「線路侵入」「駅員への暴言」で問われる罪は? 電車の撮影が「高額な損害賠償」になる可能性も?

配信日: 2023.06.27

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「線路侵入」「駅員への暴言」で問われる罪は? 電車の撮影が「高額な損害賠償」になる可能性も?
鉄道ファンが電車を撮影するのを目的に線路へ侵入し、電車の運行を阻害したとする、悪質な「撮り鉄」のニュースが相次ぎ、世間の関心を集めています。一部の迷惑な撮り鉄に、怒りを感じている人は多いでしょう。
 
彼らの行為は単なるマナー違反ではなく、明確な犯罪です。仮に彼らが逮捕された場合、どのような罪に問われるのでしょうか。

複数の刑事罰が科せられる可能性がある

撮り鉄が不正に線路へ侵入し電車の運行に支障をきたした場合、複数の罪に問われる可能性があります。以下、実際にどんな罪で逮捕され、どんな罰を受ける可能性があるかみていきましょう。
 

・鉄道営業法第37条の違反

正当な理由なく線路へ立ち入った場合、鉄道営業法第37条の違反と判断される可能性があります。この場合の罰則は、1000円以上1万円未満の罰金です。
 
ちなみに新幹線の線路に立ち入った場合、より影響が大きいことから罪も重くなります。このとき科される可能性がある罰則は、1年以下の懲役、もしくは5万円以下の罰金です。
 

・列車往来危険罪

電車を撮影する目的で線路へ侵入し、電車が急ブレーキをかけるなどの支障が発生した場合は列車往来危険罪に問われる可能性があります。列車往来危険罪の場合の罰則は、2年以上(上限20年)の有期懲役と非常に重いものです。
 
その上、電車が転覆するなど損傷が生じた場合は、無期もしくは3年以上の懲役に問われる可能性があります。さらに、それが原因で乗客などが死亡する可能性もあるでしょう。ここまでいくと、死刑もしくは無期懲役という最も重い罪になります。
 

・威力業務妨害罪

注意をした駅員に暴言を吐くなどして、駅員の業務を阻害した場合は威力業務妨害罪に問われる可能性があります。威力業務妨害罪による罰則は、3年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金です。
 

・暴行罪と傷害罪

悪質な行為を注意した駅員などとトラブルになり、暴力をふるった場合は暴行罪に問われます。暴行罪の罰則は、2年以下の懲役か30万円以下の罰金、もしくは拘留・科料です。
 
暴行により相手にけがをさせた場合は傷害罪と判断され、15年以下の懲役か50万円以下の罰金が科せられる可能性があります。さらにその暴行で、相手を死亡させてしまう可能性も否定できません。その場合は傷害致死罪と判断され、3年以上の有期懲役が科せられる可能性があります。
 
このように不正な線路侵入により列車の運行が阻害されると、懲役や高額な罰金などの刑罰が科される可能性があります。状況によっては、乗客の生命にも関わる可能性があるので当然といえば当然でしょう。
 

鉄道会社から高額な損害賠償を請求される可能性も

不正な線路侵入によって、加害者受ける可能性があるのは刑事罰だけではありません。遅延が発生したり、損害が発生したりした場合は、鉄道会社から高額な損害賠償を請求される可能性もあります。
 
線路へ侵入してほんの数枚だけ鉄道の写真を撮ろうとすることで、刑事・民事両方で大きな罰を受ける可能性があるのです。犯罪行為をしてまで撮影しようとする一部の撮り鉄には、「自分のすることは、これだけ悪いことなんだな」と認識してほしいものですね。
 

出典

e-Gov法令検索 鉄道営業法
e-Gov法令検索 刑法
 
執筆者:小泉健太郎
FP2級

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