更新日: 2023.10.03 その他暮らし
ドラマのような「誤送金」って起きるの? 個人が「海外」へ「誤送金」したらどうなるの?
この事例は、ある町の職員による町内在住者への誤送金でしたが、個人が海外へ誤送金してしまった場合はどうなるのでしょうか。
本記事では海外の誤送金事例を紹介するとともに、個人が海外へ誤送金した際の対応策などを解説します。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部(ふぁいなんしゃるふぃーるど へんしゅうぶ)
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海外で起きた誤送金事例
2022年4月に日本で起きた誤送金も4630万円という高額でしたが、海外ではさらに巨額の誤送金が発生しています。ここでは、ドイツやアメリカで発生した事例を紹介します。
・ドイツの事例
2018年4月20日、ドイツ銀行は日常業務のなかで280億ユーロの誤送金が発生していたことを認めました。これは、当行の時価総額240億ユーロを上回るほどの異常な金額ということで、世界的にみても前代未聞の誤送金だったといえます。某海外メディアによると、デリバティブ(金融派生商品)部門の精算・決済用口座へ送金する際に、巨額の誤送金が発生したということです。
なお、この誤送金はすぐに解決し、実害はなかったと伝えられています。
・アメリカの事例
2021年、ルイジアナ州に住む男性の口座に500億ドルが誤送金されて、現地では大きなニュースになりました。銀行による誤送金だったそうですが、原因は「技術的な不具合」とだけ伝えられていて、はっきりとした原因は不明のままです。
また、2020年8月には世界的な金融機関グループによる、巨額の誤送金も発生しています。この事例は、本来は個人に780万ドルを送金するはずが、誤って8億9400万ドルを送金してしまったというものです。原因は、「手違い」とだけ伝えられています。
海外に送金する方法
海外送金は、口座のある銀行の窓口で行えます。手続きに必要なのは、本人確認書類、通帳、届出印、マイナンバーが確認できる書類、取引の詳細が確認できる書類などです。また、受取人と受取人の取引銀行情報、送金する国や地域で必要なコード、送金目的の記載なども必要になります。
手数料は、金融機関によって異なり、某メガバンクでは送金手続きを行った銀行の海外支店あてが7000円、他行あてが7500円と高額です。海外送金はネットバンキングでも可能で、その場合の手数料は窓口よりも大幅に安くなります。
海外に誤送金してしまった場合の対応策
海外へ誤送金してしまった場合には送金手続きを行った銀行で、送金取引の取り消しや組戻し(振込資金の返却)の手続きを行いましょう。なお、取り消しが行えるのは受取人口座への入金が未完了の場合です。また、組戻しが行えるのは受取人口座への入金が未完了で、受取人の承諾がある場合のみとなっています。
誤送金先が返金に応じない場合は「不当利得返還請求」も可能ですが、訴訟費用が必要になります。誤送金先が規模の大きな企業であれば、財務処理はアンチ・マネー・ローンダリング(AML)の規制があるため、返金に応じる可能性が高いでしょう。
一方、誤送金先が個人や個人事業主または零細企業の場合は、回収が困難かもしれません。また、国内の銀行は誤送金があった場合の免責事項を設けているため、利用する前に確認しておくと安心です。
海外送金は慎重に行おう
誤送金は、日本国内だけでなく海外でも発生しています。しかも、その金額は日本円に換算して兆単位というケースもあって、発生原因が定かでない事例もありました。
もし、個人が日本から海外へ誤送金した場合は、送金取引の取り消しや組戻しの手続きを行えば返金される可能性があります。ただし、場合によっては訴訟が必要になる事態も考えられるため、海外への送金は慎重に行いましょう。
出典
金融庁 金融機関におけるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策について
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー