更新日: 2023.09.08 その他暮らし
手取り「20万円」で生活苦なのに、9月の給与が突然「3000円」減った!? その理由とは?
毎月ギリギリの生活をしている人は、手取りが数千円違うだけでも生活に大きく影響するかもしれません。給与の振込額を見て慌てないように、本記事でその仕組みを事前に知っておきましょう。
執筆者:佐々木咲(ささき さき)
2級FP技能士
社会保険料は毎年9月に変わる
給与から天引きされている社会保険料は、毎月の給与をベースに計算されているわけではありません。「標準報酬月額」という決まった数字から計算されているため、毎月一定額となっています。そして、この標準報酬月額は4~6月の給与の平均によって決定され、9月から翌年8月までの給与計算に反映されます。
例えば、給与が4月26万円、5月24万円、6月25万円だった場合の平均は25万円なので、9月からの標準報酬月額は図表1のとおり26万円となります。
もし変更前の標準報酬月額が24万円だったのであれば、標準報酬月額の等級が1上がり、介護保険第2号被保険者に該当する場合、社会保険料は3万6144円から3万9156円へ変更となり手取りが3012円減ります。
【図表1】
全国健康保険協会 令和5年度保険料額表(令和5年3月分から)東京都
4~6月の間に昇給があった、残業が多かったなどの理由で給与を多くもらった人は、標準報酬月額の等級が1か2上がる可能性があることを知っておきましょう。
なお、社会保険料が変更になる月は一般的に9月ですが、給与計算の締め日の関係などから10月になる場合もあります。
社会保険料が増えたら困る! どうにかならないの?
元々の手取りが少ない中で、3000円減るというのは困りますよね。
ただ、決定された標準報酬月額をどうこうすることは基本的にはできません。変更される可能性があるとすれば、会社が標準報酬月額決定のために日本年金機構へ提出した書類に誤りがあった場合くらいでしょう。担当者に確認するくらいはよいかもしれません。
日本年金機構に不服申し立てをして再審査してもらうこともできますが、一般的な対応ではありません。
4~6月であれば自身で社会保険料対策できるかも
標準報酬月額は4~6月の給与の平均額で決まると解説しました。よって、4~6月の給与を低くすることで標準報酬月額を下げることが可能です。
ただ、会社員であれば給与は自身で調整できるものではありません。考えられるとすれば残業代くらいでしょう。
例えば、残業の多い人が4~6月だけどうにかして残業代を普段より低く抑え、5月から翌年3月についてはいつもどおりの残業代を稼いだとします。すると、5月から翌年3月が高い給与であっても、4~6月の給与をもとに計算された標準報酬月額で社会保険料は計算されるため、手取りを多くできる可能性があります。
まとめ
9月または10月の給与から社会保険料が変更されます。春に昇給などで給与が上がった人は、このタイミングで社会保険料が増える可能性が高いでしょう。昇給したことによる社会保険料変更で、せっかく上がっていた手取りが減るのは残念ですが、会社員がどうこうできる問題ではありません。
どうしても納得いかないという人は、まずは給与計算を担当している人に誤りがなかったかを聞いてみるとよいでしょう。
出典
全国健康保険協会 令和5年度保険料額表(令和5年3月分から)東京都
総務省 標準報酬月額等の決定に不服があるときには
執筆者:佐々木咲
2級FP技能士