更新日: 2023.06.27 その他暮らし

コンビニで大量の「誤発注」! 自腹で賠償しなければいけないの?

コンビニで大量の「誤発注」! 自腹で賠償しなければいけないの?
コンビニエンスストアのアルバイトでミスをしたら、どのような責任が発生するのでしょうか。アルバイトなのだから責任はないという意見があります。他方、「誤発注」をしてしまったのは自分だから、自己責任でその問題を解決しなければならないという考え方もあります。
 
本記事では、労働基準法第16条を基に、誤発注を自腹で払う必要があるのかを考察してみます。
FINANCIAL FIELD編集部

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労働基準法第16条「賠償予定の禁止」の意味とは?

労働基準法では、その第16条に「使用者は、労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしてはならない」と記載されています。これは「賠償予定の禁止」と呼ばれる条項で、労働契約の中で従業員に違約金や損害賠償金の支払いを予定することを禁止しているのです。
 
例えば、遅刻をした場合に違約金を請求したり、取引先とのトラブルが発生した場合に損害額相当の賠償金を請求したりすることは労働基準法に抵触します。また、退職時に資格の取得費用の返還を要求したりすることも同様です。
 
このような賠償予定に関わる項目が労働契約書に記載されている場合は、違法になります。違反した場合、企業側には罰則が科せられる可能性があります。また、未成年者に対しても、身元保証人を損害賠償の請求先として予定することも禁止されています。なお、従業員が企業側に損害を与えた場合は、損害賠償請求が可能です。
 
例えば、社内ルールを無視して業務を行い、機械が壊れた場合や上司の指示と異なる契約を結び、損害を引き起こした場合などが該当します。ただし、従業員が全額を負担することはほぼありません。なぜなら、仕事中に起きた損害には企業側も一定の責任を負う必要があるためです。
 
損害賠償の支払いに納得できない場合は、金額の根拠を確認することが重要です。さらに相違がある場合は、弁護士など専門家に相談することをおすすめします。労働基準法第16条は、労働者と企業の関係において公正さと平等さを促進する役割を果たしています。
 

誤発注を自腹で払う必要はある?

コンビニエンスストアの従業員が誤発注を行い、その費用を自己負担することが求められる場合、上記の労働基準法第16条が適用されます。前述の通り、この法律は使用者による不当な「賠償予定の禁止」を述べているのです。誤発注によって生じた損害は、従業員のミスであっても、基本的には企業の経営リスクとして扱われるべきです。
 
なぜなら、それは従業員が個人的な利益を得るために行った行為ではなく、業務上の過失であるからです。したがって、誤発注による損失を従業員に自己負担させる行為は、違法と考えられます。つまり誤発注を自腹で支払う必要はありません。
 
ただし、労働者が故意または重大な過失により会社に損害を与えた場合は例外となります。その場合、賃金から損害額を差し引くことも可能です。しかし、この場合でも事前に従業員の同意を得る必要があり、そして、その過失を明確に証明する必要があります。
 

法の知識を活用して正しい権利を主張しよう

労働基準法第16条は、賃金の適切な支払いと不当な控除を防ぐことを目的としています。したがって、誤発注の損失を従業員に支払わせる行為は法的に許されないのです。ただし、アルバイト店員の側の故意や重大な過失による損害は例外となることも覚えておきましょう。その場合は、損害賠償請求訴訟を起こされる可能性があります。
 

出典

e-Gov法令検索 労働基準法
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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