更新日: 2023.08.30 その他暮らし
LPガスの設備費上乗せが禁止に。「現状のまま」or「都市ガスやほかのLPガスへの乗り換え」ではどちらがお得?
入居者としてはこれを機に、ほかのLPガスや都市ガスに乗り換えた方がよいのか、それともこのままの方がよいのか、気になるのではないでしょうか?
そこで本記事では、制度改正後のガス契約をどのようにすべきかについて考えていきたいと思います。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
制度改正の背景
LPガス業界では、賃貸住宅などの大口顧客を取り込むため、エアコンやインターホンなど高額な設備を無償提供し、その費用をガス料金に計上して入居者から回収する慣習があります。
入居者は新しい設備を使えるためメリットがゼロというわけではありませんが、それ以上にガス料金が設備上乗せによって高騰していることが問題となっていました。
また、入居者が自分でLPガス業者を選べないことも問題に拍車をかけています。
賃貸集合住宅の入居者は、LPガス会社と契約は直接結ぶものの、基本的に全戸一括でオーナーが管理する形となります。ガス料金が高く負担に感じていても、入居者自身で契約先を変更するのはほぼ不可能です。
こうした問題を解決するため、経済産業省はガス供給とは関係ない設備費用の上乗せを禁止するようルールを改正することにしました。従わない場合は事業者登録の取り消しや、罰金を科すとのことです。
LPガスの価格
まずは、ほかのLPのガスに乗り換えるのはお得なのかについて考えていきましょう。
北海道大学生協の調査によると、2022年の同一地域内におけるガス会社間の料金格差は、4819円/5立方メートル(基本料金含む)でした。
表1
2020年 | 2021年 | 2022年 | |
---|---|---|---|
最高値 | 8140円 | 8725円 | 8955円 |
最安値 | 3607円 | 3607円 | 3960円 |
価格差 | 4533円 | 4765円 | 4819円 |
※経済産業省「北大生協等の調査報告と商慣行是正提言」をもとに筆者作成
設備費の上乗せ金額は不明瞭なため正しい金額は分かりませんが、この価格差は設備上乗せによるものと考えられるでしょう。そのため制度改正後は価格差が小さくなると考えられますが、どこまで効果があるかは現状では不透明です。
実際の金額を確認後、それでも他社と比較して高額なのであれば、乗り換えを検討すべきでしょう。
都市ガスの価格
それでは、都市ガスへの乗り換えは節約効果が見込めるのでしょうか?
LPガスに換算した場合、北海道ガスの基本料金を含む11立法メートル料金は、2023年9月検針分で3062円でした。
北海道大学生協の調査の2022年の最高値は8955円、最安値は3960円なため、およそ900円~6000円の価格差があることが分かります。
ただし、仮に法改正が実施されたとしても、最安値に近いLPガス会社はそもそも設備上乗せをしていない可能性が高いため、金額はそこまで変わらないと考えられます。
そのような状況でも都市ガスの方が900円ほど安いため、都市ガスに乗り換えられる環境なのであれば、乗り換える方が節約になるでしょう。
慎重に比較検討したうえで乗り換えを考慮しましょう
今回の制度改正によりLPガス会社間の価格差が是正されることで、ガス料金が数千円安くなる可能性があります。
ただし、実際にはどこまで影響があるのか、これまで設備費として上乗せされていた分の金額はどこに転嫁されるのかなど、まだ不透明な部分も多いため、乗り換えはもう少し様子を見てもよいかもしれません。
固定費の削減は節約に大きな効果をもたらしますが、焦りは禁物です。慎重に情報を精査したうえで比較検討し、最適なガス会社と契約できるよう準備しておきましょう。
出典
経済産業省 北大生協等の調査報告と商慣行是正提言
経済産業省 商慣行是正に向けた対応方針と実効性確保の方策
※2023/8/29 記事を一部修正いたしました。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー