合格したら返済不要!?「受験生チャレンジ支援貸付事業」の支援対象が拡大!
配信日: 2023.06.19 更新日: 2023.08.07
本記事では、貸付事業の説明と支援対象の拡大点について紹介します。
執筆者:石井麻理子(いしい まりこ)
FP2級・AFP
東京都の受験費用貸付制度「受験生チャレンジ支援貸付事業」とは
受験生チャレンジ支援貸付事業貸付金は、東京都が実施する貸付制度です。高校や大学へ進学するために通う学習塾などの費用、受験料を、一定の所得以下の世帯へ貸し付けを行う支援制度です。
受験に合格して進学すると、免除申請を行うことで返済は免除となります。免除申請をしなかった、または免除申請が承認されなかった場合は返済(無利子)をする必要があります。
具体的に支援対象はどのように拡大された?
受験生チャレンジ支援貸付事業について、2022年度から支援が拡大されたポイントは3点です。
■収入または所得の要件が拡大
以下のように収入や所得の要件が変更され、支援を受けられる対象が拡大されました。
【例:夫婦と子ども1人の場合】
給与収入 334万3000円以下
事業所得 216万円以下
給与収入 441万円以下
事業所得 308万7000円以下
■連帯保証人が不要になった
2021年度までの貸し付け要件には連帯保証人または連帯借受人が必要でしたが、2022年度より貸し付け要件から連帯保証人または連帯借受人は不要となりました。ただし、2022年度の申請時点で受験生チャレンジ支援貸付金の連帯保証人になっている人は本制度を利用できません。
連帯保証人を誰かにお願いするのは心理的・物理的にハードルが高いことです。東京都の教育支援に対する本気度が伺えます。
■支援対象となる学習塾等に家庭教師も加わった
2021年度までは家庭教師は支援対象外でしたが、2022年度より一定期間以上運営を継続している家庭教師(事業者)も支援対象となりました。
貸付金の種類
受験生チャレンジ支援貸付事業には、2種類の貸付金があります。
〇学習塾等受講料貸付金
入学試験に備えるために必要な学習塾、各種受験対策講座、通信講座の受講費用、添削を伴う通信講座が貸し付けの対象となります。
・中学3年生とそれに準ずるもの 20万円(上限)
・高校3年生とそれに準ずるもの 20万円(上限)
〇受験料貸付金
高等学校(特別支援学校高等部・高等専門学校を含む)および大学(短期大学・専修学校・専門職大学・各種学校を含む)の受験料貸し付けの対象となります。
・中学3年生とそれに準ずるもの 2万7400円(上限)
・高校3年生とそれに準ずるもの 8万円(上限)
これらの貸付金の金額は上限です。塾代に50万円かかった場合は20万円の貸し付けを受けられ、15万円の場合は15万円の貸し付けを受けられます。
返済不要の条件
以下の場合、貸付金は返済が不要となります。
・所定の学校へ入学し、免除申請をした
・所定の学校を受験したが不合格となった、合格したが進学しなかった場合などは、免除申請をすることで返済が免除される場合がある ※市区町村の窓口で要相談
返済する場合
以下の場合は返済が必要となります。
・免除申請をしなかった
・免除要件に該当しなかった
貸付金は無利子。貸し付けを受けた翌年度4月から措置期間(6ヶ月以内)を経て、返済開始となります。返済期限は据置期間経過後5年以内です。
返済期間内に返済が終わらなった場合は、残額に対して延滞利子(年利3%)が発生するので、注意が必要です。
まとめ
受験生チャレンジ支援貸付事業は認知度が高いとはいえません。そもそも制度があることを知らないと利用できません。また、多くの制度は常に変化します。1年前と今では、制度改定がされているものもあるので、正しい情報のアンテナを張り、利用できるものは利用していきましょう。
SNSや知人からの情報も大切ですが、最終的にどのような制度で自分が対象となるのかなどは、自身で調べることが大切です。
出典
東京都社会福祉協議会 受験生チャレンジ支援貸付事業サイト
執筆者:石井麻理子
FP2級・AFP