更新日: 2023.06.28 その他暮らし
「市役所も郵便局も17時までなのに、なぜ銀行は15時で閉まるの?」→銀行員の仕事のピークは「15時」から!? 元銀行員の筆者が業務内容について解説
しかし、銀行が15時に窓口を閉めてしまうことには、しっかりとした理由があります。本記事では、元銀行員の筆者が、銀行の閉店時間の理由と閉店後の銀行内での業務について、自身の経験もふまえて解説します。
執筆者:渡辺あい(わたなべ あい)
ファイナンシャルプランナー2級
なぜ銀行は15時に閉まるの?
実は、銀行が15時に窓口を閉めることは法令で決められています。銀行や信用金庫等に関するあらゆる法的取り決めは「銀行法施行規則」に定められており、営業時間は、銀行法施行規則の第16条で「銀行の営業時間は、午前9時から午後3時までとする。」とあります。
つまり、多くの銀行や信用金庫は、この銀行法施行規則の決まりにのっとって、15時で窓口を閉めているということになります。
15時以降に行っていること
15時の閉店以降、銀行内でどのような業務が行われているのでしょうか。業務の一例として、以下のものがあげられます。
●勘定締め業務
●電話セールス、郵送準備
●会議
●勉強会
●防犯訓練
15時以降、最も重要な業務といっていいのが「勘定締め業務」です。これは1日のうちの窓口での入出金とATMの入出金が合っているか、伝票と入出金額を照らし合わせて齟齬(そご)がないかを確認します。
この他にも税金の納付書をとりまとめて官公庁に送る手続き、手形や小切手の処理を行う必要があります。もしも、これらの勘定が1円でも合わない場合、原因を解明するまで業務を終了できません。
この他に銀行でキャンペーンがある場合、顧客に電話や郵送でキャンペーン周知のセールスを行います。また銀行内での会議や支店長会議は閉店後に行われることがほとんどで、システムの改正や新規取り扱いの保険があった場合の勉強会も行われます。
さらに銀行では定期的に警察と連携して防犯訓練を行います。銀行によっては営業時間に来店客の同意のもとで訓練を実施することもありますが、ほとんどの場合は業務に支障をきたさないよう、閉店後に行われます。このように15時以降も銀行員の業務は数多くあります。
15時以降も営業している銀行
基本的に平日の9時から15時までを営業時間としていることの多い銀行ですが、中には15時以降や土日祝日も営業している銀行もあります。実は、先ほど解説した「銀行法施行規則」には16条2で「前項の営業時間は、営業の都合により延長することができる。」と記載があり、営業時間の変更も認められているのです。
ここで、15時以降も営業をしている銀行の一例を紹介します(2023年6月調査時点)。
●りそな銀行…平日9時から17時まで営業
●新生銀行…平日9時から17時まで営業
●ゆうちょ銀行…平日9時から16時まで営業
●イオン銀行…基本的に365日、9時から21時まで営業
ただし、店舗によっては営業時間が異なることもあるので、あらかじめ確認しておくようにしましょう。
15時の閉店後も銀行員は忙しく働いている
15時に閉店した後はゆっくりしていると思っていた銀行員が、意外と忙しいということはご理解いただけたのではないでしょうか。窓口営業をしているときももちろん忙しいのですが、締め業務は1日の仕事の中で最も重要で最も大変な業務といっても過言ではありません。
さらに「もしも勘定が合わなかったらどうしよう」というプレッシャーもあり、毎日少しドキドキしながら締め業務を行っています。仮に17時まで窓口を開けていたら、窓口が閉まった後に先ほど紹介した業務をこなす必要があり、銀行員が仕事を終えるのは、19時以降になってしまうでしょう。
ただし、銀行によっては長期営業を行っているところもありますので、時と状況によってうまく使い分けると便利でしょう。
出典
e-Gov法令検索 銀行法施行規則
執筆者:渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級