「特定空き家」とは? 認定されてしまうとどのような影響があるの?

配信日: 2023.09.20

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「特定空き家」とは? 認定されてしまうとどのような影響があるの?
近年、全国で空き家の増加が社会問題として注目されるようになりました。中でも長年にわたって手入れなどの管理がほとんど行われず、放置されたことにより衛生上・安全上のトラブルが起きて、近隣に迷惑をかける事案が多く発生しています。
 
こうした問題を背景として、平成27年に「空家等対策の推進に関する特別措置法」が施行され、「特定空家等」の認定が始まっています。この記事では、現状での特別措置法の施行状況や特定空家等の認定による影響などについて確認していきます。
高橋庸夫

執筆者:高橋庸夫(たかはし つねお)

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

空き家に関する特別措置法の施行状況と自治体の取り組み

国土交通省によると「空家等対策の推進に関する特別措置法」(以下、特別措置法)の施行状況について、令和4年3月31日時点では調査対象となる全国1741市区町村のうち、約80%の1399市区町村で空家等対策計画が策定されており、今後の策定予定も含めると約93%となっています。
 
【図表1】
 
図表1
 
※国土交通省 「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等について」を基に筆者作成
 
図表1のとおり、令和3年度末までに特別措置法の措置による除却や修繕などが行われたのは1万9599件、市区町村の取り組みとして除却や修繕などが実施されたのは12万2929件で、合計14万2528件の空き家に措置が講じられています。
 

特定空家等の認定基準

特別措置法では、以下の4つの状態に1つでも当てはまる空き家を「特定空家等」と認定しています。
 

(1)倒壊など著しく保安上危険となるおそれがある状態
(2)アスベストの飛散やごみによる異臭の発生など、著しく衛生上有害となるおそれがある状態
(3)適切な管理がされていないことで著しく景観を損なっている状態
(4)その他、木立の枝の越境や棲みついた動物のふん尿などの影響によって、周辺の生活環境を乱している状態

 
各自治体はそれぞれの空き家対策に関する計画に基づき、放置をすると特定空家になる可能性がある管理不全空家の所有者に対して管理について指導・勧告などを行い、実態調査(立ち入り調査を含む)や住民からの相談を踏まえて特定空家等と認定します。
 

特定空家等に対する措置の状況

特定空家等に対する措置の内容と、その実施状況は図表2のとおりです。
 
【図表2】
 
図表2
 
※国土交通省 「空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等について」を基に筆者作成
 
市区町村による助言・指導によっても改善されない場合は勧告が行われ、勧告を受けた特定空家等の敷地は、翌年から固定資産税などの軽減が適用できなくなります。
 
勧告によっても改善がなされない場合は命令となり、従わないときは50万円以下の過料が科せられることがあります。
 
また、行政代執行とは、特定空家等の所有者に代わって市区町村が建物の解体などの措置を行い、その費用を所有者から徴収することをいいます。
 
略式代執行は、所有者が不明または連絡が取れない場合に市区町村が代行して措置を行うことで、特別措置法が施行された平成27年度からの合計件数は行政代執行の2倍超となっています。
 

特定空家等に認定された場合の影響

不動産の所有者には毎年、固定資産税や都市計画税(市街化区域内)が課税されます。
 
居住用の建物が建っている土地(住宅用地)には特例措置があり、そのうち200平方メートルまでの小規模住宅用地は固定資産税の課税標準額が評価額の6分の1に、都市計画税では3分の1に軽減されます。
 
しかし、特定空家等に認定されて勧告を受けた土地については、その翌年から特例措置が適用できなくなり、固定資産税や都市計画税の負担が大幅に増加することになります。
 

まとめ

平成28年度から、空き家に係る譲渡所得の特別控除の特例が施行され、令和4年3月31日までに5万743件の控除の確認書が交付されています。
 
この特例では、親など被相続人が生前に居住していた家屋や敷地を相続により取得した場合、一定の要件を満たせば譲渡する際に最高3000万円までの特別控除を適用することができます。
 
その一方で、例えば京都市では空き家の活用促進を目的として「空き家税(通称)」の創設による課税強化も予定されています。
 
もし、該当するような不動産を所有している場合は特定空家等に認定されないように、適切な管理など空き家対策について自治体や専門家に相談して早め進めてください。
 

出典

国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法関連情報

国土交通省 空家等対策の推進に関する特別措置法の施行状況等について

政府広報オンライン 年々増え続ける空き家! 空き家にしないためのポイントは?

 
執筆者:高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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