更新日: 2023.07.06 その他暮らし

選手村マンションで話題に。転売目的の不動産購入は違法? 誰でも成功できる?

選手村マンションで話題に。転売目的の不動産購入は違法? 誰でも成功できる?
東京五輪の選手村だった大型マンション・晴海フラッグは、転売対策のために2023年6月の販売分で申し込み制限がおこなわれることになりました。
 
晴海フラッグの建築当時は資材が安く、都が払い下げた土地に建てられたため、現在販売中の新築マンションより低コストで建築されています。販売価格も割安に設定された結果として転売人気が集中することになったのも、転売対策が必要となった背景の一つです。
 
しかし、そもそも転売目的の不動産購入は問題がないのでしょうか。本記事では、不動産転売における問題の有無や注意点について解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

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不動産の転売は可能

不動産の転売自体は、法律で禁じられているものではありません。不動産売買や利用に関する理念を定めた「土地基本法」においても、不動産の転売を禁じる項目は規定されていません。
 
ただし、利益を目的とした継続性のある取引をおこなう場合には、事業性があると判断されるため宅地建物取引業免許が必要です。したがって、住み替えのためにマイホームを売却するようなケースでは宅地建物取引業免許がなくても問題ありません。当初から転売目的だったとしても、1回限りであれば継続性のある取引には該当しないでしょう。
 

その他の注意点

投資目的で不動産を所有しているときには注意が必要です。インカムゲイン(家賃収入)を得ることがメインであれば、不動産売却で利益を得る目的ではないため、宅地建物取引業免許は必要ありません。
 
しかし、キャピタルゲイン(売買差益)を得る目的で転売を反復しておこなうときには、宅地建物取引業免許を取得する必要があります。インカムゲインを目的としていても、出口戦略として不動産売却を考える方は多いのではないでしょうか。
 
複数の投資物件を所有していれば、たまたま近いタイミングで売却処分が重なることがあるかもしれません。このような場合にも、反復して不動産取引をおこなっていると判断される可能性があるので注意しましょう。
 

不動産の転売は利益を出すことが難しい

不動産の転売は、誰もが利益を得られるわけではありません。転売による利益獲得が難しい理由には、次のような背景があります。
 

譲渡費用がかかる

不動産売買には、以下のようにさまざまな費用がかかります。
 

・不動産会社へ支払う仲介手数料
・印紙税
・所得税・住民税・復興特別所得税
・測量費(土地・一戸建ての場合)

 
3000万円で不動産売却したケースの譲渡費用は次のとおりです。
 

・仲介手数料:3000万円×3%+6万円+9万6000円(消費税)=105万6000円
・印紙税:2万円

 
売却益の有無に関係なく、仲介手数料や印紙税だけで100万円以上の費用がかかります。物件の状態によっては、ハウスクリーニング代なども要するため、さらなる費用がかかる点に注意が必要です。
 

短期譲渡所得の税率が高い

不動産売却によって生じた譲渡所得は、1月1日時点における所有期間に応じて次のように定められています。
 

・短期譲渡所得(5年以下):39.63%(所得税30%、住民税9%、復興特別所得税0.63%)
・長期譲渡所得(5年超):20.315%(所得税15%、住民税5%、復興特別所得税0.315%)

 
短期間での転売は短期譲渡所得に該当することが多く、高いほうの税率が適用されます。およそ2倍の税率となるため、その分だけ売買差益も小さくなってしまいます。
 

価格変動が小さい

不動産転売は購入時点よりも売却時点のほうが、取引価格が上昇することを見込んでおこなわれるものです。記事の冒頭で紹介した晴海フラッグのように、割安で取得できる物件ばかりではないため、どのような不動産でも大きな売買差益を得られるわけではありません。
 

まとめ

不動産転売を成功させるためには、乗り越えるべきハードルが多数あります。そもそも購入希望者が現れる保証もなく、売り出し価格より値下げせざるを得ない場面も多いでしょう。投資の一環としておこなう場合には、これらのリスクを十分に検討することが大切です。
 

出典

国土交通省 土地基本法 条文(第1条~第5条)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
 

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