更新日: 2023.05.03 子育て
「奨学金」も「高等教育の修学支援制度」も使わず自腹で学費を出すとしたら、4年間で総額いくらになる?
そこで、それらの支援を受けずに進学した場合大学4年間でかかる学費はどれくらいなのか、そのお金はどう工面すればいいのか考えていきます。
執筆者:柘植輝(つげ ひかる)
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
目次
奨学金や高等教育の修学支援制度が利用できないことはある?
そもそも、現実的に考えて奨学金や高等教育の修学支援制度(通称大学無償化)という大学進学を支援するための2つの大きな制度が利用できないということはそうそうありません。
例えば、高等教育の修学支援制度なら、父、母、本人、弟妹1人(中学生)という世帯であれば年収380万円までが利用できる世帯年収の目安になります。
また、父、母、本人、弟妹1人(公立高校生)という4人世帯の場合、最大で月額12万円を借りることのできる第二種奨学金であれば、自宅から通学する場合で年収1096万円程度までの世帯であれば利用することができます。
高等教育の修学支援制度はともかく、奨学金なら高収入世帯などでもない限り利用できないということはそうそうないのです。そのため、年収1100万円近い高収入世帯でなければ、大学4年分の学費の支援を利用できるかについて過度に心配する必要もないでしょう。
大学4年間の学費はどれくらい?
進学する大学の学部や国公立か私立かによっても異なりますが、日本政策金融公庫の令和3年度「教育費負担の実態調査結果」によると、平均的な大学4年間の在学費用は国公立大学で414万円、私立文系なら608万円、私立理系なら732.8万円程度となるようです(家庭教育費なども含む。)
また、忘れてはならないのが入学費用です。国立大学なら67.2万円、私立文系なら81.8万円、私立理系なら88.8万円もの入学費用が初年度にかかります(入学していない学校への入学金なども含む。)
すると4年間の在学費用は国立大学でも481.2万円、私立文系なら689.8万円、私立理系なら821.6万円とかなり大きな額になります。
もし、年収制限や申し込みを忘れてしまったなどの事情で奨学金も高等教育の修学支援制度も受けられないとなったら、それなりに大きな金額の学費の負担がのしかかることになります。
教育ローンの利用も検討したい
奨学金や高等教育の修学支援制度以外にも利用を検討したい制度に、金融機関の教育ローンがあります。
詳細な内容については金融機関によっても異なりますが、日本政策金融公庫といった公的な側面が強い機関からメガバンク、地銀など多くの金融機関で取り扱いがなされています。これらは年収制限などで奨学金が利用できなかった方でも利用できる場合があります。
公的な支援制度が利用できないという場合は最寄りの金融機関へ教育ローンについて相談してみてください。
子どもの学費は早めの準備が必要
奨学金や高等教育の修学支援制度、教育ローンと何らかの制度による支援が期待できるものの、やはりそういった制度に頼らずともある程度自己資金で用意できる状況にあると子どもの進学に対して不安が小さくなります。
学費は数百万円のお金がかかるため、できる限り子どもが小さいうちから10年、15年と時間をかけて準備しておきましょう。もし子どもが進学しなかったとしても、結婚やマイホーム購入といった人生の節目に贈与することで無駄にはなりません。
また、貯金だけではなく、リスクの許容度に応じてNISA制度を利用した準備もおすすめできます。
参考までにつみたてNISAで毎月3万円を年利3%で10年運用すれば419万円、15年の運用で681万円となります。資産形成は貯蓄や学資保険よりも効率よく学費を用意できることもあるためそういった方法も検討すべきです。
ただし、短期の資産運用は元本割れリスクが高くなります。あと5年以内に子どもの学費が……というような差し迫った状態での実行はおすすめできません。
大学進学は4年間で480万円以上かかることを覚悟すべき
大学進学には大きなお金がかかり、奨学金や高等教育の修学支援制度といった制度の支援なしだと国立大学でも480万円以上のお金を用意する必要があります。
しかし、奨学金など公的な支援制度が受けられなくとも、金融機関の教育ローンを利用あうるなどして、効率よく資産形成して学費を用意しておくことで負担を軽減することができます。
もし、公的な支援制度を利用しない方向、あるいは利用できないときが不安という場合は、教育ローンや資産形成による学費の確保も視野に入れて考えてみてください。
出典
日本政策金融公庫 令和3年度「教育費負担の実態調査結果」
執筆者:柘植輝
行政書士