学金制度を活用できる可能性もあるので調べてみましょう。
一方、貸与型奨学金の場合にどうするかが問題です。アルバイト収入が増えたことで受給を辞退・停止する場合、どういうメリットがあるでしょうか。
まず、第1種の場合、借入金総額を減らすことができ、将来の返済負担を軽減することができます。また、第2種の場合、返済するのは借入金総額に利息も加わるので、メリットはさらに大きくなるでしょう。
ただし、注意しないといけないのは学業との兼ね合いです。アルバイトにのめり込んで、学業がおろそかになっては本末転倒になりかねません。学業が順調に進んでいることを前提に考えるのなら、奨学金受給の辞退、停止により、借入金総額を減らして将来負担を減らすことは賢明です。しかし、学業に影響が出ているようなら、将来負担を考えるよりも、まず学業をがんばってアルバイトを少し控えることを優先するべきでしょう。
奨学金受給の辞退や停止などは、借入期間を短縮することにより借入金総額や利息を減らせますが、第2種の場合は繰り上げ返済することで、払うべき利払い額を減らすこともできるのです。
アルバイトと学業のバランスを考えたうえで奨学金の停止を検討しよう
そもそも奨学金は、学ぶ意欲のある学生に対して学業に専念できるように支援していく制度です。アルバイトの収入が増えるのはうれしいことですが、アルバイトに没頭して将来負担を減らすことよりも、学業を充実させることを最優先に考えることが大切なのです。
将来負担を減らす方法は、奨学金受給の辞退や停止だけではなく、受給金額の減額や繰り上げ返済などの方法もあります。本来の目的を見失わないように気を付けながら、将来負担を軽減することを考えましょう。
出典
独立行政法人日本学生支援機構 令和2年度 学生生活調査結果
独立行政法人日本学生支援機構 給付奨学金(返済不要)
独立行政法人日本学生支援機構 貸与奨学金(返済必要)
独立行政法人日本学生支援機構 令和3年業務実績報告書
独立行政法人日本学生支援機構 適格認定(学業等)
独立行政法人日本学生支援機構 在学中の適格認定
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部