家賃を「滞納」してしまいました。何ヶ月までなら大丈夫ですか? 払えない場合どうすべきでしょうか…?
配信日: 2023.05.30
本記事では、賃貸物件の借り主が家賃を滞納してしまった場合、何ヶ月まで許されるのか、どのようなリスクがあるのか、どう対応すべきか、紹介します。
執筆者:新川優香(あらかわ ゆうか)
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士
家賃滞納が許されるのは何ヶ月まで?
民法上は3ヶ月以上の家賃滞納で、賃貸借契約を解除できると解釈されています。また、賃貸借契約書には家賃を滞納すると、契約解除できる旨が記載されているのが一般的です。
ただし、賃貸借契約は信頼関係を基礎とする継続的契約になります。そのため、信頼関係が破綻しているといえない場合は、解除が認められません。信頼関係が破壊されたと認められるのは、家賃滞納が3ヶ月程度続いたときとされています。
家賃を1ヶ月分滞納してしまえば、即刻強制退去になるわけではありません。滞納から2~3ヶ月後に契約解除通知が届き、裁判を経て強制退去になるのが一般的な流れです。
家賃滞納をすることのリスクは?
家賃滞納による一般的なリスクは、以下のとおりです。
●貸主との信頼関係が崩れる
●契約解除や強制退去の原因となるため、住む場所がなくなるおそれがある
●貸主から裁判などの訴訟を起こされるおそれがある
●連帯保証人へ支払いの督促が行われる
●保証会社が家賃を弁済することで、個人信用情報がブラックリスト入りとなる
特に、最後のブラックリストに登録されてしまうと、将来住宅ローンを申し込む場合に、おおむね5年間は審査に通過できなくなってしまいます。
家賃滞納はどこに相談すればいい? 対処法は?
家賃滞納をしてしまった場合、あるいはしてしまいそうな場合は、以下の対応を行いましょう。
●貸主(大家さん)に相談する
●親族に資金援助を求める
●公的支援制度を活用する
貸主(大家さん)に相談する
滞納してしまったときには、貸主(大家さん)あるいは管理会社に滞納の理由と支払いの意思を伝えましょう。大家さんからの連絡を無視したり、支払いが遅れていることへの謝罪をしていなかったりする場合は、大家さんの心証も悪くなり信頼関係が崩れ、大家さんが強硬手段に出る可能性が高くなります。
親族に資金援助を求める
親族に事情を話した上で、肩代わりしてもらうのも1つの方法です。消費者金融や銀行系カードローン、クレジットカードのキャッシングなどの活用は、高金利のため、おすすめしません。
公的支援制度を活用する
国や自治体などでは、生活に困窮している人向けの公的支援制度が用意されています。家賃滞納をしている場合は、「住居確保給付金」や「生活福祉資金貸付制度」の利用がおすすめです。
住居確保給付金は、離職や廃業から2年以内の人向けの支援制度です。家賃滞納の原因が収入減にある場合は、住宅確保給付金が利用できるかもしれません。住居確保給付金は、ハローワークで求職活動をしている無職の人が対象で、最大9ヶ月間の家賃支援を受けられます。
生活福祉資金貸付制度は、低所得者世帯や65歳以上の高齢者を含む世帯、障害者を抱える世帯が利用できる公的融資制度です。連帯保証人ありなら無利子、なしでも年1.5%で借りられます。ただし、利用条件が厳しく、手続きに時間がかかるのがデメリットです。
家賃滞納はNG! できるだけ早く対処しよう
家賃滞納を3ヶ月以上続けると、法的措置をとられて強制的に追い出されてしまいます。現在滞納をしてしまっている、あるいは、しそうである人は、その部屋に住み続けるためにも、大家さんに滞納の理由と支払う意思を伝えましょう。
収入が少なく支払えない場合は、できるだけ早い段階で、親族に相談したり、公的支援制度を利用したりすることをおすすめします。
出典
厚生労働省 住宅確保給付金
厚生労働省 生活福祉資金貸付制度
執筆者:新川優香
2級ファイナンシャル・プランニング技能士、宅地建物取引士、賃貸不動産経営管理士