更新日: 2019.01.10 その他暮らし
新築か?中古か? 「安心R住宅」マークで適正な中古住宅が探しやすくなる!?
購入の際の判断基準は人それぞれだと思いますが、「新築か?中古か?」は重要な要素のひとつです。とかく日本人は「新築」を好むといわれていますが・・・
2018年4月から中古住宅の流通促進に向けて、新たに「安心R住宅」制度が開始されました。この制度は、一般の消費者が抱いている中古住宅に対する「不安」「汚い」「わからない」というマイナスイメージを払拭することによって、消費者心理の改善につなげていこうという目的で創設されました。
同じく、2018年4月から開始された「ホームインスペクション(住宅診断)」と併せて中古住宅の流通を促進させることで、適正な不動産流通環境の構築に向けた支援策となるのか注目を集めています。
Text:高橋庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー
住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。
目次
中古住宅を選ばなかった理由
国土交通省が実施したインターネットアンケート(複数回答)によると、一般の消費者が中古住宅を選ばなかった理由として最も多かった回答は、「好みに合う中古住宅がなかった」(38%)、2番目は「価格の妥当性が判断できない」(31.3%)となっています。この2つは、いわゆる中古住宅に対する情報不足=【わからない】という理由です。
また、「設備の老朽化が不安」(18.8%)「耐震性に不安」(17.8%)「長く住むつもりのため」(16.2%)という、いわゆる中古住宅に対する【不安】もトップ10に入っています。
さらに、「新築住宅の方が気持ちが良い」(14.2%)、「見た目がきれいでなかった」(13.3%)「水回りが古い・汚かった」(12.0%)は、【汚い】が理由となっています。
「安心R住宅」マークでマイナスイメージを払拭
この制度は、「不安・汚い・わからない」のマイナスイメージを「安心・きれい・わかりやすい」に転換し、その3要素を満たす品質の中古住宅に「安心R住宅」の標章(ロゴマーク)の使用を許可するものです。ちなみに、安心R住宅の「R」は、Reuse(リユース、再利用)、Reform(リフォーム、改装)、Renovation (リノベーション、改修)を意味しています。
買主にとっては、物件情報を探す際に「この物件は『安心R住宅』のマークが付いているから国の基準に適合した住宅」であるとすぐにわかるようになります。また、売主にとっては、適切にメンテナンスされてきたことについて、一目で「住みたい」「買いたい」家であることを訴求できる効果が期待されます。
安心R住宅に適合するためには、耐震基準やホームインスペクション(住宅診断)をクリアし、基礎的な品質があることが求められます。また、基準に合致したリフォームがなされ(未実施の場合はリフォーム提案書を付属)、さらに住宅に関する書類の保存状況や買主の求めに応じた情報開示がなされるなどの要件が課せられています。
「安心R住宅」のロゴ使用の場合は専任媒介契約
不動産媒介(仲介)取引では、基本的に売主が「家を売却したい」と依頼する「元付仲介業者」、買主が「家を買いたい」と依頼する「客付仲介業者」に分かれます。
つまり、多くの場合は売主と買主の間に2社の不動産仲介業者が入る構造となります。そして、売主は複数の不動産業者(元付仲介業者)に売却を依頼する場合には「一般媒介契約」を締結し、1社に限定する場合には「(専属)専任媒介契約」を結びます。
注意点として「安心R住宅」のロゴマークを使用するには、「専任媒介契約を締結し、売主の承諾を得る」という記載があります。つまり、「安心R住宅」のロゴマークを使用するためには、1社との契約に限られるということになります。
国交省によれば、複数の元付仲介業者に売却依頼する場合、売買契約が結ばれたことを知らない元付業者がロゴマークを使い続け、一元管理できない懸念があるなど、買主に混乱を与えることをその理由としています。
元付業者の立場としては、1社にのみ限定して売却依頼をされる専任媒介契約は、他の仲介業者との競争がない“おいしい”契約です。これまでにもこの専任媒介契約は、いわゆる「囲い込み」のきっかけとして社会問題にもなっています。
優良な中古住宅の流通、買い手の物件選びをサポートする「安心R住宅」制度
優良な中古住宅の流通が促進され、買い手側が正しい判断ができる適正な不動産流通環境の構築のためのひとつの指標として「安心R住宅」制度は歓迎されるものです。
また、今後さらに進展していくであろう「空き家問題」にも、その一助となることが期待されます。
いずれにしろ、人生最大の買い物である住宅購入に失敗しないよう、パートナーとなる業者の選定については、慎重におすすめください。
Text:高橋 庸夫(たかはし つねお)
ファイナンシャル・プランナー,住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士