更新日: 2023.09.19 その他暮らし

ムダな光熱費は節約したい!雨水って家庭で利用できますか…?

ムダな光熱費は節約したい!雨水って家庭で利用できますか…?
水道代を節約しようと思ったときに「雨水を利用すればよいのでは?」と、考える方もいらっしゃるのではないでしょうか。
 
しかし、雨水を使うことで、どれくらいの節約効果があるのかということは、いまひとつ分かりにくいものです。そこで今回は、雨水の利用方法と、おおまかな節約効果について、ご紹介します。
 
「雨水を使うと節約になるの?」「どう使えばよいの?」と、疑問を抱いている方は、チェックしてみてください。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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雨水の利用方法

雨水は、専用の雨水タンクを使ってためておくことで、以下の用途に活用できます。基本的に、雨にぬれても問題ないものには、利用が可能です。

<雨水の主な利用方法>

●洗車
●庭木への水やり、液体肥料のうすめ用水
●散水・打ち水
●非常用水
●外掃除用の水
●消火用水

ただし、雨水には、病原微生物・重金属・プランクトン・大気中の汚れなど、さまざまなものが含まれており、基本的に、そのままでは飲用はできません。
 
2015年には、野外における流しそうめんで集団食中毒が発生した事例が、2007年には、浄水へ雨水と土砂が混入したことによる水系食中毒が発生した事例などが、確認されています。そのまま飲んだり、雨水で洗ったままの手で食品を触ったりしないように、配慮する必要があるでしょう。
 

雨水を使うとどれくらいお得になる?

雨水を活用することで、どれくらいお得になるのかを知るには、まず「どれくらいたまるか」を計算しなければなりません。
 
総務省統計局が公表している「1-8 降水量(平年値)(平成3年~令和2年)」の統計を基に、主要都市の降水量の年計をまとめると、表1のとおりになります。
 
表1

地域 年計 1ヶ月換算
札幌 1146ミリメートル 95.5ミリメートル
東京 1598ミリメートル 133.2ミリメートル
名古屋 1579ミリメートル 131.6ミリメートル
京都 1523ミリメートル 126.9ミリメートル
大阪 1338ミリメートル 111.5ミリメートル
那覇 2161ミリメートル 180.1ミリメートル

※小数点第2位以下四捨五入
※総務省統計局「日本の統計2023」を基に筆者作成

平均的な建売住宅の床面積100平方メートル(1辺およそ10メートル)の住宅で、切り妻屋根の雨どいに集まった雨水を、パイプを通じて雨水タンクへ集積すると仮定しましょう。
 
例えば東京都の場合、1ヶ月に平均133.2ミリメートル分降ります。これは1メートル×1メートルの範囲に133.2リットル分の水が降ることを表しています。そのため1辺およそ10メートルの住宅屋根には、13320リットル/月(444リットル/日)の雨が降り注ぐという計算になります。
 
この雨水をすべて活用できた場合、東京都水道局の「よくある質問」で公表されている水道料金例「1リットル当たり0.24円」を用いると、1ヶ月で3,196.8円分の水道代が浮く計算になります。年間に換算すると、総額3万8361.6円分の水道代がお得になるでしょう。
 
とはいえ、雨水をきちんと使える状態で保存しておくには、雨水タンクが必要不可欠です。その雨水タンクの設置には、200リットル規模のもので、10万円程度(工事費込み)がかかります。この費用を回収するには、東京の降水量では、3年程度が必要になります。
 
くわえて、雨水を余すことなく活用しようと考えた場合、毎日200リットルや300リットルの水を使い切らねばならず、一般家庭の場合には、前記したように、用途も限られているため、非現実的と言わざるを得ません。
 
そのため、雨水を活用した際にお得になる金額というのは、計算上の金額よりも低くなると考えられるでしょう。一方、自宅にあるバケツを使えば、設備の購入費用や設置費用もかけずに、簡単に始められます。
 
しかし、水面が露出するうえに、容量が小さいことと、水の流れがないためにボウフラや藻が発生して、すぐに使えなくなる可能性が高いことを踏まえると、あまりおすすめできません。
 
雨水タンクを設置して、雨水を活用するのか、あまり節約効果の高い方法ではないとして、雨水は使わない方向にするのか、あらかじめ、慎重に検討しておくことが大切です。
 

雨水をためても節約効果は薄い

雨水をためておくと、災害時の備え・庭作業・洗車などに使えます。
 
しかし、使える状態で雨水をためておくには、高額な専用の設備が必要です。設置にかかる費用は、3年程度で回収することもできますが、工事をして雨水を活用するのか、自身には向かないとして、ほかの節約方法を探すのか、検討が必要といえるでしょう。
 

出典

南渕明宏「総説 飲用水の病原微生物による健康被害の危険性 ~自然界に潜む『今そこにある危機』」昭和学士会誌 第81巻 第5号〔414-420頁,2021〕
東京都水道局「よくある質問 節水について」
総務省統計局「日本の統計2023」 第1章 国土・気象 降水量(平年値) 1- 8 降水量(平年値)(平成3年~令和2年)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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