バイト先で先輩が「レジで差額が出たから」と多い分を自分のものにしています。不足時に自腹で補てんしているとはいえ、犯罪ではないのでしょうか?
配信日: 2023.09.16
しかし、どれだけ気を付けていても現金の過不足が発生することもあるでしょう。ここでは、レジの集計と現金とに差額が生じた場合、自分のものにすることが可能かどうかなど、差額分の取り扱いについて解説していきます。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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お金を自分のものにすると「窃盗」に
預かったお金を読み込んでお釣りを自動的に出すなど、便利なレジが増えてきました。また、カード決済などの普及に伴い現金のやり取りが減少し、レジ業務がよりスムーズになったことも事実です。
一方、レジの買い替え費用の捻出が厳しいなどの理由から、旧式レジを使い続けているところもあるでしょう。お金の受け渡しは慎重に行わなければなりませんが、どんなに注意を払っていても人為的ミスは避けられないものです。日によってはレジの集計分より現金が多い日もあるでしょう。
今回のケースでは、レジの集計より多い現金を自分のものにしています。そのような行動に出るのには、現金が不足したときは自腹で補てんしているという事情があるようです。しかし、どのような場合でも現金の過不足を調整することは望ましくありません。
もし、現金を懐に入れた場合、「窃盗」の罪に問われることを知っておきましょう。窃盗を犯すと「10年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられます。また、自身の社会的信用を失ってしまうことも肝に銘じておく必要があります。
職場のお金を使い込むと「横領」の罪に問われることはよくある話なので、「窃盗」との区別がつきにくいかもしれません。横領になるのは、会計担当者がお金を私物化したときです。一方、バイトのレジ業務ではお金の管理まで行わないため窃盗扱いが一般的です。双方の違いについては「刑法252条(横領)」「同235条(窃盗)」で確認できます。
レジのお金が不足しても弁償しなくてよい
一方、レジの集計よりも現金が不足した場合はどうでしょう。このケースのように、自分で補てんしている人もいるかもしれません。しかし、職場のルールに従い忠実に作業をしている限り、従業員が差額分を弁償しなくてもよいのです。もし、従業員が弁償を申し出た場合も、経営者が断わる必要があることを知っておきましょう。
経営者が従業員に責任を取らせることはもってのほかです。レジに現金不足が生じたら従業員から弁償を求めるなどの取り決めは「労働基準法16条(賠償予定の禁止)」で禁止されています。
また、損害分の給料からの天引き禁止についても「同24条1項(賃金の支払)」に定めがあります。従業員の働きによって経営者は利益を得ています。順調なときだけでなく、不測の事態で損失が発生することもあるでしょう。経営者はいろいろな場面を想定しなければなりません。
お金の過不足対応は経営者の責任! 速やかに報告することが大切
レジ違算が生じたとき、従業員が責任を感じることが多いでしょう。お客様と直接関わる部署だけに無理からぬことかもしれません。辻褄を合わせることでその場はしのげますが、それが常態化すれば不正行為につながる恐れが出てきます。
いかなる場合でも、お金の調整を自分で行うことはよくありません。過不足対応は経営者の責任だからです。もし金銭トラブルが発生したときは、速やかに上司への報告を心掛けましょう。
出典
e-Gov法令検索 刑法
e-Gov法令検索 労働基準法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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