更新日: 2023.10.10 その他暮らし

【前年比250%増】「ラーメン屋さん」の倒産は年間最多ペース? 倒産状況・原因を解説

【前年比250%増】「ラーメン屋さん」の倒産は年間最多ペース? 倒産状況・原因を解説
男女問わず幅広い層から愛されているラーメンですが、2023年1月~8月は食材・光熱費の高騰などが影響し、ラーメン店が年間最多ペースで倒産しています。特に中国地方や近畿地方での倒産が多く、西日本を中心にラーメン店の倒産が深刻です。
 
本記事では、東京商工リサーチのデータを基に、2023年1月~8月のラーメン店の倒産状況や原因を詳しく解説します。

前年同期比250%増で年間最多ペースでの倒産

東京商工リサーチによると、2023年1月~8月のラーメン店の倒産件数は28件に達し、前年同期比で250%増になりました。これは年間最多ペースでの倒産で、ラーメン業界が苦境に立たされていることが分かります。
 
ラーメン店の倒産件数は、2019年が41件、2020年が38件と新型コロナウイルス感染症の流行が始まった2019年から2020年にかけて大幅に増加しました。その後も緊急事態宣言に伴う時短営業などは続きましたが、営業時間短縮協力金などの支援もあり、2021年は28件、2022年は21件にとどまっています。
 
しかし、2023年5月から新型コロナウイルス感染症が第5類になり新型コロナウイルス感染症関連の支援がなくなりました。それに加え、2022年から2023年にかけてはラーメン店の必需品である油や小麦粉、醤油などの食材が値上がりしました。さらに電気代やガス代の光熱費も高騰し、2023年は1月~8月の時点で28件の倒産となりました。
 
また、追い討ちをかけるように最低賃金の引き上げが毎年行われています。2022年から2023年にかけては、全国平均で31円の賃上げとなっており、人件費の上昇もラーメン店に大きなダメージを与えていると推測できます。
 

資本金が少ない店舗や個人企業での倒産が目立つ

資本金別に見ると、1000万円以上のラーメン店で2件、100万円以上で10件、100万円未満・個人企業他で16件のラーメン店が倒産しています。従業員別に見ても、従業員が4人までのラーメン店の倒産が過半数を占めており、資本金や従業員の少ない店舗や個人企業での倒産が目立ちます(図表1、図表2)。
 
図表1

図表1

株式会社東京商工リサーチ 「ラーメン屋さん」の倒産が前年同期比3.5倍に急増 食材価格・光熱費高騰で年間最多ペース
 
図表2
図表2

株式会社東京商工リサーチ 「ラーメン屋さん」の倒産が前年同期比3.5倍に急増 食材価格・光熱費高騰で年間最多ペース
 

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西日本の倒産が特に多い

倒産状況を地区別に見ると、中国地方で8件、近畿地方で5件と中国・近畿地方だけで全体の約半数を占めています。中国・近畿地方に続き、倒産件数が多い順に関東・中部地方、九州地方、東北・北陸地方になっており、西日本での倒産が特に多いことが分かります。
 
さらに興味深いデータもあります。タウンページの「最新! 日本全国ランキング ラーメン大好き県ランキング」によると、2021年は上位から順に山形県、新潟県、秋田県、栃木県、福島県、長野県、北海道、徳島県、宮崎県、富山県となっており、特に北海道・東北地方でラーメン人気が高いことが分かります。
 
ラーメン店の倒産状況には、ラーメン愛が強い県民性かどうかも相関関係があるのかもしれません。
 
図表3

図表3

株式会社東京商工リサーチ 「ラーメン屋さん」の倒産が前年同期比3.5倍に急増 食材価格・光熱費高騰で年間最多ペース
 

まとめ

ラーメン店の必需品である小麦や醤油などの食材の値上げや電気・ガスなどの光熱費の高騰により、ラーメン店の倒産が増えてきていることが分かりました。特に従業員数の少ない個人企業のラーメン店の存続が厳しく、物価上昇などの状況が変わらなければ今後も倒産件数の増加が予測されます。
 
ラーメンは日本人のみならず、外国人からも人気がある日本の代表食です。そんなラーメンを提供するラーメン店の倒産を心苦しく思う人は筆者だけではないはずです。緊急事態宣言中の時短営業が終わったかと思えば食材の値上げや光熱費の高騰。窮地に立たされているラーメン店のためにも、まずは近所のラーメン店に足を運んでみてはいかがでしょうか。
 

出典

NTTタウンページ株式会社 最新!日本全国ランキング
株式会社東京商工リサーチ「ラーメン屋さん」の倒産が前年同期比3.5倍に急増 食材価格・光熱費高騰で年間最多ペース
 
執筆者:桜下あかり
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