更新日: 2023.04.19 その他暮らし
高齢1人暮らしの母の家を改装して「民泊」を始めたい! 税金はかかる?確定申告は必要?
民泊事業を始めるに当たって税金関係はやはり気になるところです。実家を利用した民泊をめぐる税金と確定申告について解説していきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
実家を利用した民泊は可能
意外に思われるかもしれませんが、実家の空いている部屋を利用して民泊事業を行うことは可能です。こういった民泊はいわゆる家主居住型といわれ、民泊事業者と利用者とが共同生活するような形で同居することになります。
ただし、宿泊者の利用中外出などで宿泊者の利用中家主が長時間不在となる場合は家主不在型とされ、不在中も管理ができるよう管理会社への委託が必要となることもあります。
実家を利用した民泊は年間180日以内の営業とするなど制限があるものの、比較的簡易な条件を満たした上での届け出制となっているため、ホテルや旅館の経営のような厳しい許可申請は不要で始めやすいというメリットがあります。
届け出の担当部署は各都道府県の窓口になります。詳細については民泊を始めたい実家の都道府県へご相談ください。
民泊において問題となりやすいのが税金
民泊において問題となりやすいのが税金の問題です。家主居住型の民泊で得た収入は雑所得として課税対象となります。
一般的に雑所得は事業所得と比べると適用される控除が少ないことなどから利益のわりに税金が高くなりやすいといわれています。そのため、実家を利用した民泊は税引き後の利益が想定より低くなる可能性があります。さらに、損失が出た場合他の所得から差し引く仕組み(損益通算)も適用されません。
ただ、民泊は基本的に事業所得とはならないため、所得が一定額以上の個人事業主に課せられる事業税は課されないことになる点はメリットです。
もう1つ注意したいのが固定資産税です。実家に現在親が住んでいるのであれば、実家にかかる固定資産税が本来よりも軽減される措置が適用されているはずです。しかし、民泊に利用してしまうとその特例から外れてしまい固定資産税が上がってしまう可能性もあります。この点については民泊開始前に市区町村役場にて確認しておくべきです。
確定申告は必要?
民泊の運営によって利益が出た場合、雑所得として確定申告をする必要があります。ただし、雑所得は所得(民泊の収入から経費を差し引いた額)が20万円以下であれば確定申告が不要とされています。20万円を超えた場合は翌年に確定申告を行う必要があります。
なお、20万を超えていない場合であっても住民税の申告は必要になります。よく「20万円以下なら申告不要」と勘違いされますがそれはあくまでも所得税であり、住民税は別です。仮に10万円の所得しかない場合でも住民税は1万円発生します。(税率10%で計算)
そのため所得税の申告は不要でも、住民税の申告は所得が20万円以下でも必要と覚えておいてください。申告をしない場合は申告漏れが指摘され罰則の対象となる可能性があります。
実家を改装しての民泊は可能
実家で高齢の親が1人暮らしで部屋が余っているという場合、空いている部屋を利用して民泊で利益を得ることは可能です。
しかし、所得が生じれば税金も発生しますし確定申告も必要です。さらに、防犯面に気を配ったり親の理解を求めたりなど配慮も必要です。
実家を民泊とする際は、税金面だけではなく都道府県と相談しつつ親としっかりと話し合って手続きを進めていくようにしてください。
執筆者:柘植輝
行政書士