更新日: 2023.04.18 子育て
高校での金融経済教育必修化で、親のお金への意識に変化はあった?
しかし、高校生の親にとっては「お金の使い方なんて、学校で習うものではない」という意識を持つ人も少なくありません。では、高校で金融経済教育が必修化されたことで、親の意識に変化はあったのでしょうか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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意識に変化があったと自覚している親は、まだ少数派
アクサ生命保険株式会社(東京都港区)が、2023年3月に全国の30~69歳の男女で高校生の子どもがいる人を対象に「金融経済教育とライフマネジメント(R)に関する調査2023」をインターネットリサーチで実施し、1000名の有効サンプルを集計した結果によると、高校生の子どもが高校で受ける教育で、親として重視するものとして、複数回答で最も多かったのは「外国語教育」(45.1%)でした。
続いて「情報教育(プログラミング教育を含む)」(35.8%)、「職業・キャリア教育」(29.5%)、「国語教育」「理数教育」(いずれも27.2%)、「道徳教育」(26.9%)の回答が上位を占めており、「金融経済教育」(25.9%)は第7位でした。
また、高校での金融経済教育の必修化を知っていた人のうち、「家計管理に対する意識が高まった」と回答した人は62.4%、「生活設計・ライフプランニングに対する意識が高まった」は62.0%、「投資・資産形成に関する意識が高まった」は63.1%でした。
親の意識として金融教育の優先順位は、まだ決して高くありません。しかし、教育を受けた高校生が社会人となって、実際にお金の管理がうまくなっている様子を世間が目の当たりにすれば、これから評価も変わっていくと考えられます。
家庭内で自主的に金融教育をしている親は、まだ少ない
クレジットカード大手のビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社(東京都千代田区)と、MMDLabo株式会社(東京都港区)のMMD研究所は、共同で「高等学校の金融教育必修化に関する意識調査(高校生と親と教師の意識)」に関するアンケートを2022年6月に、高校生481人、高校生の親1000人に実施しました。
すると、2022年度から始まった、高校生の金融教育の義務化について「知らなかった」と答えたのは高校生が63.2%、高校生の親は47.1%でした。まだ認知度は決して高くありませんが、高校生本人よりも、親のほうが認知している割合は上回っていることが分かります。
さらに高校生の親1000人を対象に、家庭内で金融教育を進めているかどうか尋ねたところ、「実施している」が16.9%、「以前実施していた(今は実施していない)」が7.8%、「実施していないが、実施しようとは思っている」が36.6%、「全く実施していない(実施する予定もない)」が38.7%となっています。
家庭で金融教育をしたことがない親が全体の4分の3を占めていますが、「これから実施しようと思っている」という回答も決して少なくないので、学校での金融教育がスタートしたことも親の意識を変えているきっかけになっていると考えられます。
同じく高校生の親1000人を対象に、家庭内の金融教育で親が子どもに求めることについて複数回答を可能として尋ねたところ、「お金の大切さを分かってほしい」と「お金を計画的に使えるようになってほしい」がともに42.3%で最も多く、次いで「自分のお金を管理できるようになってほしい」(39.9%)、「お金を無駄遣いしないでほしい」(35.6%)との回答が続いています。
いずれにしても、積極的にお金を殖やすというより、まずは守りを固めることを子どもに求めていることが分かります。昨今の物価高や先行きのみえない景気が、金融教育に関する保守的な姿勢を強めているのかもしれません。
金融経済教育の真価は、これから問われる
2022年に始まった高校金融経済教育の必修化については、高校生本人よりも、その親のほうが認知している割合が高い事実が分かりました。ただ、家庭内で子どもにお金の大切さや家計の守り方について教えている親はまだ少数派であり、金融教育必修化によって意識が変わったと自覚している親も決して多くありません。
金融経済教育を受けた高校生が実際に社会に出て、家計の管理をうまくできるかどうか、その真価はこれから問われるでしょう。
出典
アクサ生命保険株式会社 金融経済教育とライフマネジメント(R)に関する調査2023
ビザ・ワールドワイド・ジャパン株式会社、MMDLabo株式会社MMD研究所 高等学校の金融教育必修化に関する意識調査(高校生と親と教師の意識)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部