更新日: 2019.01.11 その他暮らし

東京都自転車シェアリングの実証実験~その満足度は高いものの利用者が評価したのは意外な所?

執筆者 : 藤木俊明

東京都自転車シェアリングの実証実験~その満足度は高いものの利用者が評価したのは意外な所?
近年、「自転車シェア」とか「シェアサイクル」の文字が躍る記事を読んだことがありませんか?
 
街のあちこちに設置されるサイクルポート(無人の共用自転車置き場)で、スマホなどを使って借りる共用自転車の仕組みです。
 
おおむね30分100~150円程度でしょうか。インターネットを活用して、使いたいときに使いたいだけお金を支払えばいい新しい経済活動の仕組みはこんなところにも来ているのですね。
 
藤木俊明

Text:藤木俊明(ふじき としあき)

副業評論家

明治大学リバティアカデミー講師
ビジネスコンテンツ制作の有限会社ガーデンシティ・プランニングを28年間経営。その実績から明治大学リバティアカデミーでライティングの講師をつとめています。7年前から「ローリスク独立」の執筆活動をはじめ、副業・起業関連の記事を夕刊フジ、東洋経済などに寄稿しています。副業解禁時代を迎え、「収入の多角化」こそほんとうの働き方改革だと考えています。

広がる東京都の「自転車シェアリング」実証実験

自転車シェアでは、サイクルポートに空いた自転車があれば自由に借り、また別の場所のサイクルポートに返すことが可能な使い勝手のいい仕組みです。利用時間で料金計算がされ、クレジットカードなどで支払います。
 
歩くにはちょっと遠い場所にも自転車であれば気軽に行けますし、環境や健康によさそうです。
 
東京都は、自治体として「自転車シェアリング」(都は“コミュニティサイクル”と呼んでいます)の実証実験に取り組んでいます。東京都心の人は赤い電動自転車(愛称 : 赤チャリ)が走っているのを見たことがあるでしょう。
 
都の「自転車シェアリング」では、平成28年2月から千代田区・中央区・港区・江東区の4区で区の境を越えて相互乗入れができる「広域相互利用」が実施され、その後、新宿区・文京区・品川区・大田区・渋谷区が加わり、2018年7月現在、利用できるエリアが9区としています。
 
9つの区内に400か所以上のサイクルポートが設置され、どこでも自転車の貸し出し・返却ができます。たとえば千代田区の半蔵門で借りて港区の三田で返すのも自由です。がんばればそうとう遠くまで行けそうです。ただし返却するサイクルポートがあることが必要ですね。
 
「自転車シェアリング」利用には、ネットやスマホで会員登録します。会員の種類には「1回会員」(基本料金なし : 150円/30分・1回の料金が30分を越えたら100円/30分)や「月額会員」(基本料金2000円/月 :月に何度利用しても最初の 30分0円・1回の料金が30分を越えたら100円/30分)があります。その他「1日パス」や「法人会員」もあります。
 
ちなみにアプリをダウンロードすると、近場のサイクルポートを案内してくれ、そこに何台使える自転車が残っているか調べられるので便利です。
 
この東京都の「自転車シェアリング」、利用者はどう思っているのでしょうか?
 

都の自転車シェアリング、好評の要因は「電動アシスト」であること

随分普及したようなイメージの「自転車シェアリング」ですが、都の広域実証実験であり、利用者のアンケートを公表しています。
 
『「自転車シェアリング」全体を通して評価』についての回答では、「満足」(33%)と「やや満足」(53%)を合わせると86%にのぼります。おおむね好評といっていいでしょう。
 
さらに『どこに満足している?』との質問には、「電動アシスト自転車であること」を1番の理由に挙げた人が46%にのぼります。東京は坂が多い街ですから電動アシスト機能は助かりますね。
 
逆に『不満なところは?』との質問には、「自転車がポートに無いことがある」を1番の理由に挙げた人が29.2%でした。しかし、これはアプリを使えばある程度は解決できる問題でしょう。ところがアプリでもわからないのが自転車の充電状況です。「自転車があっても充電不足などで使えないことがある」を1番の理由に挙げた人が15.6%でした。
 
「料金の高さ」を1番の理由に挙げた人は6%で、全体の8番目ぐらい。料金についての不満はそんなに高くはないのですね。
 
こうしてみると、都の自転車シェアリングの好評には、「電動自転車」であることが大きな要素だったと推測できそうです。
 
他にもさまざまなシェアサイクルのサービスがはじまっており、競争によってもっと便利になり、安く使えるようになることが望ましいですが、料金だけでなく、その街の土地柄や地形(坂が多いとかながらかとか)に向いたサービスがよく使われることになるのでしょうね。
 
Text:藤木 俊明(ふじき としあき)
明治大学リバティアカデミー講師・副業評論家