「NHK受信料」を支払わないとどうなる? 受信契約を拒むと「2倍」の割増金を請求される!?
配信日: 2023.05.20
実はそんなに簡単な問題ではないのです。NHKは、受信料を支払わない人については法的手続きを実施するとしており、実際に民事訴訟に発展したケースもあるのです。そして、2023年4月1日からは受信料未払い者に対して「割増金」も請求されるようになりました。
本記事では軽視すべきではない、NHKの受信料未払いで起こる問題について、その注意点を解説します。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
NHK受信料の支払いは義務
放送法第64条第1項には、「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会とその放送の受信についての契約をしなければならない」旨の規定がされています。そして、「協会の放送を受信することのできる受信設備」とは、単純にはテレビということになりますが、チューナー内蔵パソコンやワンセグ対応端末なども含んでいる点に注意してください。
つまり、家にテレビがある人はNHKと受信契約を締結し、受信料を支払わなければならないと法によって定められているのです。
NHK受信料の支払率は78.9%
NHK受信料の支払いは法律に定められた義務です。では、本当にテレビを持っている人全てが支払っているものなのでしょうか。
NHKが公表している「受信料・受信契約数に関するデータ」によると、受信料の推計世帯支払率は図表1のとおり78.9%となっています。実に5世帯のうち1世帯は受信料が未払いであるという結果です。
【図表1】
NHK 受信料・受信契約数に関するデータ
NHK受信料を支払わない人への対応
NHKをほとんど見ないという人からすると、「利用していないのになぜ受信料を払わなければならないのか」となるでしょう。しかし受信契約をしている以上、受信料は毎月発生しています。それを支払わないということは、スマホの契約者が使わないからといってスマホ料金を支払っていないのと同じなのです。
当然ながら、次の順で督促される流れになります。
・NHKから督促状が届く、または訪問員が督促に来る
・裁判所から督促状が届く
・財産が差し押さえられる
ブラックリストに載ることもある
NHKの受信料を滞納したとしてもブラックリストには載りません。ただし、受信料の支払いをクレジットカード決済にしており、クレジットカード会社からの口座引き落としが残高不足などでできなかった場合には、金融機関との信用事故になってしまいます。こうなるとブラックリスト入りしてしまうので、注意しましょう。
受信契約を拒むと「割増金」を請求される
「では受信契約自体しなければよいのでは」と思う人もいるでしょう。しかし、2023年4月1日より正当な理由なく受信契約を拒む人に対しては、NHKは受信料の2倍に相当する割増金を請求できる、と規定されました。つまり、1ヶ月の未払いで3ヶ月分支払う羽目になるということです。
引っ越しても督促状は届く
ある日突然引っ越したとしても、引っ越し先に滞納したNHK受信料の督促状が届くでしょう。実はNHKは引っ越し先を把握することができます。郵便局に出した転送届はNHKと共有されていることがあるからです。
転送届の種類によっては、郵便局への転送届とNHKへの住所変更手続きがセットになっているものがあり、気付かずに記入して提出しているケースがあります。転送届を出していない場合でも、契約者が受信料を滞納していれば、NHKは役所から住民票の情報開示を受けることができます。
まとめ
NHK受信料についてはさまざま意見がありますが、法律に定められている以上、従う必要があります。そして義務である限り、税金と同様に広く公平でなければなりません。「割増金」の規定ができたということは、国もその姿勢を強めるということでしょう。
「テレビを置くなら受信料を支払う」、「受信料を支払わないのであればテレビは置かない」、と合法的な対応をしましょう。
出典
NHK よくある質問集
NHK 受信料・受信契約数に関するデータ
NHK 受信料の窓口‐日本放送協会放送受信規約
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士