更新日: 2023.05.23 その他暮らし
日本の物価水準は「低い」?ビッグマック指数からみた日本の物価水準
一方で、日本の物価上昇は、世界と比べて、どれくらい深刻なのかと疑問に思う方もいらっしゃるでしょう。本記事では、マクドナルドのビッグマックを用いた経済指標から、日本の物価水準に関して考察します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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ビッグマック指数とは?
ビッグマック指数は、イギリスの経済紙「エコノミスト」が考案した指数で、年に1回発表されています。世界的な大手ハンバーガーチェーンである「マクドナルド」の商品「ビッグマック」の価格を、物価の基準として比較した指数です。
ビッグマックは、世界各国での材料・調理方法に違いが少なく、農畜産物、人件費、物流・サービスと、コストの種類も多く含まれているため、物価水準や為替相場を比較する基準として親しまれています。
日本のランキングの推移
2019年1月から2023年1月までの5年間の、ビッグマック指数のランキングを調査した結果、日本のランキングの推移は図表1のとおりでした。
図表1
年月 | 2019年1月 | 2020年1月 | 2021年1月 | 2022年1月 | 2023年1月 |
---|---|---|---|---|---|
順位 | 23位 | 26位 | 25位 | 35位 | 42位 |
※「The Economist」を基に筆者作成
2019年から2021年までの3年間のランキングはほぼ横ばいでしたが、2022年から現在のこの2年間で、大幅に順位が下がっています。2000年には、日本のランキングは5位でしたが、約20年で大きく順位を落としています。
世界からみた日本の物価水準は高い? 低い?
ここからは、2023年1月のデータを基にした考察です。ビッグマックの価格は、アメリカは5.36ドルなのに対して、日本は410円です。1ドル=130.1円で換算すると、日本のビッグマックは約3.15ドルで購入可能だという計算結果になります。
同じビッグマックが、アメリカよりも40%以上安く購入できるため、日本の物価水準は、アメリカと比較するとかなり低いと考えられます。ランキングの順位から考えると、日本の物価水準は「世界55カ国からみると低い」です。
日本の物価水準が引き起こす課題とは?
世界からみると物価水準が低いという結論から、安く購入できることはうれしいと、喜んでばかりはいられません。原油価格の高騰や、ウクライナ問題の影響から引き起こされているのが、食料品やエネルギー、原材料の争奪戦です。
日本も争奪戦に参加しており、その影響を受けて、企業間取り引きでは価格上昇が起こっています。ただ、消費者には値上げは受け入れられないだろうとの思いから、商品への価格転嫁は最小限に抑えられています。
原材料の価格は上がっているのに、商品価格を上げられないとなると、企業に残る利益が少なくなり、従業員の賃上げは困難になります。このままでは、企業の体力が低下して、世界との競争に勝てなくなってしまうでしょう。
うのみにしてはいけないビッグマック指数
ここまで、ビッグマック指数を基に、日本の物価水準に関して考察をしてきました。一方で、ビッグマック指数は、完璧な指標だとは考えられていません。その理由としては、ビッグマックが各国で全く同じものではない点です。例として、日本とアメリカのビッグマックの違いを図表2にまとめます。
図表2
カロリー | たんぱく質 | 炭水化物 | 脂質 | |
---|---|---|---|---|
アメリカ | 590kcal | 25g | 46g | 34g |
日本 | 525kcal | 25.9g | 41.9g | 28.2g |
※資料を基に筆者作成
図表2のとおり、各国の事情に合わせて作られますので、全く同じものではありません。よって、厳密な指標として捉えないほうがよいでしょう。
まとめ
ここまで、ビッグマック指数からみた、日本の物価水準に関してまとめました。厳密な指標として、うのみにしないほうがよい指数である一方で、身近なものから経済を考えるきっかけになる指標です。
物価水準は、生活に直結していますので、よく分からないからと、目を背けたりしないほうがよいでしょう。決して楽観視はできない日本経済の状況を知り、必要な対策を検討するようにしましょう。
出典
The Economist Our Big Mac index shows how burger prices are changing
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー