更新日: 2023.08.31 その他暮らし

よく聞く「押し買い」とは? 被害にあわないためにできる対策を解説

執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部

よく聞く「押し買い」とは? 被害にあわないためにできる対策を解説
大切にしていた指輪やネックレスなどの貴金属を、突然の来訪者によって、冷静な判断ができないまま強引に買い取られ、悔しい経験をした、という事例が報告されています。
 
これは国民生活センターなどからも注意喚起がされている、「押し買い」という詐欺の一種です。古物の買い取りには特定の許可が必要なのにも関わらず、法律を無視した業者や、詐欺・脅迫に近い手法で買い取りを強行する悪質な業者も少なくありません。
 
このようなトラブルを防ぐため、2013年2月に「特定商取引に関する法律」が改正され、自宅での買い取り業者に関する制度や、業者が守るべきルールが定められましたが、知識がなく、被害にあう人がいまだに多くいます。
 
本記事では、「押し買い」の正体や被害事例、被害に遭わないための対処法を詳しく解説します。日常生活にひそむ危機について知り、身を守るための知識を習得しましょう。
FINANCIAL FIELD編集部

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「押し買い」とは

「押し買い」とは、不意に訪問してきた業者が強引な勧誘を行い、貴金属などの価値あるものを安価で買い取ろうとする行為を指します。
 
「押し買い」業者の多くは、古物営業法の許可を持っていない場合が多く、たとえ許可を持っていたとしても、法律を守らない悪質な行為を行うことが少なくありません。さらに、押し買いを機に窃盗・強盗を行うような業者も存在するため、注意が必要です。
 
独立行政法人 国民生活センターの報告によると、特に危険なのが、高齢者をターゲットとする事例です。
 
報告によると、60歳以上の高齢者が押し買いの被害者となる割合が全体の約7割を占め、特に女性からの相談が多く見受けられます。高齢者は終活を機に多くの不用品を処分しようとする中、突然の訪問に対して充分な警戒心を持たないことから、このような被害に巻き込まれやすいのです。

 

「押し買い」の事例

「押し買い」は犯罪であり、不意の訪問や強引な手法で、多くの被害を生み出しています。以下に、国民生活センターの報告から、その代表的な事例をいくつか紹介します。
 

●突然、家を訪れた業者が「不要な貴金属があれば売って欲しい」と持ちかけてきて指輪を見せたら、説明もなく5000円だけ渡された。領収書に住所や氏名を記入させられ、指輪は持ち帰られた。あとになって価格の安さに気がついたが、連絡が取れなかった。
 
●「女性用衣類の買い取り」を名目に電話をしてきた業者が、後日、自宅を訪問してきたが、実際には「アクセサリーや金貨」の存在を強く追及した。なりゆきで、亡夫からの形見などの貴金属を見せたところ、わずか1200円で買い取られた。
 
●「クーリング・オフ」の説明がなく、ずさんな契約書にサインをさせられた。契約後に商品返還を求めるも、「すでに転売された」「紛失した」との返答を受ける。

 
その他にも、購入業者が物品の返却を拒否するケースや、消費者を強い口調で怖がらせ、無理やり買い取りを進める事例が報告されています。これらの事例から、急な訪問や不明確な取引には充分な警戒が必要です。

 

押し買いの被害に遭わないための対策

押し買いの被害に遭うのは突然のことであり、考える時間も与えられない事例がほとんどです。以下の対策を踏まえ、安全な取り引きを心がけましょう。
 

・前ぶれもなく突然に訪問する不審な業者は対応を拒否する
・契約前に古物商としての許可証の提示、業者名、住所、連絡先を求める
・契約書を書いてもらう前に物品を渡さない
・1人での対応を避ける

 
これらの対策をすることで、押し買いの被害に遭わないよう、注意しましょう。

 

押し買いの被害に遭ったときの対処法

押し買いの被害に遭ったと感じた場合、放置せず速やかに対応することが大切です。
 
まず、契約してから8日以内であれば、クーリング・オフ制度を利用して契約を無効にできます。納得できない内容や、あとから不都合を感じた場合は、迷わずこの制度を利用しましょう。
 
また、取り引きの過程で、法律違反の疑いや不安を感じた際、あるいは強迫的な態度におびえた場合は、即座に警察や消費生活センターに相談することをおすすめします。消費者の権利を守るためのアドバイスや支援を提供してくれます。

 

押し買いの被害を防ぐために信頼できる人に同席してもらいましょう

押し買いとは、消費者が予期しない形での取引を迫られ、不利益を被ることが多い犯罪ですが、最もよい方法は1人で対応しないことです。
 
例えば購入業者との対話の際は、家族や近所の人や友人など、信頼できる人に同席してもらうことは、業者の強引な手法を避けるための効果的な方法です。2人以上での対応は、不安や疑問を共有し合い、冷静な判断を下すのに役立ちます。
 
押し買いの被害に遭わないためには、事前知識と周りのサポートが大切です。大切な財産を守るためにも、押し買いという犯罪があることを理解し、対策の意識を高めていきましょう。

 

出典

独立行政法人 国民生活センター 不用品買い取りのはずが貴金属を買い取られた!
独立行政法人 国民生活センター 不用品を買い取ると言ったのに貴金属を買い取られた!!-終活の一環!?高齢者を中心に訪問購入のトラブルが発生しています-
独立行政法人 国民生活センター クーリング・オフ
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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