更新日: 2023.06.22 その他暮らし
「指定日に有休消化して」と言われました。会社都合で有休をとるのは一般的なのでしょうか?
しかし、だからといって、会社側の都合で、一方的に有給休暇を決めてもいいものなのでしょうか。今回は、有給休暇の取得に関する基本的な事柄を、労働基準法にもとづいて解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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有給休暇は従業員が自由に取得できる
有給休暇は、従業員自身が、好きな日を自由に指定できることが原則です。会社側は、従業員が指定した日に、有給休暇を与えなければなりません。正社員であれば、勤続年数が0.5年を超えた時点で、年10日間付与されます。以降、年数に応じて増えていき、勤続年数が6.5年を超えれば、年20日間の有給休暇を取得できます。
パート勤務者についても同じです。付与される日数は、週の労働日数によって変わりますが、0.5年以上働いた時点で、有給休暇の取得が可能になります。これは、労働基準法第39条で決められていることで、条件を満たしていれば、権利を行使できます。
会社側が「時季指定」できる条件
初めに紹介したように、会社側は有給休暇の取得に対して、時季を指定することが可能です。会社側が時季指定できるのは、有給休暇が年10日以上の従業員が対象になります。
つまり、勤続年数が0.5年以上の正社員ならば、誰もが該当します。会社側が時季を指定できるのは年5日間までで、従業員に有給休暇を取得させることを目的としています。
そのため、従業員がすでに5日間の有給休暇を消化している場合は、会社側の指定は不要です。また、時季を指定するときも、会社側が勝手な判断で決めることはできません。事前に従業員に意見を聞き、それをもとに決めていく必要があります。最終的に「○月○日に有休を取ってください」と会社側が指定しても、従業員の希望を尊重していることが前提です。
会社側が行使できる「時季変更権」とは?
時季変更権は、有給休暇を与えることで業務が正常に運営できないときに、行使できます。時季変更権を行使すると、従業員が希望した有給休暇の日程を変更することが可能です。ただし「繁忙期だから」といった理由だけでは変更できません。変更せざるを得ない、正当な理由が必要になります。
例えば、同じ日に同じ部署の全員が有給休暇を取るといったケースが該当します。正常な業務ができない場合であり、事業全体に支障が出る可能性があるときになります。その日にその人がいないと、業務が停止してしまうおそれがあれば、時季変更権の行使が認められます。
つまり、会社側が時季変更権を行使できるのは、やむを得ない状況のときに限られます。その前に、従業員自身が取得日を決めることが原則ですし、変更を迫るときは、納得のいく説明がなければなりません。
会社側の一方的な都合で有休を決めることはできない
有休は、従業員自身が自由に取得日を決めることが原則です。会社側は、従業員の有休取得に対して、不利益になる対応をとることはできません。会社側は、時季指定や時季変更権を行使することも可能です。それでも、一方的な都合の押し付けはできないことになっています。
有給休暇は、付与されてから2年で失効します。プライベートの充実や疲労回復など、必要に応じて、有給休暇を活用しましょう。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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