更新日: 2023.09.27 その他暮らし

親族はお金を持っていますが、絶対に「援助」を求めたくありません…この場合でも「生活保護」の申請はできますか?

親族はお金を持っていますが、絶対に「援助」を求めたくありません…この場合でも「生活保護」の申請はできますか?
生活保護は、なんらかの理由で生活に困ったときに使える、国の制度です。しかし、親族に十分な所得がある場合には、生活保護の申請はできるのでしょうか?さまざまな理由から、親戚に援助を頼めない方もいらっしゃるでしょう。
 
そこで今回は、生活保護の概要と申請の条件について、調べてみました。
FINANCIAL FIELD編集部

執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)

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生活保護とはどのような制度?

仕事はしているものの、十分な収入が得られない、または、病気やけがで働けないなどの理由で、生活に困った人が使える援助が、生活保護制度です。この制度は、生活に困っている人を対象に、程度に応じた保護を行い、最低限度の生活を保障しつつ、自立を助けることを目的にしています。
 
生活保護を受けるには、住んでいる地域を所管する福祉事務所の生活保護担当に、相談および申請をします。申請が通ってから受けられる保護の種類は、表1のとおりです。
 
表1
 

生活保護の種類 内容
生活扶助 食費や光熱費などの日常生活に必要な費用
住宅扶助 アパートなどの家賃や住宅の修繕にかかる費用
教育扶助 学用品・教材費・給食費などの義務教育に必要な費用
医療扶助 病気やけがの治療で医療機関にかかる費用
介護扶助 高齢者などが介護サービスを受けるための費用
出産扶助 出産のための費用
生業扶助 仕事に就くために技能習得などをする費用
葬祭扶助 葬祭の費用

 
※厚生労働省のウェブサイトを参考に筆者作成
 
状況に応じて、臨時的に必要な費用が「一時扶助」として支給されることもあります。
 

生活保護を受ける条件とは?

生活保護は、ただ単にお金がないからといって、受けられるものではありません。最低限度の生活を維持するために、資産や能力を活用することが前提です。
 
例えば、貯金や使っていない土地・家屋などがあれば、それらを活用して生活費に充てらます。当然、能力に応じて、働くことも求められます。年金や雇用保険などの公的制度が利用できれば、それらを優先させなければなりません。
 
扶養義務者の扶養も条件に入っており、親族などからの援助を受けることもすすめられます。
 
これらの条件を踏まえて、得られる収入が最低生活費に達しない場合に、不足分を受け取ることができます。なお保護費は、年齢・世帯の人数・地域などによって設定され、例えば東京都在住の単身世帯の場合は、生活扶助と住宅扶助を合わせて13万円ほどが目安のようです。
 

親族に十分な所得がある場合に生活保護は受けられる?

生活保護の条件に、扶養義務者の扶養があります。扶養義務者は、申請者の三親等までで、一緒に住んでいない親族も含まれます。ただし生活保護は、世帯単位で行われることが基本であり、親族に絶対的な義務が生じるわけではありません。
 
例えば、親族に十分な所得がある場合でも、なんらかの事情で援助を期待できないケースでは、生活保護を受けられます。申請する際も、親族に相談しなければならないわけではありません。
 
ただし、生活保護の申請後は、資産調査などと同時に「扶養義務者による扶養の可否の調査」が行われます。これは、親族の資産を調査するのではなく、援助の意思の有無を確かめるものです。親族に十分な所得があっても、援助する意思がなければ、生活保護が受けられます。
 
なお、DV(ドメスティック・バイオレンス)などの特別な事情がある場合は、申請者の居場所を親族に知らせたり、扶養照会をしたりしないようにできます。
 

生活保護は国民の権利! 分からないことは相談しよう

病気や事故などで生活が苦しくなった場合は、国に生活保障の義務が生じます。
 
生活保護は、最低限度の生活が危ぶまれる際に利用できる、国民の権利です。
 
「家や車を所有していたら売らないといけない」「住むところがないから申請できない」「親族に十分な所得があると生活保護は受けられない」といった認識は、生活保護の申請についてよくある誤解です。分からないことがあれば、お住まいの福祉事務所に、ためらわずに相談しましょう。
 

出典

厚生労働省 生活保護制度

 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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